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2017 ATP250 ジュネーブオープン SF準決勝 錦織対M・ズべレフ戦

 

 5月25(金)に行われる、ジュネーブオープンSF準決勝で錦織選手はM・ズべレフ選手と当たる事が決定しております。(以下選手敬称略)

 

錦織 0 対 0 ミーシャ・ズべレフ

 

 M・ズべレフ選手と錦織選手は今回が初対戦となります。

 M・ズべレフ選手がプロデビューしてから既に12年程経っている事を考えるととても珍しいとは言えるでしょうでは何故対戦がなかったのでしょうか

 ズべレフは2005年にキャリアをスタートさせ、2008年にはウインブルドンでフェレーラに勝利し3回戦進出したものの、2010年当りから慢性的に怪我に悩まされ、かつそのプレイスタイルから去年までは特に目立ったキャリアを築けておらず、ランキングも150位前後を行き来するようなプレイヤーでした。また、主戦場はダブルスとう事もあり、シングルスでそれ程多くの大会には出ていなかった模様です。

 シングルスの優勝経験はまだ0です

 

Mズべレフのプレイスタイル

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gettyimage

 

 ミーシャ・ズべレフのプレースタイルは、典型的なサーブ&ボレープレイヤーです。

 通常、サーブ&ボレープレイヤーはサービスの強さで相手のリターンが甘くなる所を前に出てボレーするというプレイスタイル上、サービスが強い事が条件に上げられます。しかし、ズべレフはサービスがそれ程強くはありません200キロ前後のスピードしか出ません。故に、そのようなサーブでボレーしようとしても相手のリターンが甘くなることが少ないため、前に出てきた所の横を抜かれる事が多くなります。つまりは、そのためランキングがなかなか上昇しなかったという事が言えると思います。

 しかし、転機が訪れたとすれば、それは弟アレクサンダー・ズべレフの活躍に他ならないでしょう。プロ転向後もアレクサンダーに目を掛け、練習やトレーニングも一緒にこなしていました。現在も非常に良好な関係にあり、今年ダブルスで兄弟ペアで優勝も飾っています

 そのような刺激により、それまでとプレイスタイルは変わらないものの、ボレーのタイミングが以前よりも研ぎ澄まされ、かつリターンスピードも速くなりました。これはアレクサンダーと常に練習している事により、リターン速度が上がっていったものと思われます。弟に負けられないという心理が働いたのは想像できます。更には弟と共に、よく相手選手を研究するようになったとの事です。

 昨年の終盤はワウリンカに勝利し、好調のチリッチや、調子を落としてたとは言えジョコビッチともフルセットの接戦を演じました。そして今年の全豪オープンでは4回戦まで進出しただけでも快挙ですが、世界ランク1位のマレー選手を最後は完全に無気力にする程に完膚無きまで叩きのめしました。

 その後は逆に対戦相手に研究されて、成績が伸びなかったものの、ここにきてまた復調の兆しがあり、ラキング30位前後で安定しだしました。

 同じようなサーブ&ボレープレイヤーには強い印象で、イズナー選手にも機を見たボレーでうまく対応できていました。ただし、速攻に非常にもろく、フェデラーとはかなりの相性の悪さを全豪で曝け出しました。

 

 

錦織がどのような戦術を取るか 

 

 錦織選手はこのズべレフの特徴を発揮させた上で勝負するのか、あるいは発揮させない早い勝負のテニスを見せるのかが、今から非常に注目が集まる所と見てます。

 調整の度合いによりますが、QFのアンダーソン戦で体力を消耗したのもあり、ズべレフには早いテニスで勝負するとみています。

 プレイスタイルを考えると、クレーでのミーシャ・ズべレフは錦織にとっては組みしやすい相手という事が言えます。今後は対戦する機会も増える事が予想されるため、体力次第ですが、しっかり対応しておきたい所でしょう。

 

試合スコア

  1st 2nd 3rd Result
錦織 4  6  3  1 
M・ズべレフ 6  3  6  2 

 

試合内容

1stセット

 互いにキープで迎えた第3ゲーム、錦織のサービスで、デュースの末にブレークポイントを握られると、長いラリーからミーシャズべレフ(以下ズべレフ)の深いショットの連発に錦織がリターンをネットかけて、ズべレフに先行ブレークを許す

 第4ゲーム、ズべレフのサービス。デュースまで持ち込んだこのゲームは、錦織のリターンが深くアウトになり、ズべレフがキープに成功する。

 ズべレフはいつものようなサーブ&ボレーを控え錦織のストロークにもしっかり対応しており、30位台をキープしているのが偶然でない所を見せる

 第5ゲーム、錦織のサービス。錦織がラリーでの鋭いリターンからのドロップショットを決め、このゲームをキープする

 第6ゲーム、ズべレフのサービス。30-30となるも、ズべレフのサイドのサービスエースが決まり、このゲームをズべレフがキープする。

 第7ゲーム、錦織のサービス。錦織のサービスエースが立て続けに決まりるも、深く構えたズべレフが鋭いリターンの応酬でデュースに持ち込まれるも、良いリターンを繰り出し、錦織がキープする。

 第9ゲーム、錦織のサービス。ズべレフのリターンが鋭く、デュースに持ち込まれ、オーバーザルールで不利な判定を受けるも、クロスリターンを決め、錦織がキープする。

 第10ゲーム、ズべレフのSFS。錦織はリターンがうまくいかず声を張り上げるシーンを見せる。3つのセットポイントを迎えたズべレフは、最後にネットに出るプレイに錦織がリターンを大きくアウトし、1stセットは4-6でズべレフにセットを取られてしまう

 

 ズべレフはいつもよりもネットに出るプレイは控え、しっかりと構えて錦織のストロークに対処ができています。錦織も調子は悪くはないのですが、粘りではズべレフに負けています

 2ndセットどのような立て直しを見せるでしょうか。

 

 2ndセット

 第1ゲーム、錦織のサービス。ズべレフが前に来たところをロブショットを決めるなどし、錦織が楽々とキープする。

 第2ゲーム、ズべレフのサービス。錦織の鋭いリターンで3つのブレークポイントを奪うと、ズべレフのリターンがアウトになり錦織が2ndセットは先行ブレークに成功する。ズべレフを思わずラケットを叩きつけようとしたものの思いとどまる。

 第3ゲーム、錦織のサービス。浅いリターンを狙われ0-30となるも、ズべレフのリターンもコートを捉えず、最後はサービスエースでこのゲームをキープする。このセットは錦織が3ゲーム連取する

 第4ゲーム、ズべレフのサービス。錦織のリターンエースが立て続けに決まるり、デュースに持ち込むも、ズべレフがサーブ&ボレーを見事に決めキープに成功する。

 第5ゲーム、錦織のサービス。ズべレフの深いフォアリターンが決まるなどポイント先行されると、ダブルフォルトを喫し、2ブレークポイントを握られる。そして更にダブルフォルトを喫し、ズべレフにブレークバックされる

 第6ゲーム、ズべレフのサービス。ズべレフのネットプレイに粘りパッシングショットを決めるも、ズべレフも下がっての強打で錦織に時間を与えない。しかし互いにネットに出てのプレイからズべレフのラケットに当たるショットでブレークポイントを掴むと、ズべレフのバックハンドのリターンがアウトになり、錦織が再びブレーク先行する。ズべレフは大声を上げ悔しがる。

 第7ゲーム、錦織のサービス。ズべレフのバックハンドを狙うショットで追い込むと、最後はサービスエースでこのゲームをキープする。

 第8ゲーム、ズべレフのサービス。30-30とするも、ズべレフのサイドのサービスを錦織が打ち上げ、ズべレフがスマッシュし、このゲームをキープする。

 第9ゲーム、錦織のSFS。ズべレフのバックに集めるサーブでズべレフの態勢を崩すとアウトやネットを連発し、3つのセットポイントを握る。ダブルフォルトを喫するも、最後はフォアクロスを決めゲームカウント6-3でセットを取り返す

 

  2ndセットはズべレフのバックハンドにボールを集めリターンミスを誘い、うまくコントロールしました。全仏が近く、ここで大きく体力を消耗できない事を考えても良い攻めです。ファイナルセットもバックハンド攻めを続けるでしょう。

 これに対してズべレフは錦織がサーブで崩れないプレイヤーと研究してる事もあり、取れる時のみネットプレイをする感じで、通常の試合よりもかなりネットプレイは控えめです。ファイナルセットはもっとネット出て勝負してくるかもしれません

 

ファイナルセット

 第1ゲーム、2ゲーム、両者共にキープする。

 第3ゲーム、ズべレフのサービス。錦織の攻めにズべレフが態勢を崩しブレークポイントを握るものの、そこからズべレフがサーブ&ボレーを連続し、このゲームをキープする。

 第4ゲーム、錦織のサービス。錦織のリターンが大きくアウトするなどし、ズべレフに2つのブレークポイントを握られると、錦織のバックハンドのショットがアウトとなり、ズべレフに先行ブレークを許してしまう

 第5ゲーム、ズべレフのサービス。長いラリーで粘り勝ちしたズべレフ、しかし錦織もリターンショットを決めるなどしてデュースに、錦織が何度かブレークポイントを迎えるも、その都度ズべレフがサーブでしのぐ展開。そして4度目のブレークポイントを迎えると、その2ndサーブでズべレフがサーブ&ボレーを試みるもこれがアウトになり、錦織がブレークバックに成功する

 第6ゲーム、錦織のサービス。激しい打ち合いを錦織が制するも、スマッシュミスをするなどしデュースをすると、更にリターンをミスしブレークポイントを握られる。最後はラリーのリターンをバックアウトし、ズべレフが再びブレーク先行する

 第7ゲーム、ズべレフのサービス。ブレークで再び自信を取り戻したズべレフはサーブに力が宿り、錦織にペースを与えずキープする。

 第8ゲーム、錦織のサービス。錦織がリターンをアウトにするとどこか投げやりな表情を浮かべる。その後も淡泊にネットに掛けるなど気持ちが切れ気味となると、サイドに振ってのリターンがアウトになりズべレフに2つのマッチポイントを与える。長いラリーで見事なフォアショットを決め、更にネットに出たズべレフがボレーをネットに掛けデュースまで持ちこたえる。更にはバックハンドのダウンザラインのショットを決めると、ズべレフのリターンがアウトになり、錦織が執念のキープを見せる

 第9ゲーム、ズべレフのSFM。ここにきてサーブ&ボレーを連発し、一気に勝負を決めたいズべレフ。錦織のサーブリターンがアウトになり、ズべレフに3つのマッチポンを掴まれる。

 最後は錦織のリターンが甘くなった所をネットに出て強烈なスマッシュを叩き込み、ツアー初優勝に王手を掛ける見事な勝利をズべレフが収めました

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 手首の状態や試合勘に関しては、この3試合でそれなりにこなせた印象はあると感じます。マッチポイントを握られても、弱気にならず攻める事が出来たのは収穫だとは思います。

 しかし、ミーシャ・ズべレフを相手にストロークで劣勢だった事は頂けない内容でしょう。甘いショットはいくつかあったものの強打したボールもほとんど追いつかれており、プレイを読まれて対処されてしまいました。

 サーブでは特にサイドのサーブの対応に苦労しておりました。センターに強烈なサーブを持つデルポトロとの時と、今回のズべレフのサイドのサービスと、サーブの対応も今後課題となりそうです。

 

 ズべレフはネットプレイ回数が驚く程少なく、むしろ深く構えても強いリターンを返し続けていました。明らかに今までのサーブ&ボレー一辺倒ではなく、頭を使ったテニスができるようになっています

 ズべレフは錦織に勝った事によりツアーでは久しぶりの決勝進出となり、ジュネーブで決勝に勝つと苦節12年間で初のシングルツアー優勝を飾る事ができるため、全仏そっちのけで全力で決勝に当たると予想されます。

 

 

 先ほど全仏オープンのドローが発表され、錦織は順当に行くとベスト16で今日敗戦したズべレフの弟、アレクサンダー・ズべレフとの対戦となりそうです。今日のようなテニスで挑む事はないにせよ、十分に調整する必要がありそうです

 

 

 

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