2017 ATP1000 イタリア国際(ローマ)オープン F決勝 Aズべレフがマスターズ初制覇!
5月21(日)日本時間23;20からイタリアオープンの決勝ジョコビッチ対ズべレフの決勝戦が行われました。(以下選手敬称略)
試合前展望
ここまでややドロー運の良さで勝ち上がってきた感のある20歳のアレクサンダー・ズべレフに、バウティスタ、デルポトロ、ティエムと強敵を相手に全盛期に近づくプレイを見せて蘇る姿を見せ始めたノバク・ジョコビッチの対戦は、戦前はジョコビッチの方に分があると思われていました。
ズべレフはイズナーにも勝ったサービスの鋭さでどこまで対応できるか。
A・ズべレフとジョコビッチはこれがツアー初対決となります。
2017 イタリア国際(ローマ)オープン SF準決勝 Aズべレフ初のマスターズ決勝進出 ジョコビッチ対ティエム戦
2017 ATP250 ジュネーブオープンドロー表 錦織参戦大会
決勝スコア
1st | 2nd | 3rd | Result | |
ジョコビッチ | 4 | 3 | 0 | |
Aズべレフ | 6 | 6 | 2 |
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試合内容
1stセット
第1ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチの立ち上がりが悪く、ミスの連続でいきなりの3ブレークポイントを与えると、2ndサーブをズべレフが叩き、ズべレフがまさかのブレークスタートとなる。
第2ゲーム、ズべレフのサービス。ジョコビッチのミスが減らず、ズべレフがサービスエースや深いショットを織り交ぜて、このゲームを楽々とキープする。
第3ゲーム、ジョコビッチのサービス。序盤落ち着かなかったジョコビッチは、ここで彼らしい深いリターンが蘇り、無難なキープを収める。
第4ゲーム、ズべレフのサービス。サービスにジョコビッチはまだ対応できていない模様で、ショートポイントが多く、ズべレフが難なくキープする。
第6ゲーム、ズべレフのサービス。連続でバックアウトになり、15-30となるも、サービスで崩し見事なドロップショットを見せてこのゲームをキープする。
第7ゲーム、ジョコビッチのサービス。ズべレフの逆クロスが決まるも、ジョコビッチもサービスでポイントを取り、その後デュースになるも落ち着いたショットでこのゲームをキープする。
第8ゲーム、ズべレフのサービス。この試合初めてのダブルフォルトを喫するも、サーブで押しこのゲームをキープする。
第10ゲーム、ズべレフのSFS。サービスが冴えるズべレフはあっさりとこのゲームも取り、セットカウント6-4でズべレフが先取する。
ズべレフのリターンが深く、ジョコビッチがショットをミスする展開で、ジョコビッチのサービスゲームではキープに苦労する一方、ズべレフはサーブも好調で、ジョコビッチに1度のブレークポイントも握らせずにセットを取る。
このままの圧倒的な流れをジョコビッチが許してしまうのか。
2ndセット
第1、2ゲーム互いにキープをして迎えた第3ゲーム、ジョコビッチのサービス。ズべレフが深いショットでジョコビッチを追い込みブレークポイントを握ると、ジョコビッチのリターンがネットにかかり、ズべレフが優勝へ向けての大きなブレーク先行を果たす。
第5ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチのリターンが安定せず、デュースに持ち込まれるも、深いショットを左右に振り辛うじてキープする。
第6ゲーム、ズべレフのサービス。ストロークでもロングラリーで負けないズべレフが、サービスエースでこのセットをキープする。
第7ゲーム、ジョコビッチのサービス。ダブルフォルトを喫し、リターンをアウトし0-30と苦しくなり、更にリターンアウトし、ズべレフにブレークポイントが到来。ここを長いラリーの打ち合いでズべレフのリターンがアウトになり凌ぐ。その後もポイントを奪い合いの末、ジョコビッチが左右に散らしてからのフォアハンドウイナーを決めキープ。ジョコビッチ吠えて気合を入れなおす。
第8ゲーム、ズべレフのサービス。会場ではノーレ(ジョコビッチ)コールが巻き起こる。ジョコビッチの奮起を促す観客、それほど今日のジョコビッチは冴えない。だが観客の声援もむなしく、サービスで押され40-0とされると、ジョコビッチは自身の不甲斐ないプレイに叫び声をあげてしまう。結局このゲームはズべレフがラブゲームでキープし、王手をかける。
第9ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチのリターンが安定せず、大外からのフォアショットがコートを捉えずデュースに持ち込まれる。アドバンテージを握ってもリターンをミスしてしまうと、ダブルフォルトでズべレフにチャンピオンシップポイントが来る。そして最後はジョコビッチのリターンが大きくアウトし、ズべレフが弱冠20歳でマスターズ優勝の歓喜を迎える。
試合スタッツ
試合の最初から最後までズべレフが支配しました。
リターンは深くそして鋭く、6度中2度しか成功していない物の、ネットに出るプレイもいつもよりも効果的でした。アベレージスピード122キロもズべレフの性能を遺憾なく発揮しており、試合の結果を示しています。
サービスは1stで84%と驚異的なポイント奪取率を誇り、2ndサービスでも70%近くものポイント獲得率で、サービスゲームではほぼ無風状態でした。イズナー相手にサービス数で打ち勝つ程のサーブ力を証明して見せました。
逆にジョコビッチはティエム戦とはうってかわってミスが多く、しかも大事な所でコントロールできませんでした。また、ズべレフの深いショットを最後まで攻略できず、ジョコビッチが試合を通じて1度もブレークポイントを奪えない程でした。徐々に上げてきたジョコビッチがここでこのようなパフォーマンスを見せるとは意外であり、完全に戻り切っていない、、、そういうまだ危うさ的な所を拭えない結果となりました。ジョコビッチが劣勢になると会場はノーレコールに包まれましたが、王者が負けそうになると負けてはいけない心理が働くのはよく見られる光景です。しかしそれすらもろともしなかったズべレフの図太さもまた見逃せません。
今後のズべレフの展望
ズべレフはこのローマでの優勝により一気にゴファンを抜いてトップ10入りを果たしました。現在の17位が自己最高ランクですので大幅に更新し、いよいよトップに立つ準備が出来てきたという所でしょうか。
ただ、本当の強さかどうかは好調のトップ選手との対戦を見てみたいという所もあります。全仏での活躍が期待されますが、全仏本命はナダル、ティエムの方と見ます。彼らとの対決を切望する所です。
余談
今年から開催される、NEXTGENファイナルツアー(21歳未満のATPファイナルプレ大会)が11月中旬にイタリアのミラノで開催されますが、ズべレフがATPファイナルの資格(補欠2名までがファイナル出場資格を持つので実質トップ10まで)を取った場合、NEXTGENファイナルツアーは最大の目玉選手の出場を失う事になるでしょう。