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2017 ATP1000マスターズ マイアミオープン 準決勝 フェデラー対キリオス戦

 マイアミオープン準決勝第二試合、フェデラー対キリオスの試合は今年最大の熱戦となりましたが、フェデラーが勝利を収めました。

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試合を支配するのはフェデラー、だが

 QFのキリオス対ズべレフ戦もいい試合でしたが、この時は試合的にはいい試合でも、内容はキリオスがズべレフを圧倒していました。サービスゲームではズべレフに殆ど隙を見せてませんでしたし、結果以上の完勝だったと思います。

 これに対して、フェデラー戦ではキリオスはズべレフ戦とは全く様相の違う試合を強いられます。

 キリオスの調子はズべレフ戦と比べても好調をキープしているように見えましたが、それ以上にフェデラーの攻めが早く、サービスゲームでキリオスに全く隙を与えない序盤。逆にキリオスは得意の高速サーブもフェデラーにリターンされ、苦しいゲームが続きました。

 しかし、ほんの1回の隙であるブレークポイントでブレークを奪う当り、今年のキリオスは集中力が違う、、と思いきやフェデラーが負けん気でネットに出てのポイントを重ねてブレークを奪い返す。

 タイブレークはお互いの攻めが見ごたえがあり、フェデラーもよく動けていて一歩も譲らない展開に、しかし、セット全体でやや押し気味だったフェデラーが11-9でタイブレークを制する。

 

紙一重のタイブレーク

 2ndセットもフェデラーに比べてキリオスがサービスゲームで苦しむも、互いにキープを続けてこのセットもタイブレークに。

 タイブレークではまたも7ポイントでは決着がつかず、キリオスが前に出てきたフェデラーの横を抜くパッシングショットを炸裂させるなどして、11-9で1stセットのミラーゲームでセットオールとなる。

 

痺れる展開の最中

 第3セットに入るとフェデラーの体力が若干落ちてきて、それまでキリオスが苦戦していたサービスゲームでも特にピンチがなく、お互いノーブレークポイントのままタイブレークに。

 タイブレークもお互いに一進一退の攻防が続き、スマッシュやロブではラリーが終わらない痺れる展開に。

 しかし、5-4からのキリオスのサーブで、キリオスの深いショットに観客が大きく「アウト」と叫んでしまう。

 これに調子を崩したキリオスは大きくリターンをアウトし、観客に向かって「何をやっているんだ」と罵倒する。すると、会場全体が大ブーイングに包まれる。

 イライラが収まらないキリオスは、次の1stサーブもキレたような強打でフォルトとなると、観客はここぞとばかりに「フォルト!フォルト!」の大合唱となる。

 この状況を抑える程キリオスの精神は整っておらず、2ndもダブルファースト級のサーブを放ち、フォルトとなると、観客は大声援を送るという始末に。

 そして、最後はフェデラーのサーブに集中しきれてないキリオスはうまく反応できず、そのままゲーム終了となった。

 

 試合が終わった後、キリオスはラケットを思い切り叩きつけ、フェデラーは落ち着くように肩を叩く。その後、観客に大きくガッツポーズし、観客をあおり続けるフェデラーも役者である。

 

いくらメンタルが成熟していないとはいえ、、これは違う

 キリオス選手と言えば、私生活も派手で、試合でもトリッキーなプレイを連発させる。ズべレフ戦では股下ショットを数多く成功させ、フェデラー戦でもそのプレイを見せている。

 また、サーブは230キロを超え、ワイドにも220キロ近くのサーブを叩きこむ。サーブだけではなく左右に運動量豊富で、ストロークも力強い。穴が本当に少ない選手に成長しています。

 とは言え、気合が乗らない場合はサーブも適当に扱い、自ら負けを選んだかのようなプレイも見せ、去年の上海マスターズではそれがために、年内の試合を全て出場停止処分を受けるはめに。

 しかし、今年は若手筆頭同士のズべレフと2度戦い、2度とも完勝し、メンタルが整わないとはいえ、ジョコビッチにも完勝の2連勝を飾るなど、メキメキとその階段を上っています。

 この試合の第三セットのタイブレークで起きた事は、普通であれば、「アウト」と言った観客にこそブーイングが与えられるべきです。ウインブルドンや全豪、ファイナルなどでは間違いなく非難されたのは客だったはずですが、マイアミオープンでは残念ながらキリオスを観客全体でスケープコートにしてしまいました。

 このブーイングには実は伏線があって、度々キリオスは観客とやりあってました。その積み重ねもあっての事か、この事態に客全体が感情的になってしまったという事なのでしょうか・・。

 いずれにしても、観客はそれだけにとどまらず、フォルトで歓声を上げるだけでは飽き足らず、「フォルト!」コールの大合唱は見ている側からも全く理解し難い光景でした。今回ばかりは試合終了でラケットを負ったキリオス選手を攻める気にはなれませんでした。

 

 しかし、それでもロジャーフェデラーはそれすらも耐えるべきという感じでキリオス選手の肩を叩き、観客を煽りました。

 

 フェデラーは常日頃から勝負に勝つには「勝者のメンタリティーが必要」と言っていますが、これに関しては、「観客を味方につける」事も入っていると思います。苦しくなった時に背中を押してくれる声援はやはりパワーをくれるものなのです。そのために、日ごろの試合から面白く攻撃的なテニスを繰り返し、年を取ってもあきらめない姿勢を見せてファンを引き付けてるのです。

 その重要性にキリオスが気づき、観客を沸かせるプレイを今後出来るかが彼が昇り詰める上でのキーポイントになりそうです。現状のままですと、優勝しそうな時には観客が敵に回る標的となってしまう可能性の方が高いのです。

 

錦織選手の猶予はほとんど無くなりつつある

 マイアミオープンに限った事ではなく、ズべレフ選手やキリオス選手の試合を見ていると、若手の成長は予想以上に早く、どんどんとその強度を増しています。

 ワウリンカ選手はズべレフ選手に2度も食われ、キリオス選手はジョコビッチを2連続で食い、調子を維持してるフェデラーとも渡りあいました。

 錦織選手は全豪でフェデラーにフルセットの勝負で肉薄した印象を持つ人もいるとは思いますが、このブログでも書いた通り、内容は完敗でした。そして、そこから錦織選手は全く調子が上向いていません。テニスのプレイ精度やメンタル面での上澄みも試合には表れていません。

 【速報→結果】全豪テニスオープン2017 4回戦 錦織対フェデラー

 2017全豪後 錦織選手の成長と猶予

 現在は左膝よりも右手首の問題の方が長引きそうな様相があり、予断を許しません。

 また、ランキングもここにきて7位と目に見えてダウンし、今後の大会でも引き続き上位進出によってランキングの維持がやっとという状況が続きます。

 ズべレフ選手がまだ力強さが備わってない部分では猶予はありますが、キリオス選手のメンタルが劇的に改善された場合は錦織選手は現状では太刀打ちできる術がありません。対戦成績で有利であるという事はわかっていますが、それは過去の結果にすぎず、現状では太刀打ちできるとは思えません。

 クレーのような体力の負荷がかかるシーズンは少し試合を削ってでも体調を万全にして、全仏や全英に挑む選択を迫られているのではないかと感じます。

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