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2019 グランドスラム 全豪オープン 1回戦 マレー 対 バウティスタ

 衝撃的な今シーズン限りでのプレイ生活に終止符を宣告したマレーの1回戦が1月14日、日本時間午後5時より行われています。

 1回戦の試合にかかわらず超満員に膨れ上がったセンターコート。

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1STセット

 前哨戦では途中で試合を切り上げたように、本調子とは程遠い中迎えるこの大会。先日の会見もあり、1日目から超満員の中試合が行われる。

 相手は、ストローク力に定評があり、ミスの少ないバウティスタ・アグートです。

 

 序盤は互いに探り探りの中のテニスが続く。

 その中でも左右に振られると悲鳴にも似た声で追うマレーの姿がやはり痛々しい。

 プレイレベル的には痛がる素振りもなく、サーブを打つたびに声を張り上げるマレーの姿がある。

 

 第9ゲーム、マレーのサービス。1stサービスイン率が50%を割るマレー。左右上下に揺さぶられたマレーが、このセット2度目のブレークポイントを握られる。更に長いクロスラリーで攻められて、前に出てのリターンをネットにかけ、ついにマレーがブレークを許してしまう。

 

 まだ1セット目にもかかわらず体中に大粒の汗を滴らせるマレー。かなり苦しそうな表情を見せる。

 

 第10ゲーム、バウティスタのサービンフォーザセット。ラリーに食らいつくマレーを嘲笑うようなドロップで崩すバウティスタ。更には鋭角に左右に振るバウティスタ。マレーは食らいつくも取れない。バウティストのサーブにリターンエースをねらうもわずかに外れ3つのセットポイント。そしてセンターへのサービスエースが一度覆るもリターンアウトで第1セットは終盤でバウティスタが差し切る形の6-4でセットを制する。

 バウティスタは対マレー全負で1セットも取ったこともありませんでしたが、これで初セット奪取となりました。

 

 終盤に差し切ってはいるものの、ギリギリの勝負・・・・とは言えません。

 バウティスタがプレイ強度を自在に操っている印象で疲れもほとんどありません。

 対してマレーは声を張り上げ、厳しいボールにも必死にくらいつきますが、プレー精度の面でも「ノーー!」と大声を上げるなど、自分のプレイができてない部分にストレスを感じている部分もあります。かつ大量の汗を見ても痛みを抱えてのプレイが相当負担になっているのが画面越しにもわかります。

 マレーにとっては大変に厳しい状況と言えるでしょう。

 

2ndセット

 第1ゲーム、マレーのサービス。歯を食いしばるマレーがサーブで押し、拳を握りしめるキープを見せる。

 第2ゲーム、左右に振る度に悲鳴を上げながらおいかけるマレーの姿に観客も顔を背けるシーンが映し出される。しかし諦めない精神で動き続けるマレーがライン際からのダウンザラインショットを決め2つのブレークポイントを掴む。しかし、コーナーを突くバウティスタのプレイにブレークできずキープされる。

 第3ゲーム、どんなボールも追いかけるマレーが、強烈なアングルクロスを決めガッツポーズを見せこの試合初のラブゲームキープする。

 第5ゲーム、厳しい攻めで2つのブレークポイントを握られるマレー。ロングラリーから前に出られてボレーで沈められ、マレーがブレークを許す展開となる。

 第10ゲーム、バウティスタのサービンフォーザセット。互いにクロスラインに厳しいリターンで応酬する。しかし守勢に回るマレーは苦しい。リターンが持ち上がらないマレーはセットポイントを握られると、ワイドサーブでこのセットも6-4でバウティスタがとり2セットアップ。マレーは追い込まれる。

 

3rdセット

  第3ゲーム、バウティスタが左右に揺さぶり、それに対応したショットもすべて防がれ0-30に。更にはネットに出てのバックハンドボレーを沈められ、3つのブレークポイントを握られる。そしてセンターのリターンショットがネットに掛かり、このセットも先行ブレークを許すマレー。

 第4ゲーム、マレーの兄ジェイミー、母親が神妙な面持ちで見守る中、綱に動かされて伸びきった腕から攻めのショットできないマレーに対して、常に膝を曲げて待ち構えて攻守両面に自在にリターンを放つバウティスタの構図は変わらない。ここから逆を突くショットでバウティスタを崩して3ポイントを奪取して一気にブレークポイントを掴むマレー。ここからしぶといショットで粘るマレーがブレークバックに成功する。母親は立ち上がり涙を浮かべ、マレーは疲労はあるものの両手で何度も観客を煽る。

 第5ゲーム、ブレークの後の重要なゲーム。ここで力を振り絞り強度のあるショットを立て続けに決めてラブゲームキープを果たす。

 第9ゲーム、明らかに疲れが見えるマレーがショットに精度を欠きブレークポイントを握られる。ここはダウンザラインのショットで際どく決めてデュースに。更には逆を突くショットを連発し必死のキープを見せる。

 第10ゲーム、鋭いショットで巻き返すマレーがデュースに持ち込む。更にはリターンで攻め、ついにマレーがセットポイントまで持っていく。ここでセンターのラリーの応酬でネットに掛けてしまうマレー。結局取り切れずにバウティスタがキープする。

 第11ゲーム、ここにきてサーブに勢いを増すマレーが最後もセンターのサービスエースを決めキープする。

 第12ゲーム、バウティスタも負けじとセンターのサービスエースを決めタイブレークに。

 

 タイブレーク 左 マレー 右 バウティスタ

 1-0 マレーS 際どいサーブからの攻めでバウティスタのリターンがネット

 2-0 バウティスタS マレーのバックハンドスライスが決まりミニブレーク

 2-1 バウティスタS センターのサービスエース

 3-1 マレーS ワイドのサービスエース

 4-1 マレーS バウティスタのリターンがバックアウト

 4-2 バウティスタS バウティスタのサービスエース

 4-3 バウティスタS バウティスタのドロップショットが決まる。マレーは両ひざに手を当てる。

 5-3 マレーS ワイドのサービスエース

 5-4 マレーS バウティスタのライン際ストレートが決まる。ミニブレークバック。

 6-4 バウティスタS バウティスタがリターンミス。マレー2セットポイント。

 6-5 バウティスタS バウティスタがアングルクロスを決める

 7-5 マレーS ワイドサーブで崩し、ういたボールをグランドスマッシュで沈め雄叫びと共に大きなガッツポーズを見せ、1セットを取り返す。

 

 ベンチに戻ってからも感情が高ぶるマレーが何度もガッツポーズで鼓舞する。この気持ちがあれば、引退撤回もあるかもと思わせるようなそんな仕草にも見えたものの、どうなるでしょうか。

 

4thセット

 第1ゲーム、バウティスタのサービス。ペースを変えないバウティスタがマレーを左右に大きく揺さぶりキープする。

 第2ゲーム、マレーのサービス。第3セットからサービスが向上したマレーはショートポイントの連続でこのゲームをキープする。

 第3ゲーム、マレーは動きを最小限にしようと、ヤマが外れたボールは追おうとせず、取れるポイントに集中しだし30-30とする。しかしクロスリターンでマレーを抜きキープする。

 第6ゲーム、0-30となるも、ここからネットに出るプレイやサーブでレッツゴーの声と共にキープする。

 第10ゲーム、攻撃できるようになってきたマレーは今度はドロップショットにも反応しキープする。

 第11ゲーム、マレーは甘いドロップを叩かれ大声を上げる。さらにはサービスエースでキープする。

 第12ゲーム、近くで大きな花火の音が鳴る中、マレーがサーブで崩しラブゲームキープでまたもタイブレークに。

 

 タイブレーク

 1-0 バウティスタS 深いラリーからマレーが攻めを繰り出しバウティスタのリターンがアウト。ミニブレーク。

 1-1 マレーS バックハンドストレートをミスしミニブレークバック。

 2-1 マレーS サーブでバウティスタを崩す

 3-1 バウティスタS クロスラリーでバウティスタがネットに掛けミニブレーク。

 4-1 バウティスタS クロスのスライスでバウティスタのオーバーを誘い2ミニブレーク。

 5-1 マレーS バウティスタのアングルクロスにマレーがボレーで超反応。

 6-1 マレーS ドロップで前につり出してラインを抜く頭脳的ショット。

 6-2 バウティスタS マレーがショートボレーをネットに掛ける。

 6-3 バウティスタS バウティスタのスマッシュにマレーが反応もこれにバウティスタがボレーで応戦。

 6-4 マレーS クロスラリーでバックハンドリターンをマレーがネットに掛ける。

 7-4 マレーS ワイドサーブを決めマレーが大きくガッツポーズで2セットオールで並ぶ。

 

 マレーの信じられない粘りによりついにファイナルセットに突入します。第3セットでブレークされた場面からのまさかの展開です。

 プレー的には前半に比べてあきらめるときと行く時の取捨選択がハッキリしている事から勝負勘がどんどん戻ってきているのは明らかです。

 更には序盤の1セットで汗だくだった姿から汗が引き、息を切らす場面も減ってきました。疲れはあるはずですが2セットを盛り返した事と、観客の大きな声援がマレーを大きく後押ししています。

 

ファイナルセット

 第1ゲーム、ここまでミスの少なかったバウティスタのリターンにバックアウトが格段に増えだしてきている。マレーはこれを利用し、涼しい表情でキープする。

 第2ゲーム、互いにドロップやロブを追いあい必死にリターンした後、バウティスタが僅かにリターンが外れると観客が大いに沸く。更にクロスリターンがアウト。バウティスタのアウトリターンが更に増え0-30に。この苦しい場面でコーナーのショットでマレーを崩し「バモス」と叫ぶバウティスタ。最後はマレーのフォアクロスがラインの外に外れバウティスタがキープする。

 第3ゲーム、ミスショットを連発しバウティスタに2つのブレークポイントを握られる。するとライン際をえぐられこのバックハンドリターンがネットにかかり、ここにきてバウティスタがブレークを先行させる。

 第4ゲーム、バウティスタがラブゲームキープを淡々とすると会場は静まり返る。

 第5ゲーム、やや辛い表情が増えてきたマレー。ミスショットが増えこのゲームもブレークポイントを握られる。そして深いクロスショットのリターンがネットに掛かり、絶望の2ブレークアップを許す。

 先ほどの自分を鼓舞する表情から、やや諦めにもにた表情で空を見上げるマレー。

 第6ゲーム、マレーのリターンに粘りが見られない。更にはバウティスタは声を張り上げマレーの反撃を許そうとせずキープする。結局あっさりキープし、マレーは追い込まれる。

 第7ゲーム、マレーを鼓舞する観客の声。するとマレーは目にうっすら涙を浮かべ、手を挙げる。左右に振りまくる壮絶なラリーの末、バウティスタが容赦なくライン際にリターンを決める。更にはコードボールの不運もあり30-30に。更にはリターンをネットにかけ、ついにバウティスタにマッチポイントが来る。しかしここはマレーが走り切りデュースに。更にはネットに詰め、サービスエースも決め必死のキープを見せる。しかしマレーの表情は変わらない。

 第8ゲーム、バウティスタのサービンフォーザマッチ。苦しい表情のマレーのリターンは力がない。更にはバウティスタがスマッシュをたたきつけ、バウティスタが3つのマッチポイントを掴む。

 そして最後は深いクロスリターンをバウティスタが決め、大きなガッツポーズを見せこの試合を締めくくる。

 

 本来なら敗れた選手は引き下がるが、マレーはバウティスタが勝利インタビューをしているにも関わらずベンチに座ったままです。

 これが何を示しているかは想像に難しくないでしょう。

 

 そして、、、

 

 マレー「こんな試合になるとは思ってもいなかった。観客の声援が自分のプレイを後押してくれたんだと思う。(言葉に詰まり)いつもはここに戻ってくる事を楽しみにしているんだが・・・。とにかく今日はロベルト(バウティスタ)の陣営の勝利を祝うよ。ただ、自分の陣営もよくやってくれた。このメルボルンでの試合はこれが最後になる。もし、、、もし戻ってくるのなら大きな手術をしなければいけない。。それは確約できない。。」

 ここで色々な選手のメッセージが会場に映し出される。マレーはそれをずっと遠い目ながら見つめる。

 そしてすぐにありがとうの言葉を伝えてその場を去ります。

 

 これはかなり微妙な演出になったように思います。

 マレー自身のこの最後の言葉「大きな手術をすれば・・・」の部分からは、もう一度戻ってこれる可能性を感じたという表現に聞こえました。

 この試合も第3セットのセットダウンからの脅威の粘りを見ると、彼のテニスへの熱が戻ってきている事を思わせるような粘りでした。にもかかわらず惜別のメッセージを贈られた事に多少困惑しているような素振りもありました。マレーの中ではフェデラーのようにコートを絞っての現役続行に光を見ていると感じる所があります。

 

 マレーの今後の動向にはまだまだ予断を許さないでしょう。しかしながら非常に精神力の強い、見たものに訴える試合をしてくれたのは確かです。

 

 

 

 

 

 

 

2019 ATP250 ブリスベン 決勝 錦織 対 メドべデフ  錦織が2年11か月ぶりのツアー優勝を飾る!

 2019年最初の大会となるオーストラリア、ブリスベン大会の決勝。錦織はディミトロフ、シャルディを倒して決勝に駒を進めます。

 対するは楽天オープン決勝で苦杯をなめたロシアのメドべデフとなりました。

 

 

1stセット

 バックハンドを主体に攻める錦織が内容も優勢に試合を進め1ブレークを守り切り6-4でこのセットを取る。

 

2ndセット

 1stセットを取った事により、攻めに行くのでなくしっかり待ってメドべデフのミスを待ち8度のブレークポイントを掴む錦織は、しかしものにできず、第7セットの唯一のブレークポイントをものにされて、優勢に進めながらも、3-6でまさかのセットダウンとなり、セットオールとなる。

 

ファイナルセット

 嫌な形のファイナルセットの出だしはメドべデフが攻勢、これに対して錦織のバックハンド精度が狂いピンチを迎えるも凌ぐ。

 すると、メドべデフが攻め急ぎ錦織が第4ゲームにして先行ブレークを奪う。

 更には第6ゲームで深いショットでメドべデフに時間を作らせず、ボールがポケットから落ちてポイントを奪えないシーンがあったものの、このゲームもブレークし2ブレークアップを取る。

 第7ゲーム、錦織のサービンフォーザチャンピオンシップ。しかし、サーブでポイントを失い、更にコードボールを強烈にリターンされるなどして、このゲームをブレークバックされてしまう。

 第8ゲーム、ダブルフォルトから早い仕掛け、更にはサイドに振ってのリターンで錦織が3つのチャンピオンシップポイントを掴む。

 そしてサーブで前に出てくるメドべデフをしっかりと見定めてのバックハンドクロスのパッシングが決まり、この瞬間錦織はようやく試合が終わったという疲れのガッツポーズの表情を見せる。

 

 試合後、両者がネット越しに握手をした後にメドべデフが錦織を呼び止め、満面の笑みで会話する2人の姿が印象的です。おそらくは、楽天では優勝しちゃってゴメンみたいな会話がされていたと推測されます。

 

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試合内容

 シーズンの初試合としては素晴らしい大会となりました。

 錦織の試合らしく、楽な場面と凌ぐ場面が目まぐるしく入れ替わるものの最後は意地をむき出しにして執拗にバックハンドに拘り勝利を手繰り寄せました。

 シーズン始まったばかりとは思えないようなサーブやバックハンドの精度はさすがプロというだけあってしっかり全豪に仕上げてきている感があります。ただやはりフォアハンドのコントロールに課題があるのが見えた大会でもあり、おそらく1年を通しての課題となりそうです。

 

 1月中旬から早くも全豪オープンが始まりますが、1試合1試合、長い試合でないにもかかわらず大粒の汗でまみれている程の酷暑の中、選手がどのようなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。

 

錦織「やっと、やっとです、7,8回目で優勝できました。そしてメドべデフお疲れ様。東京では負けてるので何とか勝てました。(笑)コーチのみんなもありがとう。去年は怪我からの試合だったがここまで回復できてよかった。スポンサーの皆様もありがとう、また来年ここに戻ってきます。」

 

2018 ATPファイナル 錦織 対 ティエム ここ一番で力を出せない課題が浮き彫り

 11月15日の23時より、ファイナル第3戦のティエム対錦織が行われています。

 ここまで錦織はフェデラーをストレートで破ったものの、アンダーソンから1ゲームしか取れない敗退の影響で、グループリーグの自力突破がない状況となっています。

 一方のティエムは2連敗しており、こちらも自力突破の可能性はありませんが、ゲーム差でわずかな可能性を残します。

 

 

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試合展開

 

1stセット

 第1ゲーム、ティエムのサービス。ティエムがキープする。

 第2ゲーム、錦織の要注意のサービスゲーム。やはりというか1stサービスが入らず、ティエムの強打に押されてブレークポイントを握られるもしのぐ。しかしチャンスボールも前につんのめるようなショットでエラーを繰り返してブレークポイントをたびたび握られるとフォアショットがこらえきれずブレークを許す。

 第6ゲーム、錦織は粘りのショットを見せる場面はあるものの、簡単なリターンをネットに掛けるなどファイナル3試合全く変化のない低調な内容に終始し3度のブレークポイントを握られると、最後は力のない2ndサーブがまさかのダブルフォルトとなり、ティエムに2ブレークアップされる。

 第7ゲーム、ティエムのサービンフォーザセット。ティエムもプレイも安定せず、ダブルフォルトなどでデュースになるものの、最後はティエムのフォアショットに錦織が歩いて追おうともせず、ティエムがゲームカウント6-1で圧倒してセットを取る。

 錦織はボールを叩付け、更にはラケットを投げつけ、ベンチにかえってもラケットを叩きつけるという蛮行を繰り返して観客の顰蹙を買う。

 

 錦織はファイナル出場を熱望していたにもかかわらず、勝ったフェデラー戦も含めて3戦ともかなりの低調な出来に終始しており、解決の糸口が見つかりません。かなり厳しい状況と言えるでしょう。

 試合的にはティエムが10本とミスが少なく、錦織が24本とあまりにもエラーが多く、錦織が一方的に悪いようにも見えるものの、ティエムのプレイも精度を大きく欠き、かといって錦織ももちろん低調で、エラーでポイントが入る凡戦となっています。

 

2ndセット

 第1ゲーム、錦織のサービス。ティエムの強打に粘りで返せるようになりキープする。

 第2ゲーム、ティエムのサービス。ティエムのサーブが途端に入らなくなり錦織にブレークポイントが来るも、肝心のショットでやはりというか前傾姿勢からの強打をネットに掛けるなど、チャンスである程にミスを犯し流れに乗り切れず凌がれる。

 第5ゲーム、ティエムに2ndサーブを叩かれる。更にはクロスリターンがサイドアウトになり0-30。ここからショートポイントで40-30とするも、またもクロスショットをミスしデュースへ。更には引き付けてのフォアを簡単にネットにかけ、ミスだけでブレークポイントを与える。ここで互いにネットに出てのショットの応酬で錦織が粘り切り、この日一番の歓声がこだまする。更にはネットに出てティエムの逆を突くショットで拳を何回も握りしめ自分を鼓舞する。ここでまたもネット前の接近戦でティエムのショットに反応した錦織が拳を何度も振りかざして鼓舞するキープを果たす。

 第7ゲーム、お互いに跳ねるショットの応酬も先にミスをするのは錦織。サーブで押し込みポイント先行するも、ダブルフォルトでデュースに。高いバウンドのショットがバックアウトになり、ティエムにブレークポイント。ここでティエムの引き付けてのバックハンドショットが決まり、このセットもティエムが先行ブレークを取る。

 第8ゲーム、ティエムもダブルフォルトなどで調子に乗れずデュースに。ここで錦織のショットがアウトになると錦織はラケットを叩きつける。更にはサーブでティエムがキープする。

 第9ゲーム、錦織はティエムを左右に振りキープする。

 第10ゲーム、ティエムのサービンフォーザマッチ。激しいラリーでティエムが走りこみながらのフォアクロスを決め大きくガッツポーズで3つのマッチポイント。錦織は頭を掻きむしる。最後はワイドのサービスエースでティエムがストレートで勝利を収める。

 この瞬間両手を挙げて喜ぶティエムに対して、錦織はラケットを投げつけるなど後味の悪い態度で試合を終える。

 

錦織の敗退が決定

 この試合の結果で錦織はセット差でティエムに並ばれましたが、ゲーム差でティエムに大きく差をつけられて最下位が確定してしまい、グループリーグ突破はなりませんでした。

 

フェデラー勝利の味の薄い幕切れ

 おそらく日本の報道ではフェデラーに勝った事と200ポイントを得た事で良しとする報道が多いでしょうが、3試合を見た印象としては、せっかく目指していた舞台でのパフォーマンスとしては余りにも寂しすぎる中味の無い結果になったと見ます。

 一体どうしてしまったのでしょうか。

 フェデラーもティエムも敗戦から学び改善してきました。フェデラーはコートにアジャストしないとみるや練習をせず、イメージトレーニングでコンディションを向上させました。ティエムは失敗して守る事をせずに攻め続けました。ティエムも今日は良い出来ではありませんでしたが、重要な場面での粘りや決定力は錦織を大きく上回りました。

 これに対して錦織は3試合とも淡泊と言える内容でした。時折出るよいショットや粘りのあるプレイが連続しなかったです。一様に言えるのは焦りのショットが目立ちました。攻めの姿勢とみる向きもあるでしょうが、そのショットがこれだけミスにつながるのであればそれはうまく調整したとは言えません。

 特にティエム戦ではラケットに当たる場面が何度もカメラに収められ、メンタル面でテニスに集中できていないとすら思える態度に終始しました。相手を見て逆を突くショットや深みのあるリターンが本当に散発的で安定感がありませんでした。

 

 このミスの多さと一概に言える覇気のなさは今年錦織が勝ち上がって決勝で見せたパフォーマンスと非常に酷似します。

 決勝に上がるまでは動き、プレイ、相手を見切る戦術眼どれも素晴らしい出来できていながら決勝で相手の気迫に押されて負けるという試合を今年は何度も見せられています。唯一モンテカルロ決勝のナダル戦だけは敗者として誇れる内容と言えましたがその試合以外は見るものが納得するような内容ではなかったはずです。

 

 モンテカルロの時にできて、今できない・・・・テニス以外の部分に問題がある可能性を否定できないという見方を普通に感じます。それが何かは知る由もありません。

 錦織は調子が悪かったりコートがアジャストしなくても試合中に修正できる選手です。これまでもそういうコートや技術面で一方的に改善しないままで負けた試合は多くなかったはずですが、今回のファイナルは最後まで続いてしまいました。これを考えると前述したように技術面だけの問題とは思えないのです。テニス以外の何か・・・それが何かはわかるすべもありません。

 

 いずれにしてももうすぐ30台を迎え若手の突き上げもあります。

 今後もこのレベルを保つために錦織はどのように取り組んでいくかは興味のある所です。

 

 そして、今回のツアーファイナルは現状ではジョコビッチが圧倒的に優勝候補ですが、彼がすんなり優勝するかも見どころとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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