2017 全仏オープンに向けて トップ選手の状況 現地報道マレーに大きな懸念
2017年5月28(日)より開催される、フランスのローランギャロスで行われる全仏オープンに向けて、トップ選手の動向はどうなっているでしょうか。マレー、ジョコビッチ、ワウリンカ、ナダル、ティエム、錦織、ズべレフ選手などの調子を探ります(以下選手敬称略)
2017 グランドスラム 全仏オープン ドロー表 グループ展望 試合結果
1位 アンディ・マレー 期待度20
マレーに関しましては心配な記事が出ています。
Andy Murray struggling with illness again on eve of the French Open as nightmare 2017 continues
3月に患った感染症の影響が未だに抜け切れていないのか、抗生物質を現在も投与中との事です。抗生物質は長い期間投与する物ではなく、回復具合や状況を見てのものとの事ですが、長引いているという事実は楽観できるものではありません。
イタリアオープンでも粘り強さは微塵もなく、また自身を鼓舞するような仕草もなく淡々と敗れた事からも、取り巻く状況は良いとは言えません。最悪棄権の可能性もあるのではないでしょうか。
また、出場するにしても全力で取り組めるかに大きな懸念があり、ウインブルドンまで様子を見た方が良いと感じてしまいます。
2位 ノバク・ジョコビッチ 期待度60
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ジョコビッチは今あがいています。しかしそのあがきは「またトップに戻りたい」という強い欲望を感じます。悪いあがきでは決してありません。
全仏からスポット的にアンドレ・アガシ氏がコーチに就任する事が決まっています。
イタリアオープンでは徐々にジョコビッチの凄みを復活させながら決勝で余りにも不甲斐ない戦いを見せてしまいました。彼の強さを安定させる、あるいは取り戻すきっかけを見つけれるかどうかが鍵になります。集中している時のジョコビッチは今シーズンクレーで好調のティエムの心をへし折るレベルの凄みがある事は証明されています。
とは言え、現状その安定感が確実なものとは言えない以上、本命に推すのは難しい存在と言えるでしょう。
3位 スタン・ワウリンカ 期待度70
やはりというか、グランドスラムでは途端に高い集中力を見せるスタンザマン(男の中の男)が帰ってくるかもしれません。
地元スイスのジュネーブで行われる大会では不安定とはいえ、のらりくらりと調整している感じです。体の痛みや精神的な不安は今の所ない模様です。
ジュネーブオープンで決勝に進んだ場合は、全仏のドロー次第では連戦となる可能性が出てきます。しかし、彼にとってはそれぐらいの方が良いのかもしれません。緒戦敗退もあれば、優勝もあるというビックリ箱のスタンに注目です。
4位 ラファエル・ナダル 期待度95
間違いのない大本命としてラファの名前が上がる事は避けられません。
今年のクレーでは17勝1敗。敗れたティエム戦もどこか試してるような部分も見受けられ特にショックもなく全仏を迎えてくるでしょう。
彼のクレーでのプレイぶりは相手の心をへし折ります。ウイナー級のショットをことごとく拾い、コートの外に追いやったと思いきや大外から強烈なショットをコート内に持ってきます。
またサーブもワイドやセンターにスピンの効いた強烈なサーブを打ちます。スピードは200キロ前後でもその打つコースやタイミングは相手の意表を突きます。昨年のように途中で怪我での棄権でもない限り、本命は揺るぎない存在です。
6位 ミロシュ・ラオニッチ 期待度50
ビックサーバーのラオニッチは、今年の序盤は怪我で出遅れたものの、イスタンブール大会から本格的に復帰し、調整と位置付けているリヨンでも準決勝まで勝ち上がっております。実戦感覚はある程度戻っているでしょう。
クレーではビックサーバーは一度拾われると苦しい展開になるものの、ラオニッチはストロークもそつなくこなすことができます。ただ、トップ選手を相手のストロークにはまだ課題を残します。ビックサーバーの部類で言えば、クレーコートでの立ち振る舞いはチリッチよりは力弱いと感じる部分があります。ただし、そこは本人も焦りはなく、ベスト8を目標に堅実にプレイするのではないかと思われます。
7位 ドミニク・ティエム 期待度85
ナダルの対抗に当たるのがこのドミニク・ティエムとなるでしょう。
運動量が落ちる心配は皆無で、強烈なサーブにスピンの効いた高速リターンを持ち、ピンチの際にも迷わず強打を打ってきます。今シーズンのクレーコートで唯一ナダルを破っており、その勝ちっぷりも素晴らしいものでした。しかし、ジョコビッチには見事に対策され、最後には心を折られてしまいました。
それでも1週間余りの期間でジョコビッチにやられたバックハンドの精度を高める練習をしているとの事です。以前に比べれば物凄く向上しているだけに、弱点はどんどん少なくなっています。
ドロー次第ですが、彼と当たるトップ選手は全力を持って挑まないと勝負にならないでしょう。
2017 ATP1000 イタリア国際(ローマ)オープン 4回戦QF ティエムがナダルに完勝 ジョコビッチ順延の末勝利
8位 マリン・チリッチ 期待度60
クレーシーズンは割と静かな印象のあるチリッチですが、イスタンブールでは怪我明けのラオニッチを破り、イタリアオープンでは好調のゴファンを一蹴しました。
体調は良好で、今年の全仏はいい所までいける可能性はあります。
9位 錦織 圭
手首の怪我の影響が心配されましたが、イタリアオープンやジュネーブオープンでの試合を見る限りは、心配はほとんどなくなっているように見受けられます。
錦織の場合は、サーブがやや非力とは言え、それは今に始まった事ではなく、その状態でランキング1桁を維持しており、問題はそこではなく、体力面でしょう。
ジュネーブでもアンダーソンとの死闘を演じており、ジュネーブ準決勝はミーシャ・ズべレフ、決勝はおそらくワウリンカとの戦いとなります。ここで必要以上の体力を使いたくない所ですが、「負けん気の強い」錦織選手ですから早々に勝負を捨てる事は考えられません。
優勝候補の一角となるか?と言われると、まだ難しい面があると感じます。ベスト8が現実的な所ではないでしょうか。ティエム、ナダルと早期に対戦しない組み合わせとなれば可能性は出てくるでしょう。
10位 アレクサンダー・ズべレフ 期待度75
先月20歳になったばかりのアレクサンダーズべレフ。ご承知の通りイタリアオープンでジョコビッチを破っての20歳0か月でのマスターズ制覇を達成しました。
2017 ATP1000 イタリア国際(ローマ)オープン F決勝 Aズべレフがマスターズ初制覇!
ジョコビッチ戦では完璧なテニスを披露し、サーブよし、ストロークよしのスケールの大きなプレイを全仏でも見せてくれるかに掛かっています。ポテンシャルは大きいのは明らかですが、安定性には一抹の不安があります。
バルセロナオープンでは同世代の韓国のチュン選手にイライラを爆発させてのストレート負けを喫しています。このような側面が出ないかどうかです。
彼の実力を確かなものとして見る場合は組み合わせは恵まれるよりも、むしろ厳しい組み合わせの方がベターかもしれません。
ズべレフ選手はランキング10位で第9シードでの全仏参加が予想されるため、第5~8シードの選手との対戦が早い段階(ベスト16)で組まれます。
ズバリ、ティエム選手とのベスト16の対戦が実現する事が望ましいです。テニスファンも渇望の1戦となるでしょう。
その他注目選手
ディミトロフ
シーズン序盤は絶好調で今年のファイナルを有力視されたものの、3月当りから4連続緒戦敗退と躓くも、ここにきて調子を取り戻しつつあります。イタリアでもデルポトロに敗戦はしたもののテニスの質は戻ってきています。
プレイスタイルはクレイコートを苦手としている感じではなく、何でもできるタイプです。後は精神力と体力の問題となるでしょう。ティエム程の図太さがつくと面白い存在になりそうです。
【速報→結果】2017全豪オープンデニス SF 準決勝 ナダル対ディミトロフ
ダビド・ゴファン
クレーコートでは粘りのあるストロークに多彩なショットを持ち、メンタルもそれなりにタフなゴファン。イタリアオープンでは連戦の疲れが見えましたが、休養を経て全仏ではしっかり仕上げてきている事が期待されます。
ランキング10位以下では最も有力視される選手と見ています。ナダル、ティエムの次の対抗に推したいレベルです。
2017 ATP1000 モンテカルロマスターズ ベスト4 ナダル戦結果 世紀の大誤審
トマッシュ・ベルティヒ
グランドスラムでビック4すべてに勝った経験がある数少ない選手がこのベルディヒです。
好調時はサーブもストロークも良いのですが、時にスマッシュをミス連発するなど、メンタル面で崩れる事があります。
また、余談となりますが奥さんがとても美人で一見の価値ありです。
本日5月26(金)夜にドロー表が発表になるとの事です。
ドロー表が発表になり次第、勢力図も少し変化する可能性はありそうです。