【速報中→終了】ミーシャ・ズべレフは初タイトルを取れたのか? 対ワウリンカ 2017 ATP250ジュネーブオープン決勝戦
全仏の前哨戦として行われているジュネーブオープン決勝戦。
対戦するワウリンカにとっては地元大会とは言え、全仏の前哨戦程度の認識でしょう。しかし、ミーシャ・ズべレフに対してそのような軽い感情では挑んでこないでしょう。
錦織選手を破り、決勝進出を果たしたミーシャ・ズべレフはここまで2005年のツアースタートからシングルの優勝がありません。
弟のアレクサンダー・ズべレフは既にシングルスで4勝をマークし、かつ直前のイタリアオープンマスターズでジョコビッチを相手に優勝するという快挙を成し遂げました。兄のミーシャも思う所はあるでしょう。
グレードは250とは言え、イズナー、錦織とランキング上位を破り、決勝はワウリンカです。もし優勝すれば非常に質の高い初優勝と言っても過言ではないでしょう。
クレイではハードコートと戦術を変えて臨むようになる
ズべレフ選手は長らくランキング100位台を行き来する選手で、サーブ&ボレープレイヤーとしてはサーブのスピードが速くないのが致命的なのかランキングも妥当という感じのプレイヤーでしたが、弟アレクサンダーの躍進とその成長により、自分自身も30を迎える現在成長を続けています。
昨日ジュネーブオープンでの錦織選手との対戦を見ても、典型的なサーブ&ボレープレイヤーではもはやありませんでした。
それは、相手によって戦術を代え、また相手のテニスに対応できる実力が備わってきた事への裏返しです。
ズべレフの200キロ前後のサーブに錦織は手を焼いていました。
また、ストローク戦でも錦織のリターンに打ち負けず、むしろ錦織が耐え切れずに放つショットがアウトになるなど、粘りも増してきています。
クレイコートではサーブの速度が土のバウンドによってかなり減速されるため、即前に出るプレイは相手の強いリターンで脇を抜かれる危険性が高まります。それもあってか前に出る時は相手がリターンで態勢を崩す、あるいは本当にココという時に限定されたプレイが今のズべレフにはできています。
ストロークでも錦織のサービスを下がって受け、その後のリターンもラインより深く守り、それでいて錦織が簡単にウイナーショットを打てないような強く低いボールを常に返していました。この部分は弟アレクサンダーというとても強力に育ったよい練習相手がいます。
ラインより深く守りながらも、機をみてダッシュしてネットに詰めます。この上下の動きに錦織は最後まで対応に苦しんだ印象があります。
このようにズべレフはクレーコートの性質や相手に対して自身のテニスのプレイスタイルがコントロールできるようになるなど、もはやランキング100位前後常連の選手ではなくなっています。
相手がワウリンカとは言え、優勝最大のチャンス到来
決勝の相手はランキング3位を長らく死守するワウリンカです。グレードの大きな大会では高確率で上位進出し、3度のグランドスラム優勝経験者です。明らかに格上の選手です。そして地元開催の大会でもあります。しかしながら、今回はズべレフに訪れた最大のチャンスと言っても過言ではないです。
前述したとおり、ワウリンカは全仏に照準を絞っており、この大会を全力で取りに行くことは考えにくいです。
ズべレフが錦織戦で見せた諦めないストロークや、機を見て前に出るボレーショットを駆使すれば優勝は決して不可能ではありません。
錦織が敗れてしまい、この大会での日本での注目度はほとんどなくなっていますが、昨年後半からこの選手を追ってる者としては、この試合はグランドスラムの1,2回戦のどの対戦よりも注目カードです!!
ミーシャ・ズべレフを追ってきたリンクはこちら
【速報→結果】全豪オープンテニス2017 4回戦 ミーシャ・ズべレフ大金星
決勝が行われる時間は、5月27(土)日本時間22;00からの開始となります。
予定通り、22;15頃に試合が開始されました。
試合スコア
1st | 2nd | 3rd | Result | |
ワウリンカ | 4 | 6 | 6 | 2 |
M・ズべレフ | 6 | 3 | 3 | 1 |
試合内容
スタン・ワウリンカの名前が場内にアナウンスされると地元ファンで満員に膨れ上がったセンターコートは割れんばかりの声援の嵐となる。ズべレフにとってはアウエー感のある決勝となった。果たしてこれまでの勝ち上がりのように捨てる所決める所を見極めた渋いテニスを見せられるでしょうか・・・。
1stセット
第1ゲーム、ワウリンカサービス。ダブルフォルトを喫して不利なカウントになるも、深いリターンに回り込んでのフォアが冴え、キープする。
第2ゲーム、ズべレフのサービス。ワウリンカのローボレーが決まり、ズべレフがダブルフォルトを喫して3つのブレークポイントを握られる。しかしサーブでワウリンカの態勢を崩すと、ロブショットを見せこのブレークを凌いでデュースに持ち込む。更にサービスエースを決め優勝に向けた意気込みを感じるしぶといキープを見せる。
第3ゲーム、ワウリンカのサーブ。ワウリンカのリターンが立て続けにアウトになり、3つのブレークポイントを握ると、ワウリンカのウイナー級のショットに全て反応し、最後はワウリンカが大きく打ち上げてしまい、ズべレフが貴重な先行ブレークに成功する。
ここで、ズべレフが首の痛みでテクニカルタイムアウトで、首のマッサージを行う。かなりの痛みがある表情を見せる・・・・初優勝に向けたブレークを奪った瞬間だけに、非常に心配される・・・。
第4ゲーム、ズべレフのサービス。ここが勝負とみたワウリンカは長いストロークでも集中力を切らさず、ブレークポイントを握るとと、ラリーの末、スべレフのバックハンドクロスがアウトとなり、ワウリンカがブレークバックに成功、思わずカモーーンの声が鳴り響く。
第5ゲーム、ワウリンカのサービス。ワウリンカのリターンミスが続き2つのブレークポイント握ると、長いお互いのラリーの応酬で最後はワウリンカのバックハンドショットが僅かにアウトになり、ズべレフが再びブレークに成功する。
第6ゲーム、ズべレフのサービス。ズべレフがネットに出てスマッシュを決めるも、ワウリンカの鋭角のフォアクロスが決まるなど白熱する。ここでネットに出るプレーでプレッシャーをかけ、ズべレフがキープに成功する。
第7ゲーム、ワウリンカのバックハンドの逆クロスが決まるなどいい所を見せるも、ネットに出るプレイではズべレフが一枚上手なのか攻め返す場面も見られ、デュースに持ち込む。更にネットプレイでリターンし返してブレークポイントを握るも、ワウリンカがフォアショットやサービスエースを決め、辛くもこのゲームをキープする。
第8ゲーム、ズべレフのサービス。互いにネットに出ての見ごたえのある攻防をズべレフが制するも、その後のショットでアウトを連発する。しかし、サーブ&ボレーが甘く入り、ネットに両者が出た打ち合いをズべレフが制すると、ワウリンカはネットを2,3度叩いてしまう。更にはネットに出てワウリンカにプレッシャーをかけ、サイドアウトを誘い、このゲームをブレークする。ワウリンカは徐々にイライラが募る展開に。
第9ゲーム、ワウリンカのサービス。ワウリンカがあっさりラブゲームキープをする。
第10ゲーム、ズべレフのSFS。ズべレフが前に出るも、ワウリンカはダウンザラインに鋭く抜くショットを決めると、ラリーの打ち合いからズべレフがバックアウトし0-30と不利なカウントとなるも、以降は全てサーブ&ボレーで前に出ると、ワウリンカの逆を付くショットでセットポイントを迎えると、最後はスライスでサイドに絶妙なショットを決め、ズべレフが決勝での1stゲームを選手する。
ズべレフはブレークをした時はもちろん、優勝に向けての大事な1stセットを取った瞬間も顔色一つ変えず冷静に淡々とベンチに戻りました。
これは、先ほどの首の状態が万全でなく、体が持つうちに早く試合を終わらせたい気持ちが表れていると見ます。実際第10ゲームは6本中4本のサーブでサーブ&ボレーを敢行しており、やはり優勝は欲しいという欲がにじみ出ています。
一方のワウリンカは可もなく不可もなくといった所、ミスは相変わらず多いですが、体が重いという事はなくよく動けています。1stセットを落としたとは言え、観客に手を振る余裕も見せています。
2ndセット
第1ゲーム、ワウリンカのサービス。ズべレフのダウンザラインのウイナー、ネットに出ての粘りのプレイが決まり、3つのブレークポイントを握り、優勝に加速する。所がここからミスショットを連発すると、今度はワウリンカがサーブ&ボレーに出てポイントを重ねてこのゲームをキープし、流れを手繰り寄せる。
このワウリンカのキープの仕方は分岐点になりそうである。
ズべレフは用心してかかりたい所である。
第2ゲーム、ズべレフのサービス。ワウリンカのリターンエースが決まるなどしてデュースに持ち込まれると、更にリターンエースでブレークポイントのピンチを迎える。そして、ワウリンカが回り込んでの強烈なフォアショットを叩き込み、2ndセットブレークに成功する。思わず拳を握りしめるワウリンカ。やはり分岐点となってしまいました・・・・・。
第3ゲーム、ワウリンカのサービス。ブレークした勢いそのままにショットやリターン、そしてロブショットなどでズべレフを翻弄し、ラブゲームキープを果たす。流れは完全にワウリンカに傾いた・・・。
第4ゲーム、ズべレフのサービス。ワウリンカの動きはどんどんよくなり、バックハンドウイナーでデュースに持ち込まれると、ダウンザラインのウイナーを叩き込まれブレークポイントを握られる。しかしここからワウリンカがミスを連発し、ズべレフが辛うじてキープに成功する。
第5ゲーム、ワウリンカのサービス。このゲームもズべレフのお株を奪うサーブ&ボレーをワウリンカが見せるもズべレフは見透かして横を抜く。しかし、それでもワウリンカはサーブ&ボレーを続けポイントを取り切り、このゲームをキープする。
第6ゲーム、ズべレフのサービス。ワウリンカがズべレフを左右に振りオープンコートを作りポイントを奪っていく。しかしズべレフもサイドにリターンを決めるなどしてこのゲームをキープする。
第7ゲーム、ワウリンカのサービス。ワウリンカが危なげなくキープに成功する。
第8ゲーム、ズべレフのサービス。ズべレフのストレートのショットがアウトになり、ワウリンカにセットポイントが来るも、凌ぎデュースに。更にセットポイントを迎えてもサーブで凌ぐと、アウト判定のショットをオーバールールでインの判定となり、ズべレフがキープする。
第9ゲーム、ワウリンカのSFS。ネットに積極的にしかけ2つのセットポイントを握ると、最後はズべレフのリターンがアウトになり、ワウリンカがゲームカウント6-3でこのセットを取り返す。
第1ゲームの40-0でブレークできなかったのが悔やまれるズべレフ、そこからワウリンカはズべレフのお株を奪うサーブ&ボレーを連発し、また鋭いショットも戻ってくるなど、気分よくテニスができてしまっています。
最終セットはかなり厳しい展開が予想されます。
ファイナルセット
第1ゲーム、ズべレフのサービス。最初のポイントはワウリンカの素晴らしいライン際のショットから始まる。しかしその後はネットプレイでズべレフがポイントを重ね、このゲームをキープする。
第2ゲーム、ワウリンカのサービス。様々なショットやサーブ&ボレーも駆使し、ラブゲームキープで流れに乗る。
第3ゲーム、ズべレフのサービス。お互いにネットを意識した攻防になると、ワウリンカがネットに出てのボレーでブレークポイントを握る。更にワウリンカが前に出てプレッシャーをかけると、ズべレフのリターンがアウトになり、ワウリンカが先行ブレークを果たしてしまう。
ズべレフは呆然と立ち尽くし、かなりの落胆の表情を浮かべる。このまま終わってしまうのか・・・・。
第4ゲーム、ワウリンカのサービス。ワウリンカがネットに出て攻勢を掛けるも、ズべレフがそれを跳ね返し、横を抜くショットでデュースに持ち込むと、最後はバブリンカのバックハンドショットを打ち返し、ブレークバックを果たす。ワウリンカはネットに手を付き苦笑いを浮かべる。
第5ゲーム、ズべレフのサービス。ズべレフがチャンスボールをドロップミスし、3つのブレークポイントを握られると、ラリーからのワウリンカの深いショットのリターンをネットにかけ、ワウリンカが再びブレーク先行を果たす。
第6ゲーム、ワウリンカのサービス。ワウリンカがショットミスやダブルフォルトでポイント先行されるもズべレフがミスをするたびに声を上げて鼓舞する。また会場もそんなワウリンカを後押しする。そしてサイドへのサービスエースでこのゲームキープに成功する。
第7ゲーム、ズべレフのサービス。ダブルフォルトを喫するとストレートの打ち合いがロングとなり、2つのブレークポイントを握られる。しかしここからネットに出るプレイでこれを凌ぎ切り、必死のキープを見せる。
第8ゲーム、ワウリンカのサービス。ワウリンカが波にのり、あっさりキープする。
第9ゲーム、ズべレフのサービス。ウリンカのサイドへの深いショットが決まり、チャンピオンシップポイントを握る。と、最後はネットに出てきたズべレフを見事に打ち抜き、ジュネーブオープン優勝はワウリンカとなりました。
gettyimage 準優勝スピーチのミーシャ・ズべレフ
gettyimage 優勝スピーチ並びにスタンザマンシャツを披露するスタン・ワウリンカ
敗れはしましたがズべレフは持ち味を十分に発揮し、ワウリンカを苦しめました。
また、ワウリンカも2ndセットからサーブ&ボレーで対抗したり、声を何度も張り上げるなど、予想以上に気合が入る試合を見せました。
ズべレフは試合を通じて1stサーブの入りがあまりよくなく、2ndサーブを叩かれる展開になりました。それでもストロークではワウリンカを下げさせてよく打ち返せていました。しかし、ワウリンカはただ正面から向き合うだけでなく、前に出るプレイや緩急をつけたショットでズべレフを崩しました。双方ともに全仏を控えてるとは思えない程ヒートアップして面白い試合でした。
今回は優勝を逃してしまったズべレフですが、この調子を維持できれば遠からずまたチャンスは訪れるのではないでしょうか。以前のように100位台にいる選手ではもうない事はこのジュネーブでも証明して見せました。全仏では燃え尽きて序盤での敗退もありそうですが、今後に更に期待したい選手です