週末はスポーツ観戦

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ウインブルドン フェデラー大本命 対抗馬不在

 2017ウインブルドン開幕を7月3日に控えて芝ポイントを考慮したシード順が発表されました。ビック4が1位~4位を独占し、生涯グランドスラムを目指すワウリンカがシード5、日本の錦織選手はシード9となりました。また、本大会出場を目指す予選も大詰めを迎え、日本からは5選手がエントリーしたものの全て敗退となってしまいました。

 

 

フェデラー選手以外の選手の安定感に疑問符

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 メルセデスカップでは初戦敗退したものの、続くゲリーウェバーオープンでは芝に対応した早いプレイで全試合ストレート勝ちをするなど、しっかり調整してきているフェデラー。実戦ブランクをものともせず、試合が進むにつれてむしろ盤石の試合運びを見せました。

 フェデラー選手が順調に調整を進めている一方他の選手の動向が気になる所ですが、好調と思われる選手がそう多くない現状となっています。

 

マレー 臀部に不安  期待度0~60

 自国開催でのウインブルドンはマレーにとっても特別な大会なはずで、今年はロンドンでの悲惨な出来事もあり、エイゴン選手権では賞金の全額寄付を表明するなど、決意を新たに挑んだ大会でしたが、まさかの初戦敗退。そして内容も終始覇気がなく、敗れるべくして敗れたという内容でした。

 更には急きょ参戦したエキシビションマッチの2試合も臀部の痛みを理由に欠場となりウインブルドンにそのまま挑む事になりました。臀部の怪我の詳細が明かされておらず、最悪の場合はウインブルドン欠場までにおわせています。

 今シーズンは終始一貫してパフォーマンスにムラがあり、かつそれまでのような粘り強いストロークは影を潜めており、全仏オープンでもベスト4とはいえ、ワウリンカ戦以外の試合は、試合毎、またはセット毎でも安定したプレイをしていたとは言い難い出来ではありました。

 怪我の具合やそれまでのテニスのプレイぶり、及びメンタル的な観点から考えてV字回復とはならないでしょう。

 

ジョコビッチ 期待度60

 昨年の後半から続く不調もほぼ1年を通して継続されており、もはや全盛期の強さを取り戻す事が難しいと予想されてか、どの大会も本命に推されなくなったジョコビッチ。本人はこれに対して「プレッシャーから解放されて、肩の荷が下りた」と楽観視したコメントを残してます。

 果たしてそうでしょうか

 これまでのジョコビッチの行動を振り返るとプレッシャーは寧ろ増していると思える行動しかしていません。コーチ陣を一掃し、コーチ経験のほぼないアガシ氏をコーチに迎え、更にはまだ変化を求めています。これは、ジョコビッチが現状に満足しておらず、かつ全盛期の強さを取り戻したいと思ってるからにほかなりません

 従って、優勝候補に推されないのが解放感になっているとは到底言えず、むしろこの長く続く本来とは程遠い出来に本人が一番落胆しており、イライラしているといった所でしょうか。ウインブルドン前の芝の大会に出ている今回も異例ですし、とにかくジョコビッチはもがいています。もがいてはいるものの、試合となった場合そのもがきがどこかへ行ってしまう時があるという所が一番気がかりな部分です。

 このままですとそのうち諦めてしまいそう・・・そう感じずにはいられません。そしてその時にはトップ10も維持できなくなっているかもしれないと感じさせる部分があります。今、ATPツアーランキングで1桁を維持しているのはそのもがきによる試行錯誤があればこそとは思います。

 

ワウリンカ 期待度75

 ウインブルドンの前哨戦でのエイゴン選手権で初戦敗退するなど、あいかわらずグランドスラム以外での安定感の無さを見せるワウリンカ。とは言え、敗れたとはいえ芝コートにアジャストしていないわけではなく、テニス自体が酷いという印象はなかっただけに本大会までの調整次第では問題なく、ウインブルドンで勝ち上がっていく可能性は高いでしょう。

 アナコーン氏を臨時コーチに迎えての今回の大会は今までよりも比重を大きく考えており、全仏での悔しい敗戦のパワーも含めてキャリア集大成レベルで望んでくる事が予想されます。このような時のワウリンカは期待通りの活躍を披露してくれる可能性が高いでしょう。

 

ナダル 期待度70

 クレーコートシーズンでの疲労からぶっつけ本番になるウインブルドン大会。相手の心を折る粘り強いフットワークやストロークが生きにくいコートであるだけに何がおこるかはわかりませんが、それでも余程調子を落とさない限りはある程度勝ち上がっていくのではないでしょうか。

 相手の心を折る事はできなくても早い攻撃ができないわけでもないですし、芝コートであればスライスを多用しての運動量と粘りで勝負してくると予想されます。

 

ラオニッチ 期待度30~70

 昨年準優勝のラオニッチ。しかし今年は前哨戦にエイゴンオープンでまさかの初戦敗退。その前週も復帰4戦目のコキナキス選手に敗れてしまっています。

 サーブ性能をフルに生かし前に出るプレイで早いポイントで勝負するスタイルのラオニッチにとって芝との相性はとても良いはずですが、そのサーブの威力がここ数試合は大分落ちてしまっている印象です。春先から続く負傷の影響もあるのかもしれません。

 ただしサーブ感覚を取り戻せば一気に本命に躍り出る可能性を秘めており、初戦の試合ぶりを見てみたい所です。

 

チリッチ 期待度80

 今シーズンはこれーコートでもポイントを稼ぎ、エイゴン選手権でも準優勝を飾るなど良い調子でウインブルドンを迎えます。

 オッズではトップ4やラオニッチに次ぐ評価との事ですが、現段階での調子を考慮すると、フェデラーの対抗となりうる数少ない選手との見方をする人も多いでしょう。

 試合毎のムラがさほどなく、強烈なサーブを持ち、ストロークもそつなくこなします。また、体力的な面でこれまでグランドスラムではうまく対応しており、体力切れで試合を落とす事もありませんでした。

 昨年のウインブルドンではQFでのフェデラーとの対決ではフェデラー撃破に迫りながらもフェデラーの驚異的な粘りの前に逆転で敗れてしまいましたがテニスの質が崩れたわけではなく、フェデラーが見事に巻き返したという試合でした。

 おそらくは多くの人がまたの再戦を期待しています。そして更に円熟味を増したフェデラーに対してどのようなテニスを見せるかはウインブルドンの見どころの一つとなりそうです。

 

ティエム 期待度70

 クレーコートで大活躍し、トップ8に完全に定着したティエム。後半戦の失効ポイントが僅かなのを考慮すると更なるランキング上昇が確実視されていますが、芝シーズンに入ってからは早期敗退を繰り返すなど、調子を維持できなくなっています。アンタルヤオープンでも初戦で覇気のないプレイぶりでストレートで敗退してしまいました。

 ティエムの生命線は何といってもその攻撃性。サーブもよい物を持っており、芝との相性も決して悪くないはずです。芝での2大会の反省点を生かし、また、都合の悪い部分は忘れて開き直ってウインブルドンに臨むのが良いでしょう。

 本来の力を発揮すればドロー次第ですが、SF進出は十分に現実的な線と言えるでしょう。

 

アレクサンダー・ズべレフ 期待度10~80

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 全仏の前哨戦のイタリア(ローマ)オープンでジョコビッチに完勝してマスターズ優勝した時には全仏でも大いに期待されたものの、ベルダスコの老獪なテニスやサスペンデットの影響で初戦敗退となり失意のまま芝コートに向けての練習を積み重ねたズべレフは、ゲリーウェバーオープンでは精神的な成長を見せ、バウティスタやガスケに対応されたテニスをされて1stセットを落とすも今まで見られたイラつきを最小限に抑えて見事に逆転勝利を飾って見せました。

 決勝戦ではフェデラーの前に完敗を喫したものの2ndセットで試合を投げたわけではなく、2ndセットのアンフォーストエラー2が示す通り、やれる事をやっての敗戦でした。

 このように、試合毎に修正点を見つめて徐々に完成されて行ってる雰囲気を感じます。

 強烈なサーブにバックラインからの強打、サイドへの鋭いリターンなど、芝との相性も悪くなく、後はネットプレイという所まできました。

 ウインブルドンのオッズではチリッチやティエムより低いとされていますが、現状チリッチとほぼ同等の期待値があると思います。後は成長したと思われる精神面が2週間持つかどうかにかかっているでしょう。

 

錦織選手 期待値30~70

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 ゲリーウェバーオープンでは3大会連続で途中棄権。ウインブルドンでも2大会連続途中棄権となっており、芝での対応力が心配される錦織選手。

 しかしながら突発的な体調異変でない以外はしっかりと芝にアジャストしたテニスはできています。サーブは非力ながら相手を左右に動かし、相手のフィジカルを削るテニスができており、セットを落としても挽回できるでしょう。

 ただその突発的な体調異変を常に漂わせている所が見ている人を心配させます。

 芝は滑りやすく足元を取られると体に思いもよらない負荷がかかり、それが元で棄権も多くなる傾向にあります。試合が進めばベースラインの芝がはがれ安定度は増してきますが、序盤は芝のコンディションにも注意が必要です。

 そのような意味でも、錦織選手は「序盤に敗退しない事」が最低条件となってくるでしょう。4回戦まで進出すれば、少なくても芝コートによる怪我の可能性は減ってきます。

 しかし、錦織選手の場合は連戦となった場合の疲労の回復が遅い部分が問題となってくるでしょう。序盤は芝コートに注意を払い、中盤戦移行は自身のフィジカルコンディションをいかに整えるかにかかっています。テニスの質は変えようがないですし、まずはコンディションありきという所です。

 

杉田選手

 クレーコートでカレーノブスタやガスケ選手を撃破し、ティエム、フェデラー、デルポトロ選手など多くのトップ選手との対戦を経て順調に実戦を積み重ねている杉田選手は、アンタルヤオープンでもシード選手のフェレールを撃破しベスト4SFまで進出しました。

 芝シーズンでのフェデラーの試合では格の違いを見せつけるもブレークを奪うなど、攻め続ける姿勢を見せています。

 ウインブルドンでも本選からの出場となっており、下がらない攻め気のあるプレイで躍動あるプレイを期待したいです。

 

フェリシアーノ・ロペス 期待度??

 芝シーズンに入ってからはメルセデスカップで準優勝、エイゴン選手権ではワウリンカ、ベルディヒ、ディミトロフ、そして決勝ではチリッチとトップ選手を次々と破り優勝と、35歳にして充実の芝シーズンを謳歌しています。

 芝シーズンが始まる前は30位台中位に位置していたものの、この2大会の成績に芝ポイントの恩恵を加えて、ウインブルドンではシード19という高い位置での出場を勝ち取りました。

 ベテラン独特の落ち着いた雰囲気とコースを読ませないサーブで芝に完全にアジャストしており、上位陣に対しての驚異となる可能性は十分にあります。

 あとは、体力面、つまりはフィジカルがどこまで持つかという所でしょう。年齢を考えるとかなり厳しい戦いになるとは想定されます。芝シーズン順調とは言え、グランドスラムになるとそう簡単に事が運ぶかはわからないでしょう。

 

フェデラーの対抗場はチリッチとアレクサンダー・ズべレフ

 以上、選手の現時点での状況を考慮すると、ジョコビッチやマレーはその時々で活躍のムラがあり、2週目に残れば脅威ではありますが、1週目で姿を消す可能性も否定できず、ナダルはクレーコートにアジャストしきっていたためグラスコートでは未知数であり、こちらも試合を進めていかないと調子をはかれません。

 従って、比較的好調を維持しているチリッチ選手と、潜在的な総合力とメンタルの克服具合が見て取れるアレクサンダー・ズべレフがフェデラーの対抗となるという、大まかな予想となります。

 

 

 

 

 

 

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