錦織、ジョコビッチ、ワウリンカら復帰組が大苦戦 男子テニス 2018 上四半期状況
昨年はフェデラー、ナダルが怪我から見事な復活を遂げ、互いに2つのグランドスラムを取り合うなど、復活が強く印象付けられた年となりました。
また、昨年の夏場までに、マレー、ジョコビッチ、ワウリンカ、錦織、やや遅れてラオニッチらトップ選手が相次いで早いシーズン終了を決断し、フェデラーやナダルになぞるかのように復帰への青写真を描いていました。
本ブログでも記載した内容としては、彼らは特別(フェデラー、ナダル)で復帰には時間がかかるのではないかという見解を進めていましたが、残念ながら現状はその通りとなってしまっていますし、更なる離脱にさいなまれる選手が多い現状となっています。
ジョコビッチの復帰状況 30%
ジョコビッチは年末年始に若手選手とのトレーニングを繰り返し、復帰に向けて体も動いており、この中でも早期の復活が期待された選手と言えるでしょう。
全豪オープンではチョン・ヒョンの前にお株を奪われる粘りのテニスでストレート負けしました。しかし、体が全く動けていないわけでなく、徐々にメンタル面から戻す状況という感じを受けます。とは言え、やはりはそのメンタルも戻りがどのようになるのかは気がかりな所で、上記の復活具合と見ます。体力的には70%復帰しているものの、メンタルがまだ20%に満たない復帰具合という感じです。
現在はツアーの出場を見送っている段階ですが、新コーチ共々このまま終わるわけにはいかないジョコビッチが復活しない限り、しばらくはフェデラーに対抗する勢力は現れないでしょう。
マレーの復帰状況 0%
マレーに関して言えばかなりメンタルが傷ついてしまっています。手術に踏み切るのも相当引っ張った上での手術とうい事で、本人もその決断の遅さを嘆いています。
このような状況ですと、グラスシーズンに体が動くようになってもメンタルがついていくはかなり心配な所です。年内復帰できないとしても驚きはないかもしれません。
マレーの場合は周りのサポートが厚く、兄もダブルスのトッププレイヤーとして活躍しており、理解は得られやすい環境にあります。しかしながら、マレーは自分に厳しく全て1人で言を運ぼうとしてしまいます。今はそれがよくない方向にいってしまっているように見受けられます。
マレーが周りをもっと頼るようになれば復帰は早いかもしれません・・。
ワウリンカの復帰状況 15%
腰の手術と聞いた時には全豪復活はまず無理と感じていましたが見事に復帰しました。しかしながら、テニス強度はやはり思った程ではないのか、昨日2月28日にマスターズ2大会の不参加を表明しました。ワウリンカ自身はクレーシーズンにコートに戻りたいという旨を表明しています。
ワウリンカはグランドスラムを異なるグラウンドで3つ獲得しており、残るはウインブルドンとなります。クレーで復帰したいとは言え、一番欲しいタイトルは間違いなくウインブルドンでしょう。
しかし、ぶっつけ本番でウインブルドンを戦えるとは本人も当然思っていません。体調が万全ならフェデラーという大きすぎる壁があります。であれば、クレーから実戦経験やメンタルを整えようと思うのは当然であり、ウインブルドンの為にも、クレーでの復帰を望む、、といった所でしょう。
ワウリンカはグランドスラムで体力切れを起こすような選手ではなく、体調が戻りさえすればメンタルはかなり強い方なので心配はさほどないです。まずは体をしっか治してもらいたい所です。
ラオニッチの復帰状況 30%
ラオニッチの場合は長期離脱というよりは、中期離脱を繰り返しています。昨年は序盤からそうでした。今年もグランドスラムであっさり敗退し、それ以降もさほど試合をこなしておらず、今後の大会の参加も不透明です。
自慢のサーブも今は220キロでるかどうかの状態です。十分早いですが、240キロ前後を平気で出していた時代を考えると、周りはかなり対応しやすいはずです。
このように中期の離脱を繰り返す事により体調は常に安定せず、またそれに伴いメンタルも安定していない帰来があります。
トップ10に戻るにはコーチ陣の一層も視野に入るでしょう。
錦織の復帰状況 50%
他のトップ選手に比べれば錦織選手は復帰への道筋は大分明るいように見受けられます。
確かに、アカプルコのメキシコオープンでは若手18歳のシャポバロフの中に内容が伴わない逆転負けをし、腰を気遣う仕草を見せました。しかし、それも連戦に起因する疲れと、まだ実戦復帰間もない事からの調整のアジャストの仕方による所が大きいといます。実際にチャレンジャーでは尻上がりに調子を上げ、ニューヨークオープンではアンダーソン相手にまずまずの内容を見せました。
プレイレベルがトップ10常連の頃に戻るかどうかはまだわからない状況とは言え、ツアーに出続けれる状態にあるのは間違いなく、それだけを取っても復帰の足掛かりはあると言えるでしょう。
1戦1戦の結果を見て不安を煽る報道が多く見受けられますが、じっくり見守っていくべきでしょう。少なくてもマスターズの2連戦での好結果よりも、テニスの質を見るべき状況にあるでしょう。
錦織に関してはラオニッチとは違いコーチ陣はこのまま維持し、メンタルを中心に戦える土壌を整えていくべきでしょうし、現在そのように動いているように見受けられます。
日本人選手では杉田選手が今年も頑張っています。
全豪オープンでは第8シードのソックを破り、ドバイでもベスト8に進むなど健闘しています。負けたプイユ戦でも、220キロのサーブや、鋭いストロークで明らかに格の違いを見せつけられながらも最後まで諦めないプレイをしっかり見せていました。
現状ではテニスの質では杉田選手の方が客を魅了しているのは確実です。しかし、錦織選手も元々そういうメンタルを発揮できる選手なはずです。
2017年の全豪オープン、華々しく優勝で復活を遂げたフェデラーと4回戦と早い段階で当り、フェデラーに首を絞めつけられるように追い詰められながらも、わずかの勝機を頼りに捨てゲームを作りながらフルセットまで持ち込んで、体が動かないながらも一点集中の気合を見せました。
また同年の全仏オープンでもベルダスコ戦でいきなりベーグルで取られる最悪の出だしから立て直して最後はベーグルでやり返すなど「負けたくない」という姿勢の錦織は非常に強いです。
そのような姿が見られるように、今はファンも見守る時ではないでしょうか。