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項羽と劉邦 King's War 第73、74話

3 全80話でWOWOWで放送されている、項羽と劉邦 King's War も残す所あと少しとなりました。

劉邦の側近の描写に2話を使う

 物語の終盤で劉邦と項羽の対決がより鮮明なるかと思われる場面ですが、ここで2話を使い、劉邦の側近の描写が細かく描かる事になります。

 

韓信軍が斉、竜且軍を破る

 劉邦軍の中で別働隊として動いていた韓信軍が奇襲により斉の臨淄を陥落、敗れた田栄率いる斉軍は楚軍と組み、楚の竜且率いる軍と臨淄攻略を試みるも韓信が川をせき止めた水攻めにより竜且軍は壊滅。田栄軍も四散し、田横は彭越を頼って落ち延びる。

 

劉邦と項羽の対峙

 広武山に陣取る両軍の対峙は続く。

 項羽は捕虜して捕えている劉邦の父親を釜茹での前に立たせる。すると劉邦は側近を連れて前線に行き、「わが兄弟であるお前(項羽)が同じ父親を煮殺すなら誠に結構!その煮汁を是非わけていただきたいものだ」と高笑いしながら罵る。項羽は頭に血が昇った様子を見せるも煮殺すのを中止する。

 やがて劉邦と項羽は中央に出て会話をしようと言う。劉邦が項羽をからかうと、項羽は振り向きざまに弓矢で劉邦を射る。しかし、劉邦は効かぬという顔で笑いながら自陣に引き返す。これを見て項羽は劉邦軍の士気が衰えてない事をさとり、無駄に出陣してはならいと号令をかける。

 この時劉邦は項羽の矢により深い傷を受けていた。自陣に戻るなり屈伏し意識を失ってしまう。

 劉邦の傷は陣中の医師が見るにも深く、矢を抜くのに躊躇するような深さであった。かといって引き返すにも馬車のゆれで傷が悪化する懸念もあり、重臣の誰もが決断できないでいる。

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戚夫人と薄姫の描画

 軍師張良は事は重大と見て丞相の蕭何を呼び出す。この報は楚軍の糧秣を脅かす彭越軍の耳に入り、田横と共にいた彭越は軍を引き返す事にする。漢軍に異常事態が起こったため蕭何が陣営に入ったと読んだ彭越は楚軍が漢軍に勝利すると自らの逃げ場がなくなるための処置との事である。しかし、彭越軍の撤退により楚軍の糧秣は安泰となり、急いで漢軍を攻める必要はなくなり、漢軍は命拾いをする格好となる。

 更には蕭何が陣営に呼ばれたのを聞きつけた戚夫人は陣営に駆け付ける。戚夫人は事ある事に重臣に世継ぎの話をほのめかす。更には陣中に祭壇を設けてお祈りを始める始末。これには陣中の兵士も何事かと動揺した姿を見せる。劉邦の容態は重臣しか知らないのである。この行動に盧綰は大いに怒る。戚夫人を追い剣を突き付けるも重臣の計らいで事なきを得る。

 

 劉邦は蕭何が陣営に来たと聞くとすぐに呼び出す。そして世継ぎの事を伝える。内容に関しては蕭何は最後まで隠し通す。

 

薄姫の決断

 劉邦の矢の傷は日ごとに悪くなり、医師も日を追う事に生存率が下がるという。しかし重臣は決断できない。蕭何は戚夫人に決断を迫るも、戚夫人も失敗した際に自分に責が及ぶのを恐れて決断できない。それどころか戚夫人の側近の満は重臣が戚夫人に罪を擦り付けようとしていると戚夫人を諭す。戚夫人はますます世継ぎの事にいてもたってもいられなくなる。戚夫人は劉邦にもしもの事あった場合の跡継ぎの事を重臣が集まる中で滔々と話す。重臣はあきれる者、怒る者、だまる者と様々であったが、支持している者はいなかった。

 その間、薄姫は重臣に付き従い事の顛末を冷静に見守っていはいたものの、医師が生存率が下がるという話をした事により時間がないと悟り、医師に矢を抜くように命令する。また、自らも劉邦の元に寄り添い5日の間ほとんど不眠不休で手当てに当たる。

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戚夫人と薄夫人の会話

 戚夫人は劉邦の傷の具合がどうなるか分からないと見て蕭何と張良に再び相まみえる。蕭何が跡継ぎに誰を擁立したいかを聞く。蕭何は長子が継ぐのが道理と答える。すると戚夫人は長男の盈はやさしすぎて国を守れないと強く主張する。さらには長男の母の呂薙は人質となっており、項羽に揺さ振られては陣中で指揮を執る事はできないとこれまた強く主張する。この言葉に蕭何は唖然とし、張良は俯く。

 矢を抜いて5日あまりが立ち、薄姫の懸命の看病の甲斐もあり劉邦は峠を越える。すぐさま蕭何、張良を呼び出し無事を報告する。

 重臣を返すと劉邦は薄姫の手を握り感謝する。薄姫は当然の事と言う。

 

 後日、戚夫人は薄姫を屋敷に招待し酒を交わす。戚夫人は薄姫の機転に感激し感謝の意を述べる。薄姫はやる事をやっただけで天が助けたと謙遜する。戚夫人も気分が動転していて満足に世話を出来なかった事を恥じると陳謝する。

 しかし、ここから戚夫人の本音が飛び出す。

 戚夫人は自分は呂薙から嫌われていると知っていると打ち明ける。そしてそれがつらいと打ち明けます。更には薄姫には呂薙側に付かないで欲しいと懇願する。

 薄姫は自分の事で精いっぱいでそこまで気が回らないと言う。

 戚夫人は、息子の如意は若く重臣の支持も得られておらず、陥れられるのが心配と言う。

 薄姫はその事は誰にもいわないから安心してという。その上で1つ、「粥を焦がしたら混ぜる程焦げ臭くなる。火を消した方がまだいい」と戚夫人に言う。これは、自分が支持を得られていないのに跡継ぎの事を話せば話す程追い込まれるという事を言いたかったのでしょう。それならば何も話さない方が良いという事になります。

 

 

生きる事に懸命な呂薙

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 呂薙は劉邦の正室である。この物語はかなり美人の容姿となっています。

 呂薙は楚軍の捕虜になり、何度か脱出を試みるもことごとく失敗する。しかしその都度、項羽の叔父の項伯のとりなしもあり生きながらえる。

 第74話でも寒い部屋に監禁されているにもかかわらず、項伯が訪れると項伯に感謝の意を示す。呂薙以外の捕虜になった親族は不満を貯め込み項伯に襲い掛かろうとするもそれを必死に呂薙が止め、項伯に許しを請うなど、おおよそその後の専横とは程遠い姿を一貫して見せています。

 そしてこの74話で身内から、王様(劉邦)の容体がよくないと噂をききつけ、傍にいる戚夫人の嫡男を跡継ぎにするのではと身内は不安の声を上げる。しかし呂薙は劉邦は長男の盈を跡継ぎにするはずと言う。しかしその表情は確信めいたというよりは不安のそれであった。

 このように呂薙は大富豪の娘でありながら劉邦という貧乏な人に使えても文句を言わず農耕にいそしみ子供を大事に育てたり、身内を励まし、自ら犠牲にしながらと苦労の多い人質生活を送っていました。

 

劉邦と薄姫の会話

 歩けるようにまで回復した劉邦は薄姫から薬をもらう。

 劉邦は薄姫を見据えて、矢を抜く決断をよくしたと褒める。失敗した場合はどうした?と聞くと、薄姫は必至だったので後の事は考えられなかったという。その姿に劉邦は微笑み、一生この恩を感じると感謝の言葉を言う。

 劉邦は、呂薙が陣営に戻ってきたらお前はどうする?と問うと、素晴らしい事ではないですかと返す。しかし、呂薙と戚夫人や薄姫を始めとする側室とはうまくいかない事を心配する。薄姫自身は自分は奥方様にも同様に仕える身で何を心配するかと諭す。更に、自身は魏で一度死に漢で大事にされていると感じるので一生懸命仕えますし、女なので戦や男の事に関しては迷惑はかけないと言う。劉邦は全てがお前のような女なら楽なんだがと笑う。

 

呂薙の姉の呂須と樊繪の会話を聞く戚夫人は・・ 

 樊繪は女房の呂須と陣中で酒盛りをする。樊繪は劉邦が盈を跡継ぎに決めないと思い込んでしまってそれを愚痴る。呂須は姉は正室であなたは将軍、問題ないのでは?と問い、姉が戻れば問題ないという。しかし樊繪は項羽が簡単に呂須を離さないとみており、長引くと後ろ盾がいない分不利と言う。すると呂須が、毒でももって戚夫人を葬ればよかったと呟く。そしてそれを幕舎の外で戚夫人が立ち聞きをしていた。

 

 こうなると戚夫人は心配で堪らない。満もしつこく跡継ぎを如意にするように懇願し、薄姫が自分の側につくかが定かでなく、自分の仲間がいない状況にいてもたってもいられないのか戚夫人は行動に移す。

 後日、劉邦によりそいながら、もし王様が無くなったら自分や如意が後を追うと言う。劉邦は如意はしっかり育てろと言う。戚夫人は、後を追わなくても生き残るのは難しいという。劉邦が顔色を変えてどういう事かを聞く。戚夫人は恐ろしくて口にできないという。

 こうなると劉邦の性格から更に聞き出そうとする。劉邦は言えという。戚夫人は、劉邦が矢傷にうなされている時に盧綰に殺されそうになったと白状する。

 

 

 ここまでが73、74話の大まかな流れです。途中鍾離昧が漢軍を奇襲したりはするものの、ほとんどが人の動きだけで2話費やしました。

 呂薙と戚夫人と薄姫が中心となっていますが、この場面はそれでよいと感じますし、その感情の動きはまずまず理解しやすいものです。

 呂薙の立場からは捕虜として自分を守るために必死に生きるしかありません。

 戚夫人は自身の軽率さから敵をどんどん増やします。

 薄姫は自分は助けてもらった身という事で一歩引きながらも生死にかかわる決断をするなど、後に歴史に名を遺す薄太后としての資質を見せています。

 

 次回は盧綰が楚へ寝返る描写があります。どうなるでしょうか。

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