錦織選手 全仏のシード8維持が困難を極める状況に
本日5月12日(金)に行われるはずであった、ジョコビッチ対錦織の対戦は、錦織の右手首痛のためウオークオーバーとなりました。
2017 ATP1000 マドリードマスターズ QFベスト8 錦織対ジョコビッチ、錦織無念の棄権、その他選手
バルセロナを欠場して2か月程の調整期間でも完治せず、長期化及び慢性化が心配される所です。今後の健康状態に関してはチームとどのように取り組んでいくかにかかっております。とりあえず、マドリードでの戦いは終わりました。錦織は180ポイントを得てマドリードを後にすることになります。昨年はSF進出で360ポイントを重ねていましたので、ポイントダウンとなります。
ベスト8近辺のポイント状況
*ツオンガ選手は1回戦を突破しているため45ポイントと加算です。失効後合計が2780となります。
錦織選手8位にランクダウン 全仏までのシード8維持は可能か?その2
ティエム、ゴファンに抜かれる可能性
全仏オープンまでの失効を加味したポイントでは現在まだ錦織選手はシード8圏内にいます。9位はディミトロフで差は400ポイントあります。しかし、現状のプレイぶりを見るとディミトロフより怖いのはティエムで間違いないでしょう。
ティエムはマドリードでもまだ勝ち上がっており、テニスの内容も良いです。ディミトロフとの死闘は負けてもおかしくない試合ですが、ティエムが悪いわけでなく両者ともに良いプレイをした白熱したバトルであり、この競り合いに勝てた事は何より自信を与えてくれるはずです。更に、トップハーフではティエムを除いてシード8以上の選手が全て敗れています。ズべレフ選手が対抗馬でしょうが、現状はまだティエムとは差があると見ます。決勝まで勝ち残る可能性が高いです。
次に脅威となるのがゴファン選手。ゴファンは昨日もラオニッチを寄せ付けない圧巻のテニスを披露し、本日はついにモンテカルロでの因縁めいた縁が生まれたナダルとの対決です。厳しい戦いとなるでしょうが、ここで勝つと、おそらくそのまま決勝までたどり着くでしょう。
ティエム、ゴファンは状態的にもローマでの活躍も期待されます。錦織の右手首の状態を考えると高ポイントを加えてくる事が予想されます。
チリッチは抜けず、ツォンガ、ディミトロフは届かない
チリッチ選手は失効が少なく、錦織が全仏までにチリッチを抜くには最低でもSF以上、チリッチが活躍するとF進出及び優勝が条件になり、状態を考えれば絶望的と言わざるを得ません。
これに対して、既にマドリード敗退しているツォンガ、ディミトロフ選手ですが、ツォンガは奥様の出産後は家族との時間を大切にしているようで調整が十分でなく、ディミトロフはティエムとの激戦でクレーでの可能性を感じさせましたが、それでも全仏までに錦織を捉えるにはF進出及び優勝が条件となり、こちらも抜かれる事はないでしょう。
錦織のローマ(イタリア)マスターズでの活躍の可能性
これに関しては、、、厳しいと言わざるを得ません。今回のマドリードで試合をやった上での棄権ですが、ローママスターズは来週すぐに開催されます。手首通がどのレベルかはまだ言及されていない状況で、試合を棄権するレベルとなれば、ローマでも全力で挑める公算はないと考えるのが普通です。大会出場すら危ぶまれます。
全仏より先に照準を合わせる時期にきている
錦織選手は「100%の状態でいけないので、リスクを避けるために棄権を選びました。ローマに関しては様子を見て決めたい、全仏や大事な大会なので、2,3日あれば大丈夫でしょう」。ジョコビッチ戦でリスクのある戦いになる事は避けられないという判断もあったのでしょう。ローマはおそらく棄権が予想されます。治ってすぐ試合となっても、そこまで思い切りのよいショットが打てるかは怖さも伴います。
2月のクレーコートの2大会出場や、怪我が完治せずにマドリード大会出場を見ても、全仏に向けて色々な錯誤の元に調整しているのは明らかですが、それは体調が万全であればこそで、現状で万全な体調で全仏を望める可能性は高くない事は本人も感じている事でしょう。
年初からのスケジュールで目標にあげていた全仏ですが、ここにきて軌道を修正する必要があるように感じます。無理に全仏に調整するより、その先の得意なコートで錦織らしいプレイを見せてくれればよいのではないでしょうか。