ジョコビッチ対ティエム QFベスト8 ジョコビッチ完敗劇で敗れる 2017全仏オープン11日目
雨で順延となった男子シングルスのうち、最も注目される、ジョコビッチ対ティエムの試合が行われています。
ジョコビッチ 対 ティエム
ここまでやや安定感の欠くテニスながら4回戦対ラモス戦ではストレート勝利を収めたジョコビッチ
対するティエムは全てストレート勝ちで試合内容もぶれなく勝ち上がってきています。
前哨戦のイタリアオープンではジョコビッチの貫禄勝ちでしたが、イタリアではデルポトロ戦から調子を上向かせていたのに対して全仏ではまだ上がってきている雰囲気はありません。
ティエムはジョコビッチに5連敗とは言え、昨年のツアーファイナルでは先行のセットアップもしており、かつ、前回ナダルに勝利した後の達成感もあったのか、後半は無気力になってましたが、今回はグランドスラムです。同じような無気力な姿をさらすことは考えにくいでしょう。
識者目線での下馬評ではジョコビッチが有利との事ですが、現状を判断すればティエムの勝ち上がりの方が高いと見ますが、どうなるでしょうか。
1st | 2nd | 3rd | 4th | 5th | Result | |
ジョコビッチ | 6(5) | 3 | 0 | 0 | ||
ティエム | 7 | 6 | 6 | 3 |
1stセット
ティエムは序盤やや様子見なのか、ジョコビッチに対して強打をするだけでなく、ドロップショットや緩いショット、スライスなどを使ってジョコビッチを攻める。
第3ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチのリターンが浅く中に集まるとティエムはここぞとばかりに強打し、3つのブレークポイントを取られるも、前に出てのボレーなどでデュースとする。しかし、ティエムは尚も攻め、ジョコビッチのバックハンドショットのミスを誘い、ティエムが先行ブレークに成功する。
第4ゲーム ティエムのサービス 先行ブレークを握ったティエムは少し前に出てティエムがミスを連発し、3つのブレークポイントを握られると、最後もバックハンドの精度が狂い、ジョコビッチが即のブレークバックに成功する。
第5ゲームお互いの激しい攻防き、6度のデュースの壮絶なゲームでこのゲームだけで12分を超えた攻防になるも、ジョコビッチが凌ぎ切り価値あるキープを果たす。
すると第6ゲーム ティエムのサービス ティエムの攻め急ぎを冷静に対処するジョコビッチが逆転の先行ブレークを果たす。
第7ゲーム ジョコビッチのサービス ティエムは再び前に出てジョコビッチのリターンに鋭い強打を繰り返し、3つのブレークポイントを掴むと、ジョコビッチのフォアがこれに耐え切れず、ティエムがブレークバックする。
第10ゲーム ティエムのサービス ジョコビッチにバックハンドショットが華麗に決まると、ティエムのフォアハンドが詰まり、ジョコビッチが2つのセットポイントを握る。しかし、ティエムが前に出るなど臆せずプレイすると、ジョコビッチがバックハンドのリターンを立て続けにアウトにするなどし、ティエムが必死のキープを果たし、セットダウンを免れる。
1stセットはそのままキープが続きタイブレークに突入する。
タイブレークに突入すると、お互いがキープできず、ミニブレーク合戦の様相となるも、最後はジョコビッチがリターンをネットにかけるというらしくないプレイで、1stセット7-6(タイブレーク7-5)でティエムが先取する。
会場にはまだ弛緩した空気(これで面白くなったという雰囲気)が流れますが、テニスの内容はティエムが押しており、ジョコビッチは対策を余儀なくされていると感じます。
2ndセット
第2ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチがドロップを見せるもティエムに反応されると、そこからミスショットが相次ぎ更にダブルフォルトでブレークポイントを握られる。そこを凌ぐもティエムの左右の揺さぶりに対応が苦しく、3度のブレークポイントを握られた末、ジョコビッチがドロップを打つとティエムがこれに反応し、ジョコビッチは態勢を崩して転んでしまい、先行ブレークを握られる。
第7ゲーム ティエムのサービス ティエムのセンターのサーブに反応しクロスのリターンにも反応すると、ティエムがリターンをバックアウトし、ジョコビッチにブレークポイントが来る。しかし浅いリターンを強打で返されると、左右に展開するフォアクロスでこのゲームもキープされる。
第9ゲーム ティエムのサービンフォーザセット バックハンドストレートショットが立て続けに決まり2つのセットポイントを握ると、最後はサイドへのサービスをジョコビッチがリターンできず、ティエムが予想通りの展開で2セットアップを果たす。
ジョコビッチの現状を見ているとこれでもまだよくやっている方という印象。ただ、その状態では今のティエムには太刀打ちできないという現状です。ティエムを崩すにはいやらしい攻めに粘り強さが必要ですが、その粘りが出来る程フィジカルが急速に回復する事はあるでしょうか。
3rdセット
第1ゲーム ジョコビッチのサービス 互いのラリーからのランニングショットでジョコビッチを抜くと、ジョコビッチのバックハンドがアウトになる。粘り強いショットで盛り返すも、再度へのショットがアウトになりブレークポイントを握られるも、アウトスレスレのショットを連発しティエムのミスを誘いデュースに。
ここでティエムの予想外のドロップショットが決まり、2度目のブレークポイントを迎えると、ジョコビッチは臆せずサーブ&ボレーで前に出てティエムのアウトを誘い又もデュースに。
ティエムのリターンを見送ったジョコビッチがしかしこれが急速にコート内に落ちて3度目のブレークポイントを握られると、ジョコビッチがラリーの末リターンをネットに掛けていきなりのブレークを奪われる。
このゲームの攻防は見ごたえありましたが、ここで勝負ありの印象を与えるゲームでした。
第2ゲーム、ティエムが楽々キープすると、第3ゲーム、ジョコビッチはリターンを簡単にアウトし、3つのブレークポイントを握られる。するとジョコビッチがまたも簡単にバックアウトし、ラブゲームブレークで2ブレークアップを許す。
会場は余りのジョコビッチのミスぶりに騒然となる。
第4ゲーム、ティエムが難なくラブゲームキープを果たす。
第5ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチがポイントを取る毎に会場は大きな歓声に包まれるも、ジョコビッチのミスは止まらずブレークポイントを握られると、ジョコビッチのリターンがむなしくサイドラインを割り、ティエムが3連続ブレークという圧倒的なリードを築く。
第6ゲーム、ティエムのサービンフォーザマッチ。会場はこのまま終わる事に恐怖を覚えるようなざわざわした雰囲気が続いてる中、ティエムは淡々と強打で試合を決めに行き、3つのマッチポイントを握る。
ジョコビッチは前に出て粘りのリターンで一矢報いるも、最後はジョコビッチのリターンを綺麗にアウトサイドに抜くショットを決め、最後は6-0のベーグルという圧巻の内容でジョコビッチにストレート勝ちを収めました。
ランキングと実績だけを見れば、前回優勝者のジョコビッチがストレートで敗れるという事は波乱以外の何物でもないでしょうか。
しかしながら、今シーズンの両者のテニスを見る者であれば予想がついた結果ともいえるでしょう。ただしここまで大差がついた原因は色々あると思います。
1stセットの第5ゲームの必死のキープの時点ではジョコビッチにも復活の兆しがありました。しかし、そのセットのタイブレークでミスの連続でチャンスを逃した形でセットを取られてからはティエムは攻めの姿勢を更に強め、ジョコビッチは受けるしかなくなりました。それからは一方的に試合が進んでしまいました。
ジョコビッチがこのような状態になって負けるのはマドリードでのナダル戦とほぼ同様、完全なる力負けで負けて以来という感じです。ティエムとジョコビッチには既に歴然とした力の差があるように感じます。
ジョコビッチが本来の姿に戻るために試行錯誤していると記載してきましたが、この試合は残念ながら劣勢になる毎にその気持ちも薄れていく感じを受けました。これほどの完敗をしてしまうと、今後テニスを続けるモチベーションを保てるのかが少し気掛かりになる・・・それ程の完敗でした。
対するティエムは序盤こそジョコビッチを意識し慎重に入りすぎましたが、そこから強打を繰り返すいつものスタイル、それと機をみたドロップ、更にはイタリアオープンでは執拗に狙われたバックハンドですが、そのバックハンドでの強烈なショットでウイナーを連発し、ジョコビッチの戦術が機能しない状況に追い込みました。あとはそのまま押し切ったという印象です。
今日の試合内容で今後ジョコビッチに対する連敗意識も取れ、優位に試合を進める展開となっていくでしょう。
次のティエムの相手はカレーノブスタに1度のキープも許さず、カレーノブスタの棄権もあり体力十分で挑むナダル選手となりました。実力、調子、下馬評全て含めても事実上の決勝戦と言っても過言ではないでしょう。