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2018 全米オープン SF準決勝 錦織 対 ジョコビッチ 力を出し切れずに完敗

 9月8日(土)センターコート第2試合として、男子シングルス準決勝の錦織対ジョコビッチが行われます。

 第1試合のナダル対デルポトロが午前5;00より行われましたが、第2セット終了時点で、すでに痛めていたナダルの左足膝部分が悲鳴を上げ、無念のリタイアとなりました。決勝にはデルポトロが上がります。

 

 デルポトロ「もちろん最高の勝ち方ではない。ナダルは最高のファイター、最高の彼と戦いたかった。彼の回復を祈るよ。しかし、自分のプレイもよかった。タイブレークまで持っていかれたけど、そこをとれた。怪我もあったけど今日はバックハンドもよく振れていた。2009年はラファ、ロジャーに勝って優勝した。しかし、その時自分はまだ若かった。またその舞台に立てるのはとても幸せだ。また日曜日にお会いしましょう」

 

錦織対ジョコビッチは2勝14敗の13連敗中

 

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 錦織とジョコビッチは当初はそれほど相性が悪い相手ではありませんでした。

 2014年の全米オープン準決勝では全盛期のジョコビッチを破り決勝進出しました。それまでの対戦成績は2勝1敗でした。

 しかし、ここからのジョコビッチは錦織戦となると不調でも人が変わったかのようなテニスを披露し、圧勝、あるいは僅差にかかわらず、最後に勝利のポーズを上げるのはジョコビッチでした。

 プレイスタイルはこの4年間で変化があります。今は全てにおいて万全というわけではないですが、より粘り強くなりました。高水準の守備力を取り戻しつつあるジョコビッチは、ウインブルドンを制し、全米でもここまで来たことにより相当に自信も回復しています。

 錦織は自分自身が認めてるように、試合中に大きく調子が揺らぐようではジョコビッチにそこを突かれるというのを言っています。常に集中し、高いレベルを最初から最後まで貫く必要があるでしょう。

 しかし、それは暑さもある今大会では非常に困難です。チリッチ戦でも3セット目ですでに顔が真っ赤になっていましたが、その後天候が曇り空になったのもありフルセットをしっかり持たせることができました。

 ジョコビッチはよりラリーが長くなる相手であり、チリッチ戦よりも消耗することになるでしょう。しかし、好材料があるとすれば、この試合は現地時間7時ですが、大分日が傾き暑さが一段落した状態でスタートしそうなことです。しかし、湿気は相当ある模様です。

 

試合経過

 センターコート第2試合、セレモニー後の日本時間で8;00頃から開始予定です。

1stセット

 第1ゲーム、ジョコビッチのサービス。錦織が3連続でサーブリターンをネットに掛けるなどし、ジョコビッチが容易にキープする。

 第2ゲーム、錦織のサービス。予想以上に硬い立ち上がりの錦織。ラリーでジョコビッチに攻められたれ0-30。更に錦織のリターンがアウトになり、いきなりの3つのブレークポイントを握られる。しかしここからセンターへの良いサーブが2つ続き、さらにラリーでジョコビッチに競り勝ちデュースに。長いラリーから錦織がフォアで打ち上げ4度目のブレークポイントを握られる。ここをバックハンドクロスで華麗に決め初ウイナーで凌ぐ。2ndサーブを逆方向に狙われ5度目のブレークポイント。深いラリーの応酬で錦織のフォアクロスがラインを割り、ジョコビッチがブレーク先行する。

 第3ゲーム、錦織が良いラリーを見せるもジョコビッチは連続でポイントを取らせない。結局ここまでに5度ものサーブリターンをネットに掛けジョコビッチがキープする。

 ここまではジョコビッチのサーブにリターンが合わせられていません。まだ序盤ですが、ブレークを握られたこともあり動きが硬いです。

 第4ゲーム、このゲームはジョコビッチがリターンをネットに掛けるなどし、錦織がキープする。

 第5ゲーム、錦織がリターンエースを見せるも、直ぐにワイドサーブを決めるジョコビッチ。錦織はまだまだリターンがアジャストせず、ここまでで8本のネットエラーを記録するなどし、ジョコビッチがキープする。

 第6ゲーム、大事な場面でネットに掛けるシーンが目立つ錦織は、このゲームも、リターンを簡単にネットに掛けデュースに。ここはジョコビッチのバックハンドリターンがアウトになりキープする。

 第7ゲーム、ジョコビッチもまだまだというプレイぶりだが、それ以上に錦織の状態が上がってこない。そのためか観客もほとんど沸くことがなく淡々と進む。このゲームもジョコビッチのサーブをネットに掛けるなどし、ジョコビッチがラブゲームキープする。

 第8ゲーム、錦織はフォアのショットを連続でミスし0-30に、ここから互いにミスショットを繰り返しデュースに。ここでジョコビッチの打ち上げたリターンにスマッシュしようとした錦織が軸足をコートに引っ掛けヒヤッとする場面もキープする。

 第9ゲーム、ジョコビッチのサービンフォーザセット。ジョコビッチはこの場面で錦織を左右上下に振りポイントを重ね3つのセットポイント。最後はサービスエースで決めジョコビッチは1stセットを35分で取る。

 

 足首の状態が心配される錦織は、それ以上にジョコビッチのリターンに合わせられない。ジョコビッチもリターン精度が良くなものの、サーブがこれを助ける。サーブの差でジョコビッチが優位に立っています。とはいえ、互いに良いプレイはしておらず、観客も前試合が棄権したということもありかなり盛り上がりに欠ける展開となっています。

 

2ndセット

 第1ゲーム、錦織のサービス 。1stポイントは質の高いラリーを展開したもののジョコビッチが時間を作らせないリターンで錦織を追い詰める。更に2ポイント目も高質な深いラリーの応酬。しかしここもジョコビッチが内側からせめて0-30。ここで錦織がフォアストレートを撃ち抜き久しぶりのフォアでのポイントを奪う。更にはネットスレスレに落ちるクロスラリーで観客も大いに盛り上がる。

 さらに長いライジングの打ち合いでジョコビッチがストレートに打ち抜きブレークポイントを握られる。ここで錦織が逆を突くバックハンドストレートでデュース。深いリターンの応酬からジョコビッチが根負けしアドバンテージ。しかし、引き付けてのスマッシュで再びデュース。錦織は珍しくサーブの時に声を出すも深いリターンの打ち合いで根負けしジョコビッチに2度目のブレークポイント。これを凌ぐもダブルフォルトで3度目のブレークポイント。ここで力んだジョコビッチがバックアウトでこのゲーム10分を超える。錦織がリターンをネットに掛け4度目のブレークポイント。互いが前に出てのドロップも錦織が落ち着いて拾い粘る。センターのサーブでジョコビッチのオーバーリターンを誘いアドバンテージ。だがまたしてもリターンをネットに掛ける錦織。ジョコビッチのリターンがネットサイドに引っ掛かりアドバンテージ。最後はジョコビッチのバックハンドリターンがネットを越えず、13分にも及ぶこのゲームを価値あるキープで切り抜ける。

 第2ゲーム、ジョコビッチのサービス。先ほどのゲーム同様、互いに時間を与えない早いライジング気味のリターンの応酬。ジョコビッチがダブルフォルトを喫し30-30。錦織はドロップでジョコビッチを崩しデュースに。ここで2度目のダブルフォルトで錦織に初ブレークポイントが来る。ジョコビッチは湿気で手が滑ったとクレームをいいたげなジェスチャー。ここで深く守る錦織はしかしネットに掛けてしまう。ジョコビッチが高々と打ち上げたリターンをミスせずスマッシュで決め2度目のブレークポイントを掴む。所がここまで何度も見られたようにショットをネットに掛けてしまう。最後はワイドサーブをリターンできずジョコビッチも必死のキープを見せる。

 第3ゲーム、流れ的には良くない錦織。ジョコビッチに読まれたボレーもしっかり沈める。更には攻めのラリーでジョコビッチを崩し2連続フォアスマッシュを決めるなどしキープする。

 第4ゲーム、錦織のフォアリターンミスもあり、ジョコビッチが危なげなくラブゲームキープ。

 第5ゲーム、ワイドサーブで崩しながらも簡単にリターンをネットに掛け3つのブレークポイントを握られる。ここから攻めのプレイでジョコビッチのショットアウトを誘いデュースまで持ち込む。ここでフォアで打ち上げ4度目のブレークポイント。そしてフォアクロスが大きくサイドラインを割り、耐えきれない形でブレーク先行を許す。

 展開的に見ればここで勝負は決まった可能性はありますが、盛り返せるでしょうか。

 第6ゲーム、互いがネットスレスレのスライスを拾いまくりジョコビッチを錦織が崩す。しかしその次のポイントで錦織がまたもネットに掛けるなど、どうしても流れを持ってこれる展開に引き寄せることができない。最後もリターンを返しきれずジョコビッチがキープ。錦織はうずくまってしまう。

 第7ゲーム、このゲームでジョコビッチは失敗覚悟の思い切ったリターンを連発するもことごとく外れる。錦織もミスショットを連発するなど、クールダウンしたゲームに。最後はジョコビッチがバックハンドリターンをネットに掛けキープする。だがこれではなかなかリズムには乗れない展開。

 第8ゲーム、ジョコビッチが淡々とキープし会場が静まり返る。

 第9ゲーム、1stポイントは錦織がリターンをネットに掛ける。ジョコビッチもリターンを簡単にアウトになるなど、驚くほど会場は静まり返る。最後はジョコビッチのフォアクロスがサイドラインを割り、錦織がキープする。

 第10ゲーム、ジョコビッチのサービンフォーザセット。ここまで不安定なプレイだったジョコビッチだが、このゲームはいきなりのセンターへのサービスエース。しかしそれに観客は呼応しない。錦織の回り込んでのフォア逆クロスはサイドアウト。深いリターンの応酬でジョコビッチがネットに掛け錦織はガッツポーズを繰り返し鼓舞する。しかしジョコビッチが厳しく攻め立て2つのセットポイント。最後は錦織のバックハンドリターンが僅かにサイドアウトし、ジョコビッチが2セットアップになる。

 会場が余りにも静かなのに対してジョコビッチが会場の客を大いに煽る。

 このジョコビッチの行動を見るように、2ndセットの第1、第2ゲームは質の高い両者のプレイに大いに盛り上がったものの、それ以降はミスの多い低調な出来となっており、観客が徐々にトーンダウンしていってしまいました。

 流れ的に、意識的にもジョコビッチが落ちてくる以外にもう打開策はないでしょう。錦織の底力に掛けるしかない展開と言ってもよいです。ジョコビッチの方も自分自身のプレイに全く満足しておらず不満顔の様子です。

 

3rdセット

 第1ゲーム、錦織のサービス。1stポイントでジョコビッチがアウトショットを打つと大きく声を上げ鼓舞する錦織。更にアウトショットをジョコビッチが繰り出すと観客が少し沸く。結局ラブゲームキープで拍手が起こる。

 錦織のポイントに沸く会場を見ても会場には錦織とジョコビッチの実力差が顕著に表れています。

 第2ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチは上着を変えてこのセットに挑む。ジョコビッチのショットがアウトになり30-30になり観客が沸くと明らかにいら立つジョコビッチ。ワイドサーブを読み回り込んだフォアリターンがネットにかかり悔しさでしゃがみ込む錦織。更にはバックハンドリターンが大きくサイドネットを割り打開策が見えないキープをされる。

 第3ゲーム、このゲーム、最初のポイントはすでに30回を上回るネットに掛けるエラーリターンでジョコビッチが先行。更にはリターンがサイドを割り0-30。更には生命線のバックハンドリターンをもネットに掛け2つのブレークポイント。最後もバックハンドリターンを力無くネットに掛け、ジョコビッチが何もせずいとも簡単に先行ブレークを許す。

 第4ゲーム、ジョコビッチがギアを上げるわけでもなくラブゲームキープする。

 第5ゲーム、会場の空気がとてつもなく重い。互いのミスでのみのポイントに終始する。ジョコビッチの浮いたボールをスマッシュする錦織。しかりラリーをネットに掛けデュースに。ネットに掛けるのを危惧すると大きく打ち上げるなどし、錦織は天を見上げてしまう。更にはミスショットでジョコビッチにブレークポイント。錦織が華麗にバックハンドリターンを決めるとジョコビッチが大いに怒る。これにジョコビッチ夫人が笑顔を見せる場面が。最後は執拗なバックハンド攻めで久々に錦織らしいポイントを見せたキープを果たす。

 第6ゲーム、ジョコビッチがチャレンジを成功させるなど気を緩めずキープする。

 第7ゲーム、錦織がジョコビッチのリターンに追いつけなくなるなど精神的にも相当に追い込まれ2つのブレークポイントを握られる。最後は錦織のショットがアウトになりジョコビッチが2ブレークアップとなる。

 第8ゲーム、ジョコビッチのサービンフォーザマッチ。錦織は前に出るもボレーがネットを超えない。更には動けなくなった錦織にジョコビッチの左右振りが襲いかかる。ジョコビッチがなおも前に出て錦織をベースラインに釘付けにする左右振りでマッチポイントを掴む。ここは必死のラリーでデュースに。錦織のサーブリターンはサイドアウトになり2度目のマッチポイント。そして最後は大外からのバックハンドウイナーを華麗に決めたジョコビッチが大きなガッツポーズとともに試合を締めくくります。

 

 錦織はガックリした表情で引き上げていきます。

 

スタッツ

 

 

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 非常に残念な結果となっていまったこの試合。サーブスタッツはそれほど悪いものではありませんでしたが、今日はサーブ以前にストロークでミスが余りにも多く最後まで修正が効きませんでした。1stセットの終盤にコートに足を取られたのも原因かもしれませんが、それ以前にネットに掛けるショットが35回にも及びました。これでは勝てません。

 ジョコビッチは錦織のフォアにボールを集め、センター付近でのラリーを多用することで錦織のミスを誘発していました。完全に作戦を練られた末の敗戦と言えるでしょう。最後はバックハンドの精度も悪くなってしまい打開策は完全にふさがってしまいました。

 万全のジョコビッチだったわけではないにも関わらず完敗したという所に、多くの視聴者に落胆を与えたと感じられます。ジョコビッチの調子はミルマン戦を見てもわかる通り自分のプレイに満足がいかず苛立ちを募らせるシーンがよくみられましたし、錦織戦でももっと簡単にブレークできるところをミスを連発し、17度のブレークのうち13度も逃していた部分にそれは表れています。

 

 錦織選手は全米ベスト4はそれだけでも成功の部類で、チリッチ戦は素晴らしい試合でしたが、ジョコビッチ戦の敗戦により寧ろ課題が大きく出た大会となってしまいました。

 年内のトップ10復活はほぼ難しくなりましたが、今回の大会でランキングが12位まで浮上します。今後は楽天やパリなどで元気な姿を見せてくれることでしょう。

 

 全米オープンのF決勝はデルポトロ対ジョコビッチとの対戦となりました。デルポトロを相手に今日の出来では厳しいジョコビッチはどのようにこの試合に挑むかに注目します。

 

 

 

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