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2018 ATPファイナル 錦織 対 ティエム ここ一番で力を出せない課題が浮き彫り

 11月15日の23時より、ファイナル第3戦のティエム対錦織が行われています。

 ここまで錦織はフェデラーをストレートで破ったものの、アンダーソンから1ゲームしか取れない敗退の影響で、グループリーグの自力突破がない状況となっています。

 一方のティエムは2連敗しており、こちらも自力突破の可能性はありませんが、ゲーム差でわずかな可能性を残します。

 

 

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試合展開

 

1stセット

 第1ゲーム、ティエムのサービス。ティエムがキープする。

 第2ゲーム、錦織の要注意のサービスゲーム。やはりというか1stサービスが入らず、ティエムの強打に押されてブレークポイントを握られるもしのぐ。しかしチャンスボールも前につんのめるようなショットでエラーを繰り返してブレークポイントをたびたび握られるとフォアショットがこらえきれずブレークを許す。

 第6ゲーム、錦織は粘りのショットを見せる場面はあるものの、簡単なリターンをネットに掛けるなどファイナル3試合全く変化のない低調な内容に終始し3度のブレークポイントを握られると、最後は力のない2ndサーブがまさかのダブルフォルトとなり、ティエムに2ブレークアップされる。

 第7ゲーム、ティエムのサービンフォーザセット。ティエムもプレイも安定せず、ダブルフォルトなどでデュースになるものの、最後はティエムのフォアショットに錦織が歩いて追おうともせず、ティエムがゲームカウント6-1で圧倒してセットを取る。

 錦織はボールを叩付け、更にはラケットを投げつけ、ベンチにかえってもラケットを叩きつけるという蛮行を繰り返して観客の顰蹙を買う。

 

 錦織はファイナル出場を熱望していたにもかかわらず、勝ったフェデラー戦も含めて3戦ともかなりの低調な出来に終始しており、解決の糸口が見つかりません。かなり厳しい状況と言えるでしょう。

 試合的にはティエムが10本とミスが少なく、錦織が24本とあまりにもエラーが多く、錦織が一方的に悪いようにも見えるものの、ティエムのプレイも精度を大きく欠き、かといって錦織ももちろん低調で、エラーでポイントが入る凡戦となっています。

 

2ndセット

 第1ゲーム、錦織のサービス。ティエムの強打に粘りで返せるようになりキープする。

 第2ゲーム、ティエムのサービス。ティエムのサーブが途端に入らなくなり錦織にブレークポイントが来るも、肝心のショットでやはりというか前傾姿勢からの強打をネットに掛けるなど、チャンスである程にミスを犯し流れに乗り切れず凌がれる。

 第5ゲーム、ティエムに2ndサーブを叩かれる。更にはクロスリターンがサイドアウトになり0-30。ここからショートポイントで40-30とするも、またもクロスショットをミスしデュースへ。更には引き付けてのフォアを簡単にネットにかけ、ミスだけでブレークポイントを与える。ここで互いにネットに出てのショットの応酬で錦織が粘り切り、この日一番の歓声がこだまする。更にはネットに出てティエムの逆を突くショットで拳を何回も握りしめ自分を鼓舞する。ここでまたもネット前の接近戦でティエムのショットに反応した錦織が拳を何度も振りかざして鼓舞するキープを果たす。

 第7ゲーム、お互いに跳ねるショットの応酬も先にミスをするのは錦織。サーブで押し込みポイント先行するも、ダブルフォルトでデュースに。高いバウンドのショットがバックアウトになり、ティエムにブレークポイント。ここでティエムの引き付けてのバックハンドショットが決まり、このセットもティエムが先行ブレークを取る。

 第8ゲーム、ティエムもダブルフォルトなどで調子に乗れずデュースに。ここで錦織のショットがアウトになると錦織はラケットを叩きつける。更にはサーブでティエムがキープする。

 第9ゲーム、錦織はティエムを左右に振りキープする。

 第10ゲーム、ティエムのサービンフォーザマッチ。激しいラリーでティエムが走りこみながらのフォアクロスを決め大きくガッツポーズで3つのマッチポイント。錦織は頭を掻きむしる。最後はワイドのサービスエースでティエムがストレートで勝利を収める。

 この瞬間両手を挙げて喜ぶティエムに対して、錦織はラケットを投げつけるなど後味の悪い態度で試合を終える。

 

錦織の敗退が決定

 この試合の結果で錦織はセット差でティエムに並ばれましたが、ゲーム差でティエムに大きく差をつけられて最下位が確定してしまい、グループリーグ突破はなりませんでした。

 

フェデラー勝利の味の薄い幕切れ

 おそらく日本の報道ではフェデラーに勝った事と200ポイントを得た事で良しとする報道が多いでしょうが、3試合を見た印象としては、せっかく目指していた舞台でのパフォーマンスとしては余りにも寂しすぎる中味の無い結果になったと見ます。

 一体どうしてしまったのでしょうか。

 フェデラーもティエムも敗戦から学び改善してきました。フェデラーはコートにアジャストしないとみるや練習をせず、イメージトレーニングでコンディションを向上させました。ティエムは失敗して守る事をせずに攻め続けました。ティエムも今日は良い出来ではありませんでしたが、重要な場面での粘りや決定力は錦織を大きく上回りました。

 これに対して錦織は3試合とも淡泊と言える内容でした。時折出るよいショットや粘りのあるプレイが連続しなかったです。一様に言えるのは焦りのショットが目立ちました。攻めの姿勢とみる向きもあるでしょうが、そのショットがこれだけミスにつながるのであればそれはうまく調整したとは言えません。

 特にティエム戦ではラケットに当たる場面が何度もカメラに収められ、メンタル面でテニスに集中できていないとすら思える態度に終始しました。相手を見て逆を突くショットや深みのあるリターンが本当に散発的で安定感がありませんでした。

 

 このミスの多さと一概に言える覇気のなさは今年錦織が勝ち上がって決勝で見せたパフォーマンスと非常に酷似します。

 決勝に上がるまでは動き、プレイ、相手を見切る戦術眼どれも素晴らしい出来できていながら決勝で相手の気迫に押されて負けるという試合を今年は何度も見せられています。唯一モンテカルロ決勝のナダル戦だけは敗者として誇れる内容と言えましたがその試合以外は見るものが納得するような内容ではなかったはずです。

 

 モンテカルロの時にできて、今できない・・・・テニス以外の部分に問題がある可能性を否定できないという見方を普通に感じます。それが何かは知る由もありません。

 錦織は調子が悪かったりコートがアジャストしなくても試合中に修正できる選手です。これまでもそういうコートや技術面で一方的に改善しないままで負けた試合は多くなかったはずですが、今回のファイナルは最後まで続いてしまいました。これを考えると前述したように技術面だけの問題とは思えないのです。テニス以外の何か・・・それが何かはわかるすべもありません。

 

 いずれにしてももうすぐ30台を迎え若手の突き上げもあります。

 今後もこのレベルを保つために錦織はどのように取り組んでいくかは興味のある所です。

 

 そして、今回のツアーファイナルは現状ではジョコビッチが圧倒的に優勝候補ですが、彼がすんなり優勝するかも見どころとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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