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2018 全米オープン女子決勝 大阪 対 セレナ・ウイリアムス 大阪がセレナを圧倒し日本人初のグランドスラム制覇を達成

 9月10日(日)午前5時から日本人女子初の全米オープン決勝を戦う大阪選手の試合が始まります。

 大阪なおみのこれまでの勝ち上がりは万全の1~3回戦に比べて4回戦は1stセットを取りながらも開き直っての強打を繰り返すサバレンカにセットを奪い解され、さらにファイナルセットも先行ブレークを奪われるなど追い込まれるも、ここでいつもの精神的な落ち込みは見られずしぶとくミスを最小限に抑えたプレイで逆転で制します。

 SF準決勝は因縁の相手キーズ選手でしたが、キーズの厳しい攻めで13度のブレークポイントを掴まれるもこれをすべて凌ぐというハートの強さを見せ、相手を精神的に追い詰めての57分ストレート勝利の完勝を収めて決勝へ進出しました。

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 対するセレナは3回戦で姉妹対決を制し、4回戦は巨漢カネピから1stセットをベーグルで取りながら2ndセットを奪い解されるも、最後は落ち着きを取り戻し勝利しました。

 

 互いに勝ち上がり方が似ており、4回戦でフルセットの激戦を演じた後に、QF、SFと完勝で勝ち上がってきました。

 

過去の対戦は今年のマイアミで大阪の勝利

 

 過去の対戦成績はセレナが復帰したばかりのマイアミオープンの1回戦で当たっておりこの時はストレートで大阪が勝利しています。

 とはいえ、この勝利が判定材料になることはないでしょう。プレイ強度がまるで違います。

 

試合展開

 

 会場は雨天のため屋根が閉じられるインドアコートとして開催されます。

1stセット

 

 第1ゲーム、セレナのサービス。やや硬さがみられる両選手、ダブルフォルトで大阪が0-30とリードするもここからワイドサーブ主体の攻めでポイントを重ねキープされる。

 第2ゲーム、大阪のサービス。大阪もダブルフォルトを喫し、第1ゲームと全く同じ0-30で今度は大阪の度胸が試される。ここでフォアの強打を決め、更にセンターサーブを中心にセレナを崩し、同じような形でキープする。

 第3ゲーム、両者とも同じような立ち上がりとなった中、セレナはリターンをサイドアウトし大阪が2つのブレークポイントを握ると、セレナはダブルフォルトを喫し、大阪が先行ブレークに成功する。

 第4ゲーム、ブレークキープできるか大阪。しかし硬さも見られず左右によく動ける大阪は、パワーをパワーで返すなど白熱したラリーを見せキープする。

 第5ゲーム、サーブが安定しないセレナがオーバーショットでまたも大阪にブレークポイントが来る。すると、センターの強烈なサーブを難なくリターンする大阪に、セレナのリターンがバックアウトとなり、大阪が2ブレークアップとなる。

 第6ゲーム、セレナが強烈なリターンを返す。更にはネットに出られて追い詰められるも大阪が大外からのクロスリターンを決め、これにはセレナも拍手を送る。さらにはやや浮いたリターンをダウンザラインにセレナが決めカモンの雄たけび。お互いの深いクロスラリーから強烈なセレナのクロスが決まり会場が大いに沸くセレナのブレークポイントが来る。だが大阪はここで188キロのサービスエースでデュースに。セレナのボディーリターンにリターンが食い込みネットにかかり2度目のブレークポイント。しかしラリーでのリターンをセレナがネットに掛けコートを蹴って悔しがるセレナ。最後は大阪のサーブをセレナが大きく打ち上げ、大阪がカモンの大声を上げるキープを見せる。

 第7ゲーム、セレナのリターンが外れ0-30と追い込む。ここから大阪は連続でサーブリターンをネットに掛け、セレナがキープする。

 第8ゲーム、早くも大阪のサービンフォーザセット。やや巻き返す形でキープされた大阪は太ももを叩き鼓舞する。大阪はセンター、ワイドを使い分けセレナに的を絞らせず2つのセットポイントを掴むと、ボディーへのサーブをセレナがネットに掛け、大阪が貫録を見せるセットアップを見せる。

 大阪は涼しい表情でベンチにに向かう。

 サーシャバジンコーチになってからのメンタルコントロールの集大成と言わんばかりの最高のテニスを披露します。リターンミスしても次のプレイで引きずらず、かといって力任せでなく、威力を落としてコーナーを狙うプレイ、更には今まで同様のパワーの強打を織り交ぜ、セレナは大阪のプレイに全く的を絞れていない状況です。

 このままいけば初優勝は目前と言えるでしょう。

 

2ndセット

 

 第1ゲーム、セレナのサービス。センター中心のサーブで下がらないセレナが一息つくキープを見せる。

 第2ゲーム、ロングラリーでセレナに粘られるもショートポイントでしっかり取り返す大阪。40-15の場面でセレナにコーチングのウォーニングが与えられ、セレナは抗議する。ここで大阪の鋭いリターンが決まり、大阪がキープ。

 ここまで強度が強いプレイに1ポイント毎に観客の歓声が響く雰囲気のよい決勝となっています。

 第3ゲーム、大阪にも声援があるものの、セレナのポイントでより声援が多くややアウエーの雰囲気が会場を包む中、ロングラリーからの逆を突く鋭いフォアの打ち抜きに会場からどよめきが。更にはセレナが大阪の角度のあるリターンにバランスを崩し、大阪にブレークポイントが来る。ここは互いに執念のリターンでデュースに。観客が大いに沸騰する。更にはまたも両者が拾いあう展開からセレナのドロップが綺麗に決まる。最後も厳しいリターンを大阪がネットに掛けセレナが必死のキープを見せる。

 観客が大いに盛り上がる中、セレナは厳しい表情でベンチに戻り、先ほどの警告に対して主審と口論する。

 第4ゲーム、セレナの必死のリターンに大阪のリターンがアウトになり0-30となる。しかし、2ndサーブでサービスエースを決める。更には引き付けての逆コースのリターンで大阪はカモンの声。ここでセレナが声をあげての必死のリターンを大阪が力んでネットに掛け、セレナにブレークポイントが来る。ここで互いの粘りのロングラリーで大阪が決めデュースに。セレナのネットスレスレのリターンをネットに掛け2度目のブレークポイント。大阪は2度ラケットをコートに叩き気分を落ち着ける。するとここでワイドのサービスエースで凌ぐ。セレナが角度をつけたサーブリターンで3度目のブレークポイント。しかしここもサーブで凌ぐ大阪。セレナのリターンエースで4度目のブレークポイントとピンチが続く。ここで大阪のリターンがオーバーショットとなりセレナが先行ブレークを奪取する。

 第5ゲーム、1stポイントをワイドのリターンエースで大阪はカモンの声。しかしセレナは今度はセンターのサービスで崩す。ここから2本のダブルフォルトで大阪にブレークポイントが来ると、セレナがリターンをネットにかけ、大阪が何もしないままブレークバックに成功する。セレナは悔しがり思い切りの力でラケットを叩きつけるとラケットは無残に折れ曲がる。

 第6ゲーム、セレナがラケットを破壊したことにより2度目の警告で15-0からのスタートとなる。しかし、セレナは1度目の警告を受け入れておらず、主審に激しく抗議する。心配そうに姉ヴィーナスも見守り、観客からブーイングも起こる。大阪は気にする素振りを見せずサーブで崩し、最後はサービスエースでラブゲームキープを見せる。

 第7ゲーム、チャンスボールをオーバーリターンするなどセレナのリズムは戻っていない。大阪のリターンエースがコーナーに決まりブレークポイントが来る。すると、セレナが前に出るところをフォアパッシングで抜いて大阪が優勝に向けてのブレーク先行を取る。

 第8ゲーム、セレナはなおも主審に抗議し落ち着かない。するとラモス主審はゲーム警告を宣告する。この警告はゲームを相手に与える警告で非常に重い処分となる。会場はどよめきとブーイングに包まれる。

 この異常事態に主催者側のコーチングが入り試合は中断される。この間大阪は気にする素振りをなく戦いに備える様子が映される。結局セレナはこの裁定を受け入れると会場は大きなブーイングに包まれ、その声はやまない。

 第9ゲーム、ざわつきが収まらない中セレナがプレイを開始し、強烈なクロスリターン、更にはサービスで追い込むと大歓声が起きる。ここでフォルトしただけでブーイングが止まないなど異様としかいえない雰囲気。このゲームをセレナがラブゲームキープすると大歓声が起きる。しかし知れなはベンチには戻らず主催者側に激しく抗議し、目には涙を浮かべている。ベンチに戻ったセレナは悔しさのあまり涙をタオルで拭いながら正面を向く。

 第10ゲーム、普通の試合とは違う異様な雰囲気の中の大阪のサービンふぉーざチャンピオンシップ。大阪の逆シングルが決まると会場はどよめく。しかしセレナのアングルリターンに会場が大沸騰。センターサーブを決め大声を上げる大阪。更にはワイドサーブでついに大阪に2つのチャンピオンシップポイント。粘りのバックハンドリターンでセレナが抵抗。最後はワイドサーブを決め、セレナと抱擁を交わす。

 

 大阪はベンチに戻ると両手に手を当て感動のあまり涙する。

 対してセレナは大阪を祝福した後に主審に人差し指を差し、更には会場からもブーイングが起こる。

 

 大阪は観客席に上がりコーチ陣と抱擁を交わした後、母親と長い涙の抱擁を交わす。

 

 表彰式では開催側の人間が壇上に上がると大きなブーイングが上がる。この異様な雰囲気のせいか大阪は思わず涙を浮かべてしまう。それを気遣うセレナ。

 

 大阪の名前が呼ばれても目に涙を浮かべた大阪は前に歩みだすことができない。しかし、ここで口を開く「ちょっと質問と違うことをいいます。。。みんな彼女(セレナ)を応援していたはず。なのでこんな終わり方になって申し訳なく思っている。でも試合を見てくれたみんなありがとう。母親がここで2試合見てくれたのでよかった。でも父親はプレイを見れないということで来てくれません(会場に笑い)。セレナと全米の決勝で対決するという夢、、かなってうれしいです。対戦してくれてありがとう。」

 優勝カップを渡されると横をキョロキョロとみてどうしたらいいかわからないという表情を見せる大阪。無事優勝カップを捧げて拍手を受ける。

 

 いつもと違い、最後まで緊張の面持ちのまま式典は終了しました。それは試合後のだれもが望んでいないブーイングがあったからでしょう。素直に喜べない。こんな形じゃないという表情は最後まで消えませんでした。グランドスラムの初優勝を完勝で飾ったもののこの初優勝は優勝というよりもややほろ苦いという印象を彼女に与えた感じがします。

 しかし、優勝をそのように感じる程の大きなポテンシャルは彼女にはあり今後10年以上は活躍が確実視される彼女は女子テニスを引っ張る形になるでしょう。

 そして印象に残ったのは第2セットの途中までの観客の反応です。互いに好プレーが続出し、決してストローカーの対決でないにもかかわらず、左右への揺さぶりを互いにライジングで返しあうなど、おおよそ女子の試合とはいいがたい強度を見せてくれた試合でした。それだけにセレナのコーチングの裁定は本当だったかどうかは検証が必要と言えるでしょう。

 

 明日は男子決勝のデルポトロ対ジョコビッチの対決があります。9月11日(月)5;00開始となります。

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