全米SF進出者4人の男子テニスランキングポイント推移
全米オープンテニスも残す所準決勝、決勝の3試合のみとなりました。ナダル、デルポトロ、カレーノブスタ、アンダーソンが勝ち上がっています。ここまで多くの波乱があり、ボトムハーフはまさかの展開を見せています。
そんな中、彼らが今回の躍進でランキングにどのような影響が出るのかについて。
現状考えられるポイント推移は以下の8パターンになります。
①ナダル優勝 カレーノブスタ準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 9465 |
カレーノブスタ | 10 | 3335 |
アンダーソン | 22 | 1990 |
デルポトロ | 24 | 1820 |
②カレーノブスタ優勝 ナダル準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 8665 |
カレーノブスタ | 6 | 4135 |
アンダーソン | 22 | 1990 |
デルポトロ | 24 | 1820 |
③ナダル優勝 アンダーソン準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 9465 |
カレーノブスタ | 10 | 2855 |
アンダーソン | 15 | 2470 |
デルポトロ | 24 | 1820 |
④アンダーソン優勝 ナダル準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 8665 |
アンダーソン | 10 | 3270 |
カレーノブスタ | 11 | 2855 |
デルポトロ | 24 | 1820 |
⑤デルポトロ優勝 カレーノブスタ準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 8185 |
カレーノブスタ | 10 | 3335 |
デルポトロ | 11 | 3100 |
アンダーソン | 23 | 1990 |
⑥カレーノブスタ優勝 デルポトロ準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 8185 |
カレーノブスタ | 6 | 4135 |
デルポトロ | 19 | 2300 |
アンダーソン | 23 | 1990 |
⑦デルポトロ優勝 アンダーソン準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 8185 |
デルポトロ | 10 | 3100 |
カレーノブスタ | 11 | 2855 |
アンダーソン | 14 | 2470 |
⑧アンダーソン優勝 デルポトロ準優勝
順位 | ポイント | |
ナダル | 1 | 8185 |
アンダーソン | 10 | 3270 |
カレーノブスタ | 11 | 2855 |
デルポトロ | 19 | 2300 |
上記のような推移をたどります。
ナダル選手の1位は確定しており、他の選手の推移となりますが、特にカレーノブスタ選手の躍進が顕著になります。
カレーノブスタはSFに敗れても11位に大幅ランクアップが確定しており、デルポトロやアンダーソンが優勝しないかぎり初のトップ10入りとなります。更に優勝した場合は一気に強豪を抜き去り6位までランクアップします。ここまで行くとトップ選手として扱われる事になります。
アンダーソン選手は優勝すると無条件でトップ10返り咲きとなります。準優勝でもトップ15に入り十分躍進しますが、SF敗退止まりですとさほどランキングは上昇しない事になります。
デルポトロ選手もアンダーソン選手と似たような傾向ですが、カレーノブスタが決勝に上がって来た場合は優勝しても11位止まりとなります。アンダーソンが決勝に上がってきての優勝の場合に限りトップ10返り咲きとなります。
こうしてポイントを追うとわかるのですが、カレーノブスタ選手が上がってくる事を完全にアウトサイダーとして扱うのは誤りがあるという事がわかります。テニスのプレイぶりに派手さはないですが、気迫と粘り強さはトッププレイヤーに間違いなく近づいています。尚且つ怪我で芝シーズンをスキップしたにもかかわらずこの活躍はもっと賞賛されてしかるべきです。
とは言え、ここまでの勝ち上がりを見て彼がイマイチ評価されていないのは致し方ない所もあります。
予選勝ち上がり内容
カレーノブスタ
前述した評価されない要因としては、1回戦から4人連続で予選勝者との対決が続いたという事です。これは史上初との事です。しかしこれは彼に原因があるわけでなく、予選勝者の奮闘、及びシード選手の不甲斐なさを責めるべきでしょう。4回戦で当たったシャポバロフは間違いなく勢いに乗っており倒すのは簡単な相手ではありませんでした。実際に際どい勝負をものにしています。
ドロー的には結果的に最も楽に勝ち上がった印象を見せるカレーノブスタですが、スイッチのONOFFの出し入れが見事で、タイブレークになるとビックサーバー化する当りに勝負所をわきまえていました。
準決勝の相手はこれまでに対戦した相手よりもサーブが桁違いに強い選手であり、彼の粘り強さがどう発揮されるかは興味深い所ではあります。
アンダーソン
アンダーソン選手も結果的に比較的楽に勝ち上がって来た印象を与えます。当初の予定では3回戦が最も大きな山場を迎えるという見方が強かったです。ハードコートに入って数度対戦し苦杯を舐めている成長株のアレクサンダー・ズべレフとの対戦が避けられないはずでした。しかしチョリッチが上がってきて、アンダーソンにとってはかなり与しやすい戦いとなり無難に勝利し、4回戦はシードが2回戦までに総落ちし、上がって来たロレンツィにストレート勝ち、QFは地元生き残りのクエリー選手との激闘になりましたが、地力で勝ったという印象の勝ち上がりを見せました。
ナダル
ナダル選手の勝ち上がりですが、実はボトムハーフ2人よりも容易に勝ち上がって来た印象です。調子の上がらない序盤戦は苦戦しました。3回戦はガスケ選手がシード落ちしましたが勢いのあるメイヤー選手にやや苦戦しました。しかし、4回戦もシードが総落ちし、上がって来たドルゴポロフにたやすく勝利し、QFも本命と目されたディミトロフを下したルブレフに格の違いを見せつける完勝です。
こう見てもわかる通り、ナダル選手はまだシード選手と1回も戦っていません。ナダル選手が上がって来た事でその事に触れられる事はないのですが、かなりの楽ドローで上がって来たのは否めないというのはこの事からも言えるでしょう。
デルポトロ
SF進出者4人の中で段違いにタフドローを味わったのは間違いなくデルポトロ選手です。当初からこのブロックは激戦区でした。好調のバウティスタと3回戦と早い段階で対決し、4回戦では若手気鋭のティエム、そしてQFではフェデラーとの対戦が予想されましたが、それらがすべて実現しました。つまりは、3回戦からすべてシード選手と当たっています。デルポトロのグループのみ上位勢が実力を持って上がって来たわけです。その上で、ティエム戦での激闘とフェデラー戦は間違いなく消耗戦でした。彼の場合は大会中に軽い病気にもなってしまいましたが、それでも勝ち上がってきました。ストーリー性的にも最もドラマチックです。
このような勝ち上がりを見ると、感情移入としてはデルポトロの優勝に多くのファンの心が動くのは自然と感じます。しかし、体調面で考えればナダルが盤石性を増してきており、そこにまた一つのドラマがあるとも感じます。ナダルのルブレフに対するテニスは全仏を思わせる容赦なさでしたし、そういうプレイこそがナダルの真骨頂です。隙を見せれば容赦なくナダルは襲い掛かります。
どのような結末を迎えるのでしょうか。