週末はスポーツ観戦

テニス中心に、サッカー、野球などの観戦記や思った事を徒然に赴くままに

コンテ新契約締結に見えるチェルシーの内部事情

f:id:chiyasyas:20170719124406j:plain

 

 7月18日(火)未明、チェルシーのアントニオ・コンテ監督が新契約を締結しました。契約期間はそのままに昇給アップを勝ち取りました。

 このニュースを見ると、コンテ監督は現状のフロントと良好な関係を保っており、連携もしっかりとれているという「印象」を与えます。

 が、果たしてそうでしょうか。

 

 

コンテの契約内容

 コンテ監督の給料は年俸で税抜き9m£でこれは日本円にして13億超となり、チェルシー歴代監督で最高の待遇となるとの事です。

 また、このタイミングでイタリア人のコーチの2人の入閣(アシスタントコーチにはパオロ・ヴァノーリ、選手分析アシスタントにはダヴィデ・マッツォッタ)も決まりました。これに関してはコンテ監督の要望が通った形となるでしょう。

 しかし、気になるのは「契約期間が3年契約のまま」という所でしょう。フロントと相思相愛で今後のプロジェクトにも期待が持てるのであれば、更なる年数の延長はあって然るべきでしょう。このタイミングで昇給アップだけというのはコンテにとっては良い知らせであっても、回りから見れば肩透かしの印象が強いです。

 

各ポジションの補強 各ポジションに懸念有

 チェルシーは不動のCFコスタのメール問題から、エバートンのFWロメロ・ルカクの獲得に失敗し、更には新たなFWの獲得は全く進んでいません。

 中盤にはモナコからMFティエムエ・バカヨコを獲得し、層が厚くなったように見えますが、成長株のチャロバを放出し、更にマティッチもチームを出たがっているという報道も出ており、このままでは層は逆に薄くなってしまいます。

 DFではローマからアントニオ・リュディガーを獲得。粗削りながら長身とスピードを併せ持ち今後大きく飛躍する可能性のある良い補強です。しかしこのポジションも成長著しかったネイサン・アケをボーンマスに完全移籍で放出し、クルト・ズーマも放出の線で交渉が進んでいます。ボルシアから復帰したクリステンセンはまだチームに残るか余談を許さず、選手層としては厚いとは言い難いです。

 サイドバックも、昨シーズンはアロンソとモーゼスが予想外の活躍を見せましたが、飛躍的に試合数が増加する中バックアッパーかそれ以上の取ってかわる選手の補強が進んでいません。ユベントスのサンドロの交渉は進まず、相思相愛なはずだったモナコのメンディはマンチェスターシティに移籍濃厚です。アロンソ、モーゼスが去年以上の活躍を見せるのであれば問題はないでしょうが、チャンピオンズリーグを考えると質をもう少し上げたいというコンテの希望はありそうで、それがサンドロに拘っている理由でもあるでしょう。質的に見た場合はアロンソに文句はなく、むしろ右サイドバックの補強がどうなってるのかは気がかりです。新加入のリュディガーがプレイ可能ですが、そうなるとセンターバックの層が一気に薄くなりますし、攻撃性能が落ちます。

 

主力の慰留状況

ジエゴ・コスタ

 周知のとおりコンテとの仲は終焉しており、アジアツアーにも同行しませんでした。

 更に、ツアー出発翌日に自国ブラジルでのパーティーではアトレティコマドリーのユニフォームを着て満面の笑みで楽しむ姿を公開されています。

www.youtube.com

 このような状況から移籍は避けられず、残留しても戦力とは考えられないでしょう。チェルシーファンとしてはとても残念な出来事です。

 

ネマニャ・マティッチ

 マティッチもアジアツアーに同行されず、退団が一気に加速しています。6月から噂のあったモウリーニョ率いるマンチェスターユナイテッドが有力視されていますが、交渉が進んでいない所を見ると、モウリーニョの獲得優先順位は低いというのが現状でしょう。マティッチもコンテ監督に不満があるとされ(ツアー非同行を見ても明らか)、このまま残留しても戦力とはならないでしょう。

 

エデン・アザール

 チームが不調の時はチームを出たいと発言したりと何かとやきもきさせるものの、好調時のプレイは一級品のアザール。コンテ監督との仲は可もなく不可もなくという所でしょうか。今シーズンのチーム状況次第で彼の気持ちも変わるでしょうが、現在骨折の影響で開幕に間に合わないだけに、このタイミングでの移籍はまずないでしょう。

 

ティボー・クルトワ

 マドリーのぺレス会長のお気に入りで常に狙われているキーパーです。しかしクルトワに関してはモウリーニョとは微妙な関係でしたが、コンテとの関係は非常に良好でよく会話もするとの事。更には優勝決定試合で真っ先にコンテに抱き着くなどコンテ監督がいる限りは安泰と見ます。

 

セスク・ファブレガス

 常に試合に出るわけではないものの、出場するや否や決定的な仕事をする選手です。ミランへの移籍がさかんに取りあげられてましたが、新シーズンの主力選手として盛んにチームが押すのを見ても残留の線が濃厚です。ただし、バカヨコの加入で去年と同じく控えの座となるかどうか、そのような状態が続けば今後は異なる未来が待ってます。

 

コンテ監督の要望

 コンテ監督の要望はやはり、ユベントスのサンドロ獲得とレアルマドリードのFWアルバロ・モラタの2人でしょう。このビックネーム2人を加える事により、コスタ放出の穴埋めとサイドの選手層の底上げが実現できます。ナポリのクリバリーの交渉が進めば尚よいですが、現状ではほぼ沈静化したと見るべきでしょう。

 とはいえ、コンテ監督は補強や放出が例えうまくいかなくても契約更新した事により少なくても今シーズンは指揮を執るのは間違いないです。

 

フロントの思惑

 しかし、チェルシーの懐事情は数年前から独自予算を組みアブラモビッチの資産が関与しなくなっている状況から、それ程余裕がありません。それは新スタジアム建設に莫大な費用がかかるからです。モウリーニョ2期の3年目の酷い補強はその煽りをモロに食らっています。昨年も決してうまく事が進んだわけではないです。

 そういう観点からしても、今年も上記に狙ったビックネームが取れる公算はほとんどないでしょう。どこかで妥協案として取ってくる選手をコンテがうまく使えるかどうかにかかっているでしょう。そしてフロントはコンテにその再現を期待している。というのが現状でしょう。

 

誤魔化しが効かない今シーズン

 昨年はうまくいきましたが、試合が増える今シーズンは昨年以上に誤魔化しが効きません。1月のトッテナム戦や4月のユナイテッド戦など弱点を見事に付かれて負ける試合は増えると予想されます。

 そういった意味でも違う戦術を取れるオプション的な選手は必要となるでしょう。

 現状のチェルシーであれば攻撃に高さがないです。この部分のオプション的な選手、あるいは中盤ではアザール以外でドリブルに持ち味がある選手がもう1人いてもいいように思います。

 

 妥協の補強が実るか、狙った補強が成功し新シーズンを迎える事が出来るか、プレシーズンは始まっていますが、この1か月は予断できない動きがまだあると信じています。

 

スポンサーリンク