大卒就職内定率が過去最高→好景気という理由になるのだろうか
本日、厚生労働、文部科学の両省のより、平成29年度の大学卒見込みの就職希望者における2016年12月時点での就職内定率が約86%と過去最高になったとの報道がありました。
それによると、12月時点での内定率は6年連続の増加で、これを「好景気を背景とする売り手市場が続いている」と結論付けていますね。
ほぼ一様に「好景気」と「売り手市場」を強調しています。
おや?
この報道を鵜吞みにするならば、6年連続好景気って事で全国民が意見が一致してるという事になるのですが・・・。
突っ込みどころは満載すぎるんですが、イチイチ突っ込んでもキリがないので一番簡単な事象をあげてみましょう。
「消費税10%の先送り」の理由は何だったでしょうか?
これに関しましては現首相様が経済の下振れリスクを挙げ「リスクに備える必要性がある」との事で2度にわたって延期してます。
2014年当初の消費税8%値上げの経済停滞は3か月程で収束するという見積もりでしたが、半年を経ても停滞しているとの事からの判断だったと記憶しております。この停滞は好景気とイコールと言えるんでしょうか?
僕みたいな政治に疎いレベルでも真っ先にこういう風に例があがるのですから、各社報道が一斉に「好景気」を謳うのは明らかに不自然なんですよね・・。
実質的には売り手市場でも、就職容易にもなっていないという現実
ちなみに別の数字も紹介したいと思います。
大学求人倍率に関しまして、去年の時点で1.74倍でした。5年連続の増加となっております。リーマンショックの年に2倍を超えるなど急激な上がりを見せましたがその後3年程は1.2倍程で推移していたものの、ここ最近は上昇の一途となっております。
リーマンショックの時上がった理由はお分かりの通り、企業が厳しくなり求人に回す費用が乏しくなったと捉えるのが自然です。
現在は特に急激に世界経済に何か変化が起こっているというわけではありません。イギリスのユーロ離脱問題がまだくっすぶってはいますがそれが日本経済に与える影響はそこまで大きなものではありません。にもかかわらずここ数年は上昇の一途なんです。
つまり、求人倍率が高いという事はそれだけ、就職したくでもできない人が多い=売り手市場ではない。と言えるのではないでしょうか。
求人倍率が高くなり、就職内定率が高くなるという矛盾は何故起きる?
これに関しましては、集計期間が同一でないという所から来てると思います。厚生省も嘘のデータを流すはずはありません。これに対して求人倍率も対象が数十万のデータからはじき出しているという事と既に25年以上の統計データがある事からこれも調査に基づいたデータだと思われます。
ただ時期に関しては数か月のズレがあるみたいです。それにより「就職希望人口」が変化したと考えるのが自然です。おそらくは求人倍率のデータは12月よりは前に集計され、12月に一時的に内定率が発表されるという感じですね。
この数か月間の間に、就職が厳しいという人は就職活動をあきらめ、個人で稼ぐ道を探すか、大学院へ行くかという選択肢を取るという事になります。つまりは、最後まであきらめず就職活動を続ける人が激減したと捉える事ができます。
就職が決まらなくてもなんとかなる!という楽観ムードがなくなってきてるとも言えますね。
そして、内定した会社の規模や、雇用体型などは大丈夫か?大卒初任給平均給与はどうなのか?
以上、好景気を判断するのに就職内定率だけで語るのはちょっとね・・という考察でした。
いずれにしても、情報に流されるだけではそのうち飲み込まれるという事のよい典型のニュースだったかと思います。