アレクサンダーズべレフ対バウティスタアグート QF準々決勝 2017ゲリーウェバーオープン
ドイツ、ハレで行われているATP500ゲリーウェバーオープン。錦織選手やティエム選手が相次いで姿を消す中、順調に調整を重ねるフェデラー選手。
そんな中、QFの最終試合のアレクサンダーズべレフ対バウティスタアグートの試合は息詰まる攻防で見ごたえのある戦いとなりました。
アレクサンダー・ズべレフ 対 ロベルト・バウティスタ・アグート
シード4位のズべレフ対シード7位のバウティスタの戦いは強力なサーブを持ち味に地元声援を受けるズべレフが有利との下馬評でしたが、試合ではバウティスタ選手がかなりのおちつきを見せて対応していきます。
1stセット
1 バウティスタS 低いフラットな弾道と粘りのストロークで冷静な入りを見せるバウティスタが労せずキープから入る。
2 ズべレフS 芝とは思えない長いラリーが続く試合となるも、前に出たバウティスタの横を抜くショットを見せるズべレフは、サーブも好調で3連続でサービスエースを決め、バウティスタ同様良い立ち上がりを見せる。
3 バウティスタS このゲームも長いラリーからズべレフがラリーを止めるチャレンジを使うもラインの内側に入る。バウティスタのリターンがことごとく深く、ズべレフもよいリターンを見せるも、回り込んでのボレーでズべレフの足を止め、バウティスタがキープする。
4 ズべレフS サーブで押すズべレフは、ネットに出てのボレーが運よくコードボールで相手コートに入るなどしてキープする。
5 バウティスタS お互いにネットに出るも、バウティスタのリターンがサイドアウトになるなどし0-30となる。しかし、左右の揺さぶりでオープンコートを作りポイントを奪うと、ズべレフがリターンを連続で掛けるなど、苛立ちを見せ、バウティスタがキープする。
6 ズべレフS ミスでチャンスを作れなかったズべレフはここが注意所となるゲームに思えたものの、構わず強打で押す。そしてライン際への鋭いショットでこのゲームをキープする。
7 バウティスタS 1stサーブの入りがよくないバウティスタはリターンでやや押し込まれる場面が見られ、この試合初めてのデュースに持ち込まれる。
すると20ショット以上にも及ぶ深いラリーの末、ズべレフがネットにかけると、主審にアウトになったショットがあったと抗議するも、当然受け入れられず、次のポイントもズべレフのバックハンドクロスがサイドアウトとなり、バウティスタがキープに成功する。
8 ズべレフS 嫌なキープのされ方をした直後、NEWラケットに交換し仕切り直す。深いショットや切り返しの鋭いリターンをコーナーに決め、労せずキープに成功する。
9 バウティスタS バウティスタのサイドへのサーブにズべレフのリターンがネットにかかるなどして、バウティスタがキープする。
10 ズべレフS ズべレフが前に出てのボレーを試みるも、バウティスタが落ち着いて横を抜き15-30とするも、ズべレフはサーブで押すなどし、キープする。
11 バウティスタS バウティスタがサイドやセンターへのサーブを打ち分け、このゲームをキープする。
12 ズべレフS 結局このセットは互いにブレークポイントを握る事なくキープ合戦が続きタイブレークへ。
タイブレーク ズべレフがミニブレーク2本先行するも、ミスによりそのリードを手放すと、7-6でのセットポイントから、バウティスタがネットに出てズべレフの粘りのリターンに負けずボレーを叩き込み、わずかの差でこのセット7-6、タイブレークカウント8-6で制する
スタッツではズべレフが圧倒も、落ち着いたプレイが光るバウティスタ。更には深いショットや左右を使った攻撃で対応。ズべレフのサービスゲームではほぼ無風状態も、自身のサービスゲームでも隙の無さを見せてのセット奪取となりました。
ズべレフも悪くはなく、メンタルをコントロールできれば、2ndセット以降もチャンスはあるでしょう。
2ndセット
1 ズべレフS 出だしが注目されたこのセットの1ゲーム目は、ドロップショットを使うなど落ち着いたプレイを見せたズべレフがラブゲームキープで入る。
2 バウティスタS バウティスタのリターンが浮いたチャンスボールをズべレフが大きくスマッシュアウトしてしまい、バウティスタが労せずキープする。
3 ズべレフS 苦しい場面をサーブが救う。特にセンターへのサービスが冴え、このゲームもキープする。
4 バウティスタS 0-30とズべレフ有利となるも、ミスによりチャンスを手放すと、最後は狙いすましたリターンエースがコートに収まらずバウティスタが助けられた形でのキープとなる。
5 ズべレフS サーブや深いショットでバウティスタを崩し、ラブゲームキープする。
6 バウティスタS ズべレフのリターンの精度が鈍り、簡単にネットに掛けるなどし、バウティスタが楽にキープする。
7 ズべレフS ズべレフのダウンザラインの鋭いショットが決まりズべレフも楽にキープする。
8 バウティスタS バウティスタがドロップショットを決めるも、外からのストレートがアウトになるなどしデュースに、更にリターンがアウトとなり、この試合初めてのブレークポイントをズべレフが握る。しかし、ここでドロップで落とすと、ズべレフのネットプレイにも対応し、バウティスタがキープする。
9 ズべレフS ネットの深い所に決められポイント先行されるも、粘り強いストロークで流れを引き寄せるとサーブで押し、このゲームをキープする。
10 バウティスタS 30-30とされるも、長いラリーからの決めに行ったズべレフの逆クロス気味のショットがわずかにアウトとなり、バウティスタがキープする。
11 ズべレフS バウティスタが前に出てのボレーで攻め立てるがそのたびにズべレフが粘りを見せ、最後はボレーを左に鋭く抜きズべレフは観客をあおるなどし、キープする。
12 バウティスタS バウティスタも崩れず、ズべレフのスライスリターンがネットにかかり、このセットもブレークがないタイブレークに突入する。
タイブレーク バウティスタのリターンがネットやサイドアウトとなると、ズべレフが一気に5ポイントを先取する。更にはライン際に鋭いショットを決めるなどし、このタイブレークを7-1で制し、セットオールとなる。
タイブレークではズべレフの良さのみが光る展開でファイナルセットも勢いに乗れそうな取り方をしました。
バウティスタは取れるポイントでボレーを安全に置きに行った所をズべレフに豪快に抜かれた当りから積極性が少しなくなってきて次のセットはやや心配な所です。
ファイナルセット
1 バウティスタS このままズべレフが押し切るかどうかが注目されるこのゲームは、しかしアグートが冷静に対処し楽にキープする。
2 スべレフS お互いの深いリターンからバウティスタがズべレフを揺さぶるも強烈なサーブで押すズべレフ。長いラリーからのズべレフのフォアストレートがネットにかかり、ズべレフのサービスで初めてのデュースに持ち込まれる。
ここでズべレフは2ndサーブにかかわらず200キロの強気のサーブでバウティスタを崩し、更にはサービスエースでこの局面を切り抜ける。
3 バウティスタS 立て続けにポイントを取り0-30からバウティスタの浮いたボールをズべレフがまさかのスマッシュミスで会場に大きなため息が。しかし、その後も攻めのストロークでバウティスタのリターンが甘くなった所をスマッシュで捉え、2つのブレークポイントを握る。
しかし、ズべレフが前に出たところを鮮やかに抜くバウティスタ。ここから更にラリーからのお互いの探り合いのラリーからズべレフが低い強打を連発するとバウティスタのリターンがわずかにバックアウトとなり、この試合初めてのブレークをズべレフが握る。この時点で試合は2時間と芝としては長い試合となる。
4 ズべレフS ブレークを奪った後の最初のポイントをサービスエースで取ると、深いリターンを連発し、最後は鋭いフォアショットを叩き込み勢いに乗るキープを見せる。
5 バウティスタS ズべレフがコーナーに鋭いショットを連発し、甘くなったショットをスマッシュで叩き込み、更には左右をついた攻撃からバウティスタがリターンをネットにかけ2つのブレークポイントを握る。そして、互いの深いラリーからバウティスタがリターンを打ち上げズべレフが一気に試合をス進める2つのブレークを握る。
6 ズべレフS 勢いにのるズべレフが躍動を見せ、楽にキープを見せる。
7 バウティスタS ズべレフが強烈なサイドリターンエースを決めるなどして3つのマッチポイントを握ると、最後もライン際に絵になる素晴らしいショットを決めて、このゲームを6-1と圧倒し、フルセットの末ズべレフが勝利しました。
スタッツ
互いに粘りや攻撃性を遺憾なく発揮した素晴らしい試合でした。
バウティスタはミスをせず、深くリターンし、隙あらば強いストロークでズべレフに対抗しました。ズべレフもブレークポイントこそなかったものの度々ポイントを先行されたりはしたものの、その度にサーブで巻き返しました。
芝の試合としてはストロークの時間が長く、互いに深いショットの応酬からのドロップショットをしたかと思えば、互いにネットに出ての拾い合いなど、この1試合で沢山のプレイを見せてくれました。
第3セットは第2セットのタイブレークを気持ちよく取ったズべレフがそのまま押し切った格好ですが、バウティスタも内容の良い試合を見せました。
ズべレフは強打やサーブの強さにネットに出られてもボレーを拾う粘りをつけてきました。兄ミーシャとの練習が生きてきている証拠でしょう。今後どれ程スケールの大きい選手になるか楽しみな部分を見せつけました。
ズべレフ選手の準決勝SFの相手はフランスのリシャール・ガスケ選手に決まっております。
もう1つの準決勝は調整を進めてきたフェデラーに若手のカチャノフが挑むという双方の試合が若手とベテランの組み合わせとなりました。