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2017 ATP1000 イタリア国際(ローマ)オープン3回戦 錦織対デルポトロ戦 ジョコビッチ、ナダル結果

 5月18(木)19;00(イタリア時間12;00)より開催されたイタリア国際(ローマ)オープン3回戦。(以下選手敬称略)

 

錦織 対 デルポトロ

 錦織から見て過去対戦成績が1勝4敗と分が悪いものの、直近の対戦では苦戦を強いられながらもストレート勝ちで苦手を克服しつつある状況。

 デルポトロも調子を取り戻しつつあったディミトロフを退けるなど確かな実力者です。デルポトロには大応援団が駆けつけて声援を送る。

 前試合の影響もあり1時間以上遅れての25;00直前スタートとなる。

  1st 2nd 3rd Result
錦織 6(4) 3   0
デルポトロ 7 6   2

 

1stセット

 序盤の入りから錦織の体は動くもののショットが安定しない。デルポトロはフォアで打つチャンス以外はスライスで凌ぎ、打ちごろのボールを容赦なくたたいていきなりブレークを許す

 その後もデルポトロのサービスでは錦織はリターンもままならずブレークポイントを握る事ができない。錦織が前に出ると容赦なくサイドを抉る痛烈なショットを打ってくるデルポトロ。更には錦織が決めに行ったショットはイマイチ精度がなくアウトになる回数が増える。

 ラケットが合わないと見るやラケットを替えて臨んだ7ゲーム目からは徐々にストロークに粘りを取り戻していくと、第8ゲーム、逆クロスの攻めやデルポトロのダブルフォルトもあり2つのブレークポイントを握ると、デルポトロのショットがバックアウトになり、錦織がブレークバックを果たす

 第9ゲームはデルポトロの再三の強烈なフォアをきっちりリターンし、見事な逆クロスを決めラブゲームキープ。思わず「hey!!」の掛け声が出る。

 だが第11ゲーム、ドロップショットを連続でミスし、デルポトロのバックハンドのダウンザラインのショットが決まり2つのブレークポイントを握られると、長いラリーの末、デルポトロの回り込んだフォアに錦織が胸元を抉られリターンアウト。デルポトロにブレークアップを握られる

  第12ゲーム、デルポトロのSFS。強烈なデルポトロのサーブに反応し、見事なバックハンドウイナーや逆クロスを決め、ブレークポイントを握ると、最後はデルポトロがダブルフォルトを喫し、タイブレークに突入する

タイブレーク(左 錦織 デルポトロ 右)

 0-0 錦織S ラリーの応酬からデルポトロがセンターへのウイナー、ミニブレ

 0-1 デルポS 錦織がリターンエースを決め、ミニブレバ

 1-1 デルポS デルポの深いフォアが決まる

 1-2 錦織S 錦織のショットがアウト、デルポトロミニブレ

 1-3 錦織S チャンスボールをデルポトロがネットに掛ける

 2-3 デルポS センターへのサービスをフォルトと判定され、納得いかないままプレイしリターンを大きくアウト。ミニブレバ

 3-3 デルポS センターへのサービスエースを決める

 3-4 錦織S デルポトロがサーブのリターンをネットに掛ける

 4-4 錦織S 錦織がフォアのショットをネットに掛ける。ミニブレ

 4-5 デルポS サイドへのサービスで錦織がリターンしきれず、2セットポイント。

 4-6 デルポS フォアのウイナーが決まりデルポトロがセットを奪取

 

 タイブレークの2-3からのインのサービスをアウトと判定され納得がいかない表情を見せながらも、サーブでの優位性を生かし、フォアの強烈なショットも良く決まりました。

 錦織もミスはあるもののよく動け、綺麗なショットも決めています。ただサービスが前の試合程の冴えがない所を付け込まれてる形です。逆にデルポトロのサービスにはかなり苦労しています。 

 

2ndセット

 第1ゲーム、40-15から、デルポトロのサービスがアウトと副審に判定されたのを主審がオーバールールでイン判定した事により、デルポトロが主審とハイタッチをするという非常に珍しいパフォーマンスを見せる(先ほどのインをアウトと判定した事もあって)。これに会場が大いに沸く。

 第2ゲームは、錦織がそれまであまり決まっていなかったドロップショットを決めるなどして危なげなくキープし、互いにキープから始まる

 第4ゲーム、ドロップショットが決まらず、またリターンショットをアウトし、ブレークを先行される

 デルポトロはサーブをセンターやサイドに打ち分け錦織はこれに全く対応ができなくなる。

 第9ゲーム、デルポトロのSFM。デルポトロが左右に揺さ振られても鋭いショットで切り返し錦織を翻弄すると、最後はセンターへのサービスエースで締めくくる。

 2ndセットのデルポトロは驚異のアンフォーストエラー0で試合を終えました。

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 1stセットの段階ではまだどちらが勝つかはわからない程拮抗していました。

 サービスゲームで優位性を見せたデルポトロに、ストロークでの粘りを見せた錦織。ただ、タイブレークでミスを何度か出し、それが勝負を分けた格好となってしましました。

 2ndに入ると強打のフォアを打つとそれがことごとくコート内に収まるデルポトロを尻目に、錦織は簡単なショットをネットに掛けたりと焦りが見え、ラケットを投げたり、土を蹴り上げたりとメンタルも崩れた所が見えました。

 とはいえ、テニス自体は悲観する所はそこまでなく、体の調子も悪くはない感じでした。ただ、デルポトロが素晴らしいテニスをしていました。1セット中でアンフォーストエラー0は驚異的でこれだけミスをしない上に、サービスやフォアの強烈な武器を持たれては太刀打ちできません。完敗とあきらめが付く敗戦でしょう。

 

Aズべレフ 対 フォニーニ

 マレーを破って意気上がる地元選手のファビオ・フォニーニに対して20歳になったばかりのドイツの新鋭アレキサンダー・ズべレフが挑みます。

  1st 2nd 3rd result
Aズべレフ 6 6   2
フォニーニ 3 3   0

 立ち上がりはサービスゲームをお互いに危なげなくキープする。フォニーニも気分がよさそうである。

 しかし、今日のズべレフはショットの精度がよくクロスに打ち分けてフォニーニを苦しめる。すると、第4ゲーム、ネットにかけるプレイやダブルフォルトで突如崩れ、ズべレフがブレーク先行する。

 プレイぶりは悪くないものの段々とイライラが募るフォニーニは、第9ゲームのズべレフのSFSでのデュースでサーブリターンをネットに掛けるとラケットを投げ、テニスケースや副審の座る椅子に当たるなどの悪い部分のフォニーニが表に出てくる。そのままズべレフがこのセットを先取する。

 

 2ndセットの立ち上がりもズべレフの深いリターンに態勢が崩れてブレークされると不機嫌顔を隠さない。

 そして第2ゲームにブレークポイントを握った後、ズべレフのサーブがフォルトとの判定を主審がオーバールールでインに覆すと、フォニーニがつめ寄り大声で抗議する。観客も大ブーイング。ホークアイでは僅かにインでジャッジは正しいものの、そのゲームでの長いラリーをバックアウトで落とすと、跳ね返ってきたボールを大きく打ち返し、主審から警告を受ける。そのままズべレフがこのゲームをキープすると、フォニーニはまだ納得いかず、先ほどのインになった跡を何度も示し不満を表す。

 その後もボールを強く叩きつけたり、大声で叫んだりとペースを乱すと、ダブルフォルトやバックアウトなどして、2ブレークアップを許す。

 終盤は若干立て直したものの、第9ゲームのフォニーニのサービスゲーム、40-15と有利なカウントになるも、ズべレフの鋭いショットや強打をネットにかけるなどして逆にマッチポイントを握られてしまう。最後もリターンをネットに掛けてズべレフがストレートで勝利を収めました

 フォニーニは最後に主審に放送禁止用語を浴びせる程の荒れっぷりでした。

 フォニーニにはこれがある・・そんな試合でした、一旦崩れると自分からどんどんと負の要素を作り、主審にも悪印象を与え自分で苦しくしました。

 一方ズべレフは序盤こそいいテニスができていたものの、終盤にはフォニーニに引きずられたのかミスを連発するなど、安定感が今一つといった印象で、次の対戦相手のラオニッチには相当な覚悟で挑む必要がありそうです。

 

チリッチ 対 ゴファン

 第6シードのチリッチと第9シードのゴファンの試合。ゴファンはクレーシーズン好調を維持しているもののローマでは1,2回戦とフルセット激戦を演じ明らかに疲れが見えます。対するチリッチはシーズン序盤早期敗退の流れを断ち切り尻上がりによくなってきており、体力も十分という所です。

  1st 2nd 3rd result
チリッチ 6 6   2
ゴファン 3 4   0

 序盤からチリッチは調子の良さを見せる。特にサービスの調子がよく、ゴファンはリターンに苦労する。対するゴファンは疲れが見えるのか凌ぐテニスとなるものの、チリッチのストロークも良く、ブレークを奪われてそのまま1stセットはチリッチが先取する。 

 2ndセットに入るとゴファンが疲労からかマッサージを2度にわたって受ける場面も見られる。

 先行ブレークも取られるものの、ゴファンはあきらめずしぶといショットで隙を付きブレークバックを果たす。

 しかしこの日のチリッチはバックハンドの精度がよく、ゴファンが左右に振られて対応できなくなり、ブレークを握り返すとそのままストレートでチリッチが勝利しました。

 ここまでクレーシーズン好調を見せいてたゴファンはローマではどの試合も疲労の色を濃く見せており、全仏までにしっかりとした休養が必要でしょう。

 逆に、フルで決勝まで戦い続けているティエムやナダルのスタミナが恐ろしい限りです

  

ジョコビッチ 対 バウティスタ

 調子が今一つ上がってこないジョコビッチと、クレーシーズンこちらも今一歩のバウティスタとの試合。

  1st 2nd 3rd Result
ジョコビッチ 6 6   2
バウティスタ 4 4   0

 調子が悪いと思われてた両者ですが、この日は鋭いショットをコーナーに打ち分け、かつ粘りのあるテニスを両者が展開する白熱した戦いとなります。

 ジョコビッチはショットの精度も上がり、決めるショットの回数も多く、ライン際に鋭く決まる回数も増えました。また、粘りも出てきて、バウティスタのコーナーギリギリのショットに追いつくだけでなく、対角に見事にコントロールしポイントを奪取していきます。

 1stセットはブレークを奪ったジョコビッチがそのままセットを取ります。

 2ndセットはジョコビッチが先にブレークを奪うも、バウティスタもよく粘りブレークバック。しかし、動きの粘りが出てきたジョコビッチは決まったかと思われるショットにも追いつきライン上に載せるショットで再びブレークポイントを奪うと、最後は深いリターンにダウンザラインにギリギリのショット。主審の確認を要したもののイン判定となり、ストレートで1時間41分の勝負を制しました。

 調子は少しずつ上向いてきているジョコビッチ。ただし、今日レベルの出来のデルポトロ相手だと分が悪いかもしれません。今シーズンは既に2度対戦し、2度勝利しております。

 

ナダル 対 ソック

 クレーシーズン16連勝で危ない試合もほとんどなく盤石のクレー王者ナダルに対するのは調子の振れ幅はあるが、絶好調であれば体がどこまでも動くソックとの対戦。

  1st 2nd 3rd Result
ナダル 6 6   2
ソック 4 4   0

 この日のソックは強打や粘り、ショットの精度がとてもよく、ナダルに食い下がってはいましたが、そのプレイをも全て受けきり、かつ鋭いクロス性のショットでポイントを重ねたナダルが優位に立ち、ブレークポイントも凌ぎ、ナダルがセットを取ります

 2ndセットもソックはあきらめず、ブレークされても、強打を繰り返し直ぐにブレークバックに成功します。

 しかし、この日はあまりコート深く守らず前に出る積極性を見せるナダルは早い勝負を挑みソックを追い込むと、第9ゲームのソックのサービスゲームで3つのブレークポイントを握るナダル。ここでソックが連続でリターンをネットに掛けてナダルが再びブレーク先行すると、次のゲームのSFM。マッチポイントを迎えると左右に振ってのバックのストレートでストレート勝ちを収めました。 

 共に平均ストロークスピードが122キロと高く、ドロップをあまり使わず正面から打ち合う見ごたえある試合でした。ドロップの多いナダルですが、正面から打ち合っても気鋭のソックを破る程に力強く、隙がありません

 

ティエム 対 クエリー

  1st 2nd 3rd Result
ティエム 3 6 7 2
クエリー 6 3 6(7) 1

 総合的な力強さと運動量で伸び盛りのティエムにサーブの強さと思い切りで勝負するクエリーの試合は、ファイナルセットのタイブレークまでもつれ込む接戦に。

 タイブレークでは常にクエリーが先行する展開で、先にクエリーが2つのマッチポイントを迎える。しかし、ここでティエムはまたしても強打と思い切りのよい角度のついたクロスショットで切り抜ける。

 クエリーが逆クロスのショットを打つとティエムがこれをアウトしクエリーに3度目のマッチポイントが来る。しかし、ここでもティエムは声を出し強打を連発し、危機を脱する。

 そして今度はティエムのマッチポイントが来る。クエリーは土壇場でティエム程強振できない。そこをティエムは容赦なくたたくと、クエリーの懐深く入ったショットをクエリーがリターンするがバックアウトとなり、ティエムが激戦を制しました

 

 追い込まれてからのティエムはこちらが怯む程に強気な姿勢を見せます。この試合も多くのファンが最後まで残っており(セッションが遅いため、観客の大部分が帰宅していた)、ティエムに魅了されるテニスファンは今後も増えそうです。

 

QFベスト8

 QFでの対戦カードは以下の通りです

 

 Aズべレフ 対 ラオニッチ

 イズナー 対 チリッチ

 ティエム 対 ナダル

 デルポトロ 対 ジョコビッチ

 

 クレイコートに不向きな者同士のイズナー対チリッチが興味深いですが、何といってもティエム対ナダルが最注目のカードとなるでしょう。

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