2017 イタリア国際(ローマ)オープン SF準決勝 Aズべレフ初のマスターズ決勝進出 ジョコビッチ対ティエム戦
5月20(土)21;30より行われているイタリア国際(ローマ)オープンのSF準決勝2試合。
昨日サスペンデットで順延となったジョコビッチ対デルポトロ戦はジョコビッチが次の試合を見据えたテニスで勝ち上がっています。
2017 ATP1000 イタリア国際(ローマ)オープン 4回戦QF ティエムがナダルに完勝 ジョコビッチ順延の末勝利
Aズべレフ 対 イズナー
トップハーフでの最終対決となるこのカードは大方の予想を裏切る両者が上がってきました。
ズべレフは相手の不調や突然の乱調などで勝ち上がってきた印象ですが、ストロークとサーブ両方が高水準で安定し、未来を背負って立つ逸材と目され、ATPツアーの宣伝でもかなり登場頻度が多くなっています。
イズナーはビックサーバーでクレイコートは得意ではないものの、ワウリンカやチリッチを破るなど、昨年のパリのマスターズ決勝進出に続く快進撃を見せています。
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1st | 2nd | 3rd | Result | |
Aズべレフ | 6 | 6(5) | 6 | 2 |
イズナー | 4 | 7 | 1 | 1 |
互いにサービスの強さが際立ち、ショートポイントでキープが続く展開。
第4ゲーム、イズナーのサービス。イズナーの1stサービスの入りが悪く、2ndサーブでのストロークで優位に進めるズべレフは、ブレークポイントを握ると、ドロップショットを繰り出しイズナーが届かず、ズべレフが先行ブレークを握る。
その後のストロークもほぼズべレフが主導権を握り、引きつけての逆サイドのショットやイズナーの甘いリターンを叩き、ズべレフのサービスゲームではほぼ無風状態。
イズナーはサーブ&ボレーや、ネットプレイで流れを引き戻そうとするも、ズべレフがミスをしない。最後はイズナーのリターンがネットに掛り、結局この1ブレークを守り、ズべレフが6-4で1stセットを取ります。
ズべレフは1stセットウイナー14本に対してアンフォーストエラー2と完全に主導権を握っています。5ショット以上のストロークになるとほとんどズべレフが制しています。
2ndセットも互いのサービスに苦労し、共にブレークポイントも与えない展開になる。
しかし第9ゲーム当りからズべレフのショットの精度が落ち、アウトショットを連発するようになる。
結局1度もブレークポイントを握る事のないこのセットはタイブレークに突入する。
タイブレークに突入すると、ズべレフのミスが更に顕著に増え、サーブリターンをネットに掛けたり、チャンスボールを大きくアウトするなど、らしくないプレイで5-0と一気にイズナーがチャンスを迎える。
そこからは多少持ち返したものの、イズナーの逆クロスがライン際に決まり、タイブレークカウント7-5でイズナーがセットを取り返す。
3rdセット、ズべレフのショット精度が戻るかどうかによってはワンサイドの展開も予想されたが、第1ゲームをラブゲームキープし、落ち着きを取り戻す。
すると第2ゲーム、長いラリーからイズナーの浅いショットをズべレフに追いつかれ、更にはサーブ&ボレーでのリターンをネットにかけ、ズべレフに2つのブレークポイントが来る。するとイズナーの2ndサーブで前に出た所を深めのリターンショットを決めてズべレフがブレーク先行し、雄叫びを上げる。
しかし第5ゲーム、ズべレフのショットミスに、イズナーの開き直った強烈なリターンエースが立て続けに決まり、3つのブレークポイントを握られる。ここでズべレフがサービスエースで一息つくと、ストロークでイズナーを翻弄し、このブレークポイントを凌ぎ切りキープに成功する。
イズナーの表情からは気落ちした仕草が見られ、以降のサーブもズべレフに対応され、更にブレークを許す。
第7ゲーム、ズべレフのSFM。ズべレフがあっという間にマッチポイントを握ると、ミスを犯しながらも最後は華麗なスマッシュで試合を締めくくりました。
ほとんどがショートポイントで決着がつく、おおよそクレーの試合展開とは言い難い試合でしたが、互いの持ち味は出せた試合でしょう。イズナーは3rdセットで見せた開き直りの強打リターンがもっと早く出るようになれば面白い試合になった事でしょう。
ズべレフは一度ペースが落ちると相手がミスをしない限り中々立ち直れない危うさを見せましたが、ビックサーバーのイズナーよりも多くのエースを決め、かつローマの試合でも1試合平均23エースを決めてきたイズナーのエースを8本に抑えるなど、強烈なサーブに対して準備が出来ていました。
エース41本に対してエラー15本は見事でしたが、イズナーがストロークが強くないのもあってエースが増えた印象で、ティエムやナダルが相手となると今日と同じ内容ではこの数字にはならないでしょう。
本当の強さを見せたとは言い難いズべレフですが、マスターズの決勝という舞台に立つ事はかなりの経験となるでしょう。週明けのランキングでも14位と過去最高を更新する事が確定しており、かつ全仏のシード16も確定しました。
ジョコビッチ 対 ティエム
クレー無敗のナダルを破り、やる気がみなぎると予想されるティエム。方や徐々に調子を戻してきているジョコビッチ。勢いでそのまま押し切るティエムか、ジョコビッチが勢いをしっかり抑えて相手のテニスをさせないかが注目されました。
1st | 2nd | 3rd | Result | |
ジョコビッチ | 6 | 6 | 2 | |
ティエム | 1 | 0 | 0 |
1stゲーム
最初のプレイからお互い激しいクロスの応酬にネット前、スマッシュなど1つのポイントで多くの攻防があり見ごたえのある試合を予感させた攻防。
ジョコビッチはこの日もショットが鋭くストローク速度が速く、ストロークでティエムに全く負けず、むしろティエムの態勢を崩すと、ティエムのショットがアウトになり、ジョコビッチが万全のキープを果たす。
第2ゲーム、ティエムのサービス。ジョコビッチの深い威力のあるショットにコントロールがままならないティエムはアウトを繰り返し、3つのブレークポイント握られる。ティエムが鋭いサイドへのサービスを放つもジョコビッチは鋭いリターンで切りかすと、ティエムがショットをアウトし、ジョコビッチがブレークを奪う。
第3ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチの執拗なバックハンド攻めにティエムは左右に的を絞れずショットミスを連発し、ジョコビッチがキープする。
第4ゲーム、ティエムのサービス。ナダル戦と違い厳しいコースを狙ったショットがことごとくアウトになり2つのブレークポイントを握られる。ジョコビッチは甘い2ndサーブにストレートの強打を打つとティエムがリターンをネットにかけ、ジョコビッチが連続ブレークを取る。
その後もジョコビッチはラリーで待つことをせずに強いショットを立て続けにうちティエムに時間を与えないテニスを披露する。更にそのジョコビッチのリターンが深く、ティエムは思うような打点で打たせてもらえない。
ジョコビッチはこのセット6-1と圧倒的なスコアで先取する。
このセットのジョコビッチのアンフォーストエラーが1と正確無比なテニスを披露し、ティエムが対応しきれず、またロングラリーでは深いショットの連続に耐え切れずにアウトを繰り返す。
ポイント数でもティエム10対ジョコビッチ26と圧倒的なポイントの差があり、ロングラリー、ショートポイント問わずジョコビッチが多くのポイントを獲得。
2ndセット
第1ゲーム、ティエムのサービス。ティエムはバックハンドの精度が悪いと見るやフォアの強打に切り替えて打開を図る。しかし、ラリーをしようにもアウトやネットにかけて、早くもジョコビッチにブレークポイントを握られると、左右に振られ、回り込んでのフォアがコートを捉えず、ジョコビッチが早くもブレークに成功。
しかし第2ゲーム、長いラリーからの思い切りのよいバックハンドを決め、更にジョコビッチのリターンがアウトになるなどしてデュースに持ち込む。ここでジョコビッチはサーブの威力でティエムを崩し、キープに成功する。
第3ゲーム目、ティエムのサービス、40-0と楽にゲームを取ると思われたが、ティエムの精度を狂わすように深い威力のあるショットを放ちブレークポイントを握るジョコビッチは、ティエムの強打に全て深いショットで対応するとティエムが堪えきれず決めに行ったショットをアウトし、ジョコビッチが1stセットに続いて連続ブレークと王者の風格が戻ってくる。
第4ゲーム、ジョコビッチが相変わらず良いプレイを続けているものの、イージーなボレーをアウトするなどして、ティエムに2回のブレークポイントが来るも、その都度サービスで凌ぎ、最後はティエムが全く動けない深いクロスを決めてキープする。
第5ゲーム、ティエムのサービス。ジョコビッチはティエムのフォア側を執拗に狙うとティエムが反応できなくなってくる。更にはダブルフォルトでこのゲームもジョコビッチに2つのブレークポイントを握られると、深いリターンエースが決まり、3連続ブレークと無慈悲な強さを発揮するジョコビッチ。
第6ゲームのジョコビッチのSFM。このゲームもティエムを翻弄するジョコビッチは最後も強烈なサーブをティエムがネットに掛けて、試合時間59分と1時間を切る速攻劇を完成させたジョコビッチが決勝へと進みます。
試合開始最初の1プレイを見た時は拮抗した痺れる勝負を予想したものの、それ以降はジョコビッチが計算だけではなく、力強さでもティエムに負けない事を示しました。
ジョコビッチはブレークを取るたびに大きな雄叫びを上げティエムを威嚇し、2ndセットの第4ゲーム当りからティエムはジョコビッチのリターンを追えなくなる場面が目立ち始めました。
ティエムもバックの不調をフォアで補おうとしたものの、ジョコビッチの速い攻めによりリターンのコースを定める事に苦労しました。そうしているうちに状況が絶望的になり、最後は半ばあきらめたようなプレイぶりに、観客からも小さいながらもブーイングが聞こえました。
とはいえ勝因はやはり攻めの速さでしょう。平均ストロークスピード121キロはとても早く、いかに遊び球を少なくしてティエムに対応する時間を与えなかったかが見て取れる数字でしょう。
決勝は ジョコビッチ 対 Aズべレフ
イズナーを破り、マスターズ初の決勝進出のズべレフは、ナダルを破ったティエムの心をへし折って退けたジョコビッチとの対戦になりました。
プレイの鋭さも戻り、相手によってテニスのスタイルを代えながらも自分から仕掛ける力強さも戻ってきたジョコビッチにほとんど隙はなく、ズべレフがレッスンを受けるという展開になりそうです。
大方のそういう予想を跳ね返し、若さ溢れる力強いテニスをズべレフがしてくれる事を期待します。