2017年8月4週 男子テニスランキング ズべレフ6位浮上錦織2桁にダウン
2017年8月21日の男子テニスランキングです。
9か月1位を維持していたマレーが失効ポイントにより、ナダルに1位を明け渡しました。
アレクサンダー・ズべレフがチリッチの失効によりシンシナティーマスターズ初戦敗退ながら自己最高の6位にランクアップしています。
またディミトロフがシンシナティーマスターズ優勝により久しぶりのランキング1桁に返り咲き10位以降に大きく差をつけています。
今シーズン全欠場が決まっている錦織選手は3年ぶりにランキング2桁の10位に陥落しています。
その他では、ハードコートで良成績を重ねるイズナーがシンシナティーでもSFに進出し14位までランクアップ、マスターズ初の決勝進出を果たしたキリオスもトップ20に返り咲く18位にランクアップ。
更にはハードコートに入ってから好調を続け、シンシナティーでもマスターズ大会久しぶりの準決勝SFに進出したフェレールがトップ30返り咲きの25位にランクを戻しました。
日本勢では杉田選手がシンシナティーでも115ポイントのディフェンドを上回る180ポイントを獲得する活躍で自己最高の43位タイとなっています。
ファイナルの争いは余談を許さず
ツアーファイナルの争いは、全欠場のジョコビッチ、ワウリンカ、錦織の3名を除いて以上のようなランキングとなります。
マスターズ優勝を飾ったディミトロフが一気にランキング5位相当のポイントを得てボーダーラインを大きく超えました。しかしそのディミトロフですら3週間前はまだボーダーライン付近にいた選手です。
ディミトロフはシンシナティーのみで大きなポイントを稼いだという事です。つまりはマスターズ1大会だけでもこれほどボーダーの上下を行ったり来たりという状況です。
今後グランドスラムの全英を含めて、上海とパリでマスターズが2大会と、大きな大会がまだ3つ残されており、ボーダー外からの躍進はまだまだ考えられます。
この3週間ではディミトロフの他にもキリオスも狙える位置まで上がってきました。彼本来のプレイを見せればファイナル進出は現実的な線と見ます。
現実的なファイナル8人は
決定
フェデラー、ナダルは既に今後すべての大会を欠場しても他の選手の兼ね合いで8位以下になる事はなく、出場が確定しています。
当確
Aズべレフ、ティエムの2選手もほぼ確実と見てよいでしょう。ズべレフと違い調子が上がらないティエムですが、怪我をしているわけではなく、大会に出場して何回か勝つ程度でも問題ないレベルです。
有力
ディミトロフ が有力となりました。今年3回の優勝は全てハードコートであり、今後も大崩れの心配はなく、かつボーダーラインが例年より低い事が予想されるため、当確ラインに限りなく近い有力選手です。
チリッチ これに対して怪我の状況が心配されるチリッチ。ウインブルドンまでは当確候補でしたが、マスターズ2大会を欠場し大きくポイントを得るチャンスを逃しただけに、全米へ参加できるかどうかでボーダーラインまで下がる可能性も危惧されます。しかし、ポイント的には大きな怪我がない限りは有力です。
ボーダー線
マレー 今年のポイントペースならもっと楽に出場決めてもおかしくないマレーですが、怪我の状況や感染症などの影響でコンディションが整わず、全米出場すら危ぶまれています。このまま欠場が続くとポイント的にも厳しくなってきます。
クエリー ウインブルドン準決勝進出、ハードコート初戦のメキシコで優勝とサーブを武器に波はあるもののポイントも重ねていける土壌は整っており、番狂わせの出場もありえそうです。しかし彼が出場する場合は上位が総崩れとなっている場合に限るでしょう。
ベルディヒ 衰えが指摘されながらウインブルドンでフェデラーに肉薄してのSFは見事。安定感がどこまで戻るか。
ラオニッチ 怪我の回復具合が全て。ハードとの相性はよいので出場さえできれば自然と圏内に入る実力はあります。
キリオス 圏外から上がってくるとすればこの選手と見ていましたが、シンシナティーでのF進出で現実的なポイントまで上げてきました。3つの大会に出場し、モンテカルロ、シンシナティーのような楽しむプレイを心がければボーダーラインの中でも一番有力視されるでしょう。
厳しめ
ゴファン 大怪我と思われた右足の負傷はグラスシーズン1か月だけの離脱で済みましたがハードコートに入ってからもフットワークは鈍く、本来の動きとはまだ遠い感じで今年中に大きくポイントを稼ぐ可能性は低く感じます。
カレーノブスタ こちらも腹部怪我の影響、及びハードコートで優勝は飾っているものの、強いショットや粘りがやや影を潜めます。
ツォンガ 突然の
杉田選手の全米オープンシードの行方
杉田選手は残念ながら全米でのシードは獲得できない状況です。
現在行われているウインストンオープンで優勝した場合、ポイント的にはシード32前後となり、欠場選手を考えれば32人のシードに入る事は可能に思われますが、全米ドローが発表されるまでにはこの大会のポイントが反映されません。
従って、杉田選手にとっては、現在行われているウインストンはあくまで調整と今後のシード獲得に関与する大会です。
シンシナティーでも4回試合をしておりかなりの疲労があると予想されるため、2回程試合をして全米に備えるというのが現実的な路線になってくると思われます。
杉田選手は今後に向けても目を向けており、ATPツアーに出続ける事も表明しています。
アンタルヤオープンで決勝を戦ったマナリノ選手が大活躍し全米でのシード獲得をほぼ確実にさせた所にも期する所があるようです。トップ選手ともっと戦いたいという意欲がある以上はもっと成績を伸ばせると確信しています。今回のシンシナティーもソックやソウザ、ハチャノフなどは同格以上の選手だっただけに、それらの選手にも打ち勝つ事により、今後もそのような厳しい選手との対戦で研鑽されていくことでしょう。
課題のファーストサーブ
サーブの攻め方と威力は錦織に勝るものがある程鋭いです。しかし、そのファーストが50%前後とあまり入りません。これは、それだけ攻めのサーブを選択する、あるいはラインギリギリを狙ったサーブを打つからであり、今後はよりその精度を高める事で改善していくしかありません。
ネットに出るプレイや強い姿勢のストロークで今後も活躍を期待したい所です。