リバプール対チェルシー 2016/17イングランドプレミアリーグ 第23節 レビュー
1月31日(火)29:00
ライブ中継
スポナビライブ(生)
解説 鈴木隆行 実況 西岡明彦
Jスポーツ2(録画)20:00
解説 ベン・メイブリー 実況 下田恒幸
アンフィールドでキックオフ予定のこの試合に関して、現状どのような状態かを見て行こう。
リバプール ここ最近の敗戦をどう糧にできるか
リーグ戦ではホームでスウォンジーに足元を掬われ、
カップ戦ではサウサンプトンの前に完封で敗れ、
FAカップで2部チームのウォルバーハンプトンにまさかの敗北を喫しており、流れ的に最悪の状態と言えるだろう。
選手で言えば、前半戦獅子奮迅の活躍でチームの中心にいた、サディオ・マネのアフリカネーションズカップでの離脱が響いている格好だ。
尚且つ、マティブの怪我及び協会との揉め事の渦中で彼も本来の出来には程遠い。
その他の選手も軒並み調子を落としており、比較的安心して見られるはずのクラインまでも不安定なできとなっている。
唯一働いていたといえるのはフィルミーノなのだが・・。
そのフィルミーノが昨年年末に飲酒運転で、事もあろうかこのチェルシー戦での出廷となっている。
試合には出場できそうという情報ではあるが、試合前に出廷に行ってるわけで万全の精神状態で挑めるとはとても言えない。不安材料だろう。
アーノルドなど出場経験のない選手を使わざるを得ず、かといってニューヒーローが現れるわけでもなく、クロップの悩みは尽きない所か。
チェルシー 次々に問題をクリアし万全に見えるが・・
チェルシーはコスタ問題に一応の鎮静化が見られた事が何よりも朗報であろう。
第二FWのバチュアイに監督のコンテがあまり信頼を置いてないのは明らかで、コスタ不在の場合はアザールをトップとした変則5231を組むことが多い。そして、そのような試合で内容良く勝利を重ねている。
正月早々のトッテナム戦の敗戦は、完敗はだっただけに、逆にチームに影を落とすことなくうまく回っている様子。
けが人に関してはズマがまだ本調子に戻っていないのは気になるものの、前半戦活躍していたボーンマスのネイサン・アケを呼び戻し、その他若手も何人か呼び寄せて冬はチームに帯同させている。
チームの顔になるべく期待されていたオスカルや、長年チームの控えとしてではあるがある程度の仕事をしていたミケルが中国へと去ってしまい、功労者イバノヴィッチにも移籍の噂はあるものの、それほどのダメージになるとは思えない。
とはいえ、ある程度のレベルで安定しているという印象で、上位チームに勝ちきれるかと言えば、そうとも言い切れない部分はまだ懸念材料であろう。
前半戦トップ5との試合(トッテナム、アーセナル、リバプール、マンチェスターシティ、マンチェスターユナイテッド)では3勝2敗ではあったが、アーセナルとリバプールには完敗と言える内容で、トッテナムやシティーには苦戦していた。
ここ最近のチェルシーのパフォーマンスで言えば、
守備陣は特にパフォーマンスを落としてはいない。が、しかし、アスピリクエタはカップ戦までもフル活動しており、タフではあるが、フィジカルが強靭というわけでもない彼が故障でもしてしまうと、バックラインのバランスは大きく崩れると予想される。チェルシー守備陣の中で唯一スピード対応ができるDFだからだ。
それと、モーゼスの疲弊が顕著になってきている。
前半戦は、守備でも攻撃でも能力以上のパフォーマンスが引き出されていたと感じる。現在の姿が本来レベルのモーゼスなのかもしれない。守備では割と無難に使えてはいるが、攻撃時に中へつっかけなくなったし、シュートの積極性も失われている。
対照的に左のアロンソは徐々に存在感が大きくなってきている。特に攻撃面では3ゴールを記録するという目に見える部分以外にも、ゴール前の飛び出しや、守備でのダッシュなども前半戦よりもよくなっており、今後が楽しみである。
そしてここ一番でのセスクの頼りがいも健在である。
チェルシーが本当に有利かどうか・・・を考える
主力の調子、離脱選手の数、チームのここ最近の調子などを考えるとチェルシーが有利とも言えるのだが、果たしてそうだろうか。
クロップ監督がチェルシーに対応して他の監督のように5バックを敷いてくるだろうか?いやそれはない。
クロップはどんなチームにも自分のチームのやり方を貫くだろう。調子がよければそれでもよいだろうが、悪ければ玉砕を招き、かつ、引き出しが少ない事から状況変化に脆いという点がある。
早々に得点できようものならチェルシーは落ち着いた守備からのカウンターでリバプールを虜にする可能性は高い。
リバプールが勝つとすれば穴になりやすい左サイドを突く駒が足りない以上、意外と固いといわれる中盤からの崩しのような気がする。そうフィルミーノとコウチーニョだ。
チェルシーは昨年の11月下旬当りから中盤の要のカンテの調子がどうも思わしくないのだ。トッテナム戦ではデンベレとワニャマに、まるでその場にいないかのようにあしらわれた。
カンテがボールを奪取されるとチームは慌てたように動きがちょこまかと各自修正を迫られる。それほどカンテには信頼を置いているのだ。
その、各自の動きの修正を突くと意外にチェルシーのDFの穴はあるのだ。
去年までレスターにいたカンテならばその回数は少ないかもしれないが、今のチェルシーのカンテは攻撃に少し比重を置きたがってるのがわかり、それが故なのか、ボールロストも少なくなく、ここを付けるかつけないかがリバプールの反撃のカギだ。
と、なると、チャンスを決めるフィルミーニョやコウチーニョは重要なのはもちろん、その奪取役となる選手の働きも必要となる。
ヘンダーソンとなるだろうか。
ヘンダーソンはもちろん、プレイにムラがあるジャン、ある一定のプレイの質と量を保証するララーナ当りがサイドからの攻撃と中央での攻撃をバランスよく仕掛けて、カンテのフィルターを破壊した時どのような攻撃を見せてくれるかに注目している。
あくまでも、カンテの隙を付けて初めて勝負になるという見立てである。
チェルシーは攻撃が停滞した時も落ち着きがある。そこはリバプールとは違う。
リーグ戦全体として見ても、このアンフィールドの試合は勝ち点3が必須ではない。
左サイドのアロンソの飛び出し、クロス、ゴール前での動きは脅威的だ。
尚且つ、最近は好調を加速させるペドロが広範囲で効き、ウイリアンもカップ戦ながら久しぶりにFKでゴールを決めた。
ヂエゴ・コスタは固め打ちがなく、各試合でアベレージの高いパフォーマンスを見せ続けている。得点奪取試合が出場20試合で14試合もある事がその表れだ。何もない所から突然の理不尽なショットも持っている。
バイタルを固めるとマティッチの強烈なミドルが飛ぶし、ルイスも長距離砲を持っている。
やはり、チェルシー有利だとは思う。