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吉田麻也選手の現在の地位評価 サウサンプトンでの軌跡(追記)

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 ここ最近はカップ戦だけでなく、リーグ戦でも出番を得ている吉田に関しての現在のチーム及び欧州での位置を改めて考えてみます。

サウサンプトンというクラブの位置づけ

 サウサンプトンのクラブの格に関しては、吉田が加入した当初と今ではかなりの格差があるため、まずは順を追って説明していきたい。

移籍当初のサウサンプトンは久しぶりの昇格チーム

 当初、VVVから移籍してきた時のサウサンプトンは久しぶりに昇格してきたクラブで残留を争うようなクラブであった。また、当時は同じく日本人FWの李忠成選手も在籍しており、アジア市場に向けた動きか?と現地では言われていた模様。

 3部から2年連続での昇格で上がってきたチームであり、降格圏争いを強いられると目されていたクラブであるが、予想外の健闘で、降格圏近くに位置するものの上位チームに勝ち点を拾う試合もあり、今後に期待を抱かせた戦いをしていた。

 その中で吉田はアーセナル戦でデビューを果たし、その試合ではいきなりシルビーニョに格の違いを見せられ失点の原因を作り、大敗の一員となる苦いデビューだったが、その後監督の信頼を得て不動のスタメンに定着していった。

 しかし、その矢先にチームを2年連続昇格に導いたアトキンス監督を「中長期的なクラブ方針」という理由で解任し、若く、しかもプレミア実績のないマウリシオ・ポチェッティーノ監督に交代するという驚きの動きを見せた。当時はかなり疑問視されてた内部人事であったが、このシーズンはその後苦労する事なく残留に成功する。 

中長期的な監督交代が奏功 しかし会長が・・

 次のシーズンに入ると監督は次々と選手を補強し、その補強が当りチームは瞬く間に上位に進出しプレミアでも一目置かれる勢力へと急成長した。また、元々優秀なユースを持っていたため、若手を次々と昇格させていき、その選手も活躍しだし、チームの未来は約束されていった。

 しかし、その過程で吉田はロブレンやフォンテにレギュラーの座を奪われ、出場機会すらままならない状態に陥る。

 そんな状況を尻目に順風満帆に降格とは無縁のチームに成長しようとする矢先、これまでチームの改革を見事に当てて軌道に乗せていたコルテーゼ会長が辞任してしまう。

 これにより、ポチェッティーノ監督が遺憾の意を表したり、チーム内部への動揺が広がる。ちなみに新会長にはラルフ・クルーガーが就く。実業家との触れ込みで、ビジネスライクな手法で経営するのではと不安がささやかれた。 

毎年の主力放出でチームは崩壊が予想されたが

 そのシーズンを奇跡的に上位で終えて、新オーナーの動きが気になる所ではあったが、、、なんと、ここで監督も主力も売り払いまくってしまう・・。DF、MF、FWと主力クラスを5人も放出する暴挙に出た。

 かねてより新オーナーに懐疑的な目を向けたサポーターはここで一斉に非難を繰り返す。そして、新監督になったクーマンも練習場の誰もいないピッチをツイッターに上げ「選手がいねーーんだよ!」と愚痴をこぼす始末。

 しかしそれでも補強した選手が当り、この年も上位でシーズンを終える。だが、またも主力を多く放出し、その次の年にはクーマン監督やそれでまで中盤を支えていたワニャマ、前線の得点源ペッレなどを放出。

 今年はピュエル監督を招いて序盤は苦労したものの、現在は中位に位置する。 

年が空けて吉田が出番が増えるとは対称的に・・・

 年が明けてDFの2枚看板がどちらも試合に出られなくなる。フォンテはウエストハムに移籍し、ファンダイクは長期離脱となった。

 このため、今シーズンはカップ戦で出番を得ていた吉田はリーグ戦でもほぼフル出場を繰り返す。

 このことにより、日本のメディアでは吉田の急成長や、現地でも期待されているとの報道が連日のように飛び交うようになり、人々もその情報によって吉田が活躍している・・という事になってしまっているが・・・・。

 

 ハッキリ言ってしまえば、それは真実とは言えない。

 上記の通り、他に選手がいないのだ。DFはガルドシュという選手もいるが怪我もあり戦力として計算できず、若いスティーブンスと吉田がDFラインに並ぶ布陣となる。

 カップ戦では確かに決勝に進出しており、吉田はよく頑張ってはいると思う。ただカップ戦に限って言えばリバプールはフルメンバーで来なかった。カップ戦とはそういうものである。

 これに対してリーグ戦はCL圏や降格に必死な「ベストメンバー」で来るチームとの闘いとなる。簡単にはいかない。

 そのリーグ戦では吉田はお世辞にも獅子奮迅とはいっていない、むしろ不安材料になっている。今年に入ってからのリーグ戦はわずかに1勝で、複数失点が続いている。その中でもPK献上や裏を取られての失点も何度かある。対人の強さでは力を発揮しているが、スピード対応にはどうも成長の跡が見られないのだ。

 チームはFWのオースティンを長期離脱で欠いて明らかに得点能力が不足しており、DFに責を押し付けるのは酷とは言え、前述したように、要にけが人が多くチームのまとまりを欠いており、降格圏チームに勝ち点を献上しているような状況だ。

 

 現状のプレミアリーグの強さでいった場合、勢いと自信を無くしてるレスターの次に弱いチームになっているのがサウサンプトンである。

 序盤にあった貯金はまだ残ってはいるものの、降格圏のハルやスウォンジーが監督交代で流れを変え、モイーズサンダーランドも復活の兆しを見せる中、決して楽観観できる状態ではない。

 降格争いともなれば、吉田は在籍期間も長い事からさらなる責任の重圧を追う事になるだろう。その時、というか、既に今がその状態だが、今後どのように切り替えていけるか、吉田の評価はファンダイクが戻ってるまでの勝ち点で決まる。

 それまでに降格圏争いに首を突っ込むようであれば来年サウサンプトンでの未来はなくなっていると考えられる。

吉田にネガティブなイメージはないのが救い

 とはいえ、インスタグラムや試合後の公式ページを見ても吉田は動揺はしていない模様だ。これは非常にポジティブである。プレイぶりは決して悪くはないのだ。ただチームの成績が伴わず、チーム内の雰囲気は良いとは言えない。

 そんな中で吉田はチームを盛り上げようと努力している。既にサウサンプトン在籍では古株の位置づけになる程チームに長く籍を置いており、回りにも人格的に存在を集める選手となっている。彼がそのようにふるまう事はチームのネガティブさを緩和させる事には繋がるはずである。

 後は、1試合でも早くクリーンシートの試合を作りたい所。代表に選ばれる程のキーパーであるフォースターのメンタル回復を助けながら(相当に自信を失ってるのか今まで止める事ができたシュートに反応できていない)頑張ってもらいたい。本人もいうようにようやくつかんだ「本番でのチャンス」なのだから。

 

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