ジョコビッチ棄権、マレー敗退 2017全英ウインブルドン QFベスト8
7月12日(水)日本時間21;00より、2017Wimbledon大会のベスト8の4試合が行われました。
マレー 対 クエリー
ここまで凌ぎながらの勝利を重ね、調子としては今一歩の感があるマレー。
一方のクエリーは激戦を制し疲労が心配されるものの、初のグランドスラムSF進出を掛けてモチベーションを上げて臨むと思われるこの試合。
1st | 2nd | 3rd | 4th | 5th | result | |
マレー | 6 | 4 | 7 | 1 | 1 | 2 |
クエリー | 3 | 6 | 6(4) | 6 | 6 | 3 |
1stセット立ち上がりの第2ゲーム、クエリーはダブルフォルトやバックハンドのショットに精彩を欠くと3つのブレークポイント奪われ、あっさりフォアショットがアウトとなりマレーがブレークに成功し、そのまま1stセットを6-3でマレーが取る。
2ndセットもマレーが先行ブレークを握るも第8ゲームにフォアショットのミスなどでブレークバックされ、第10ゲーム、2度のブレークポイントを握られた後のクエリーのバックハンドショットが決まり、1セットオールとなる。
3rdセット、第1ゲーム、マレーのバックハンドショットが連発で決まりブレークに成功するも、第10ゲームマレーのサービンフォーザセットでクエリーの見事な攻めでブレークバックを許し、タイブレークへ。タイブレークはサービスエースなどで6-1と一気にマレーが押すと、もたつきはあったものの7-4でマレーがこのタイブレークを制し、マレーがセットカウント2-1とリードする。
4thセット。マレーが無難なキープした後の第2ゲーム、マレーが顔をゆがめて苦しい表情を見せると、ここからのゲームはクエリーのサーブに全く体がついていかず、またリターンでも踏ん張りがきかず5ゲーム連取されて2セットオールとなる。
ファイナルセット。マレーの体は全く反応できず、前セットから9ゲーム連続で取られる。マレーも自身のサービスゲームでは必死のプレイを見せるも、クエリーのサービスでは全くサーブに対応できず、そのままファイナルセットも1-6で落とし、フルセットの末、マレーはQF準々決勝で姿を消しました。
それと共にクエリーはグランドスラム43大会目の出場にして初のベスト4の歓喜の瞬間を味わいました。
マレーは大会前からの臀部の痛みはずっと引いていなかったようです。ここぞの場面での気合がいつもよりは薄かった原因はここにあるという事になります。その状態で勝ち上がれたのは無駄なパワーを使わずにいたいという事だったのでしょう。ナダル戦のミュラー選手のように、派手なパフォーマンスで体力を使いたくなかったという所でしょうか。しかし、最後は耐え切れない痛みとなり、顔の表情からもその苦しさを表していました。
勝ったクエリー選手はプレーに波があるのはこの試合でも変わりませんでしたが、いつも以上にミスが少なく、またプレッシャーに晒される場面があまりなく格別の勝利となりました。サーブも好調を維持しています。
チリッチ 対 ミュラー
ここまで快調にひた走るチリッチに、ナダルとの激戦の後での疲労が心配されるこの試合。しかし、ミュラーはベテランなだけにしっかりと整えてきました。
1st | 2nd | 3rd | 4th | 5th | result | |
チリッチ | 3 | 7 | 7 | 5 | 6 | 3 |
ミュラー | 6 | 6(6) | 5 | 7 | 1 | 2 |
1stセットからミュラーはチリッチのサーブにも対応し、前戦の疲れを見せない立ち上がりを見せると、第7ゲーム、ボレーやフォアのライン際のショットが決まりブレークに成功すると、第9ゲームはチリッチのフォアリターンが立て続けにアウトになりこのセット6-3でミュラーが先取する。チリッチはこの大会で初めてセットを落とすという意外な立ち上がりを見せる。
2ndセットも1stセットの流れを受けてチリッチがやや押され気味に推移するも共にブレークを奪う事なくタイブレークへ。6-6と息詰まる攻防からミュラーがまさかのダブルフォルトを喫すると、チリッチがフォアショットを炸裂させ、1チャンスをものにした格好でチリッチがセットオールとなる。
3rdセットは引き続き息詰まる展開で互いにブレークポイントすら与えずに迎えた第12ゲームミュラーのサービスゲームで、チリッチが3つのブレークポイントを握ると、スマッシュを決めるなど食い下がるも、最後はバックハンドのボレーがアウトになり、チリッチがこのセットも1チャンスを物にしセットカウント2-1とリードする。
4thセットは勢いを得たチリッチがミュラーに襲い掛かり幾度となくブレークポイントを握るもミュラーはその都度サーブや粘りのストロークでチリッチにブレークを与えず第11ゲーム、チリッチのサービスゲームを迎える。するとここでチリッチがショットを連続でミスし、更にはミュラーの鋭いショットが決まり3つのブレークポイントをミュラーが握ると、チリッチの逆を突くショットを炸裂させ、一発でブレークに成功し、そのままゲームカウント7-5でミュラーがこのセットを取り、セットオールとなる。
ファイナルセット。ミュラーが押し切る可能性も考えられたこのセット。しかしチリッチはミュラーの強烈なサーブに素晴らしい反応を立て続けに見せ、先行ブレークに成功する。更には第4ゲームには態勢を崩してのワイドのリターンエースを決めるなどし、2ブレークアップを奪うと5ゲーム連取して一気に勝負を支配し、ゲームカウント6-1でこのセットを取り、チリッチが勝利しました。
敗れたとは言えこの日のミュラーも素晴らしいプレイを見せました。強烈なサーブだけでなく左右に力まずに叩き込むフォアショットも冴えており、ピンチ時にはしぶとく繋いで甘いリターンを引き出したりとベテランの味を発揮しました。
ミュラーのサーブはファイナルセットでも全く衰えませんでしたが、態勢を崩しての強烈なリターンエースを3度も決めるなど、ミュラーの精神を揺さぶるポイントを取れたのがチリッチにとって大きかったように感じます。
この試合2セットを奪われたチリッチも全く悪くなく、ミュラーがそれだけの強さを誇ったという事につきます。この激戦を制した事によりチリッチは一層に引き締めて準決勝以降に挑めそうです。
フェデラー 対 ラオニッチ
ビックサーブが持ち味のラオニッチと、ここまで盤石のフェデラーの試合。
1st | 2nd | 3rd | result | |
フェデラー | 6 | 6 | 7 | 3 |
ラオニッチ | 4 | 2 | 6(4) | 0 |
1stセット。立ち上がりのラオニッチはズべレフ戦のファイナルセットで見せた勢いそのままに強烈なサーブでフェデラーを寄せ付けないラブゲームキープを見せる。しかし、そのラオニッチのサーブにフェデラーが次ゲーム以降見事に対応していく。
するど第5ゲーム、ラオニッチのボレーミスによりフェデラーがブレークポイントを握ると、フェデラーがラオニッチを抜くフォアショットウイナーを決めブレークに成功。以降はラオニッチは常に自身のサービスで苦境に立たされゲームカウント6-4以上の差でフェデラーが1stゲームを取る。
2ndセットはそのままフェデラーがラオニッチを圧倒し、アンフォーストエラー1とミスの少ないテニスでゲームカウント6-2で翻弄する。
3rdセット、やや強度を緩めたフェデラーに対し、ラオニッチは5度のブレークポイントを握るもその都度フェデラーは気合を入れなおし、ラオニッチにブレークを与えずタイブレークに。タイブレークでは3-0とラオニッチが優勢にすすめるも、そこからフェデラーが前に出てのボレーショットを立て続けに決めるなどし5ポイント連続で取り逆転すると、最後はラオニッチのショットがアウトになり、フェデラーがタイブレークを7-4で制しストレート勝ちを収めました。
試合の序盤の入りのみラオニッチに可能性を感じましたが、すぐさまフェデラーが対応し、ラオニッチの強烈なサーブを物ともしませんでした。ストロークやボレーでは圧倒的にフェデラーが上手で試合全体を見ても危なげなく勝ち上がったという印象です。本当に強いです。
ジョコビッチ 対 ベルディヒ
セットを落とさず来てるとは言え、内容は今一歩なジョコビッチに、ティエムとの激戦を制したベルディヒの戦い。
1stセット。ベルディヒのサーブは好調でジョコビッチに隙を与えない。方やジョコビッチは決めるショットが打てず守備重視の戦いでこちらもベルディヒにブレークポイントを与えずにタイブレーク。しかし、このタイブレークでジョコビッチは集中力が散漫になったのか簡単にショットをアウトにする場面が目立ち、最後はジョコビッチのボレーがネットを超えず、このタイブレークを7-2でベルディヒが取り、ベルディヒのセットアップからスタートする。
2ndセット、第2ゲーム、40-0とした所でジョコビッチに明らかな異変があり、肘を抑える仕草が。その後ショットを立て続けにエラーし、ベルディヒにブレークを許すと、第3ゲームの0-15とされた所でジョコビッチが首を振りながら主審に試合続行不可能のサインを送り、そのままベルディヒの勝利となりました。
慢性的な肘痛
慢性的な肘痛、それが悪化しての棄権という事になっています。痛みがあったのは事実でしょうが、急に激痛が走ったというよりは、精神的にあきらめの部分が出ての棄権のように思います。今までの場合はそれでも勝つ道を探っていたと感じますが、精神面で追いつけていないという部分は少なくないように思います。それは全仏のティエムに2セットダウンをし3rdセットを完全に捨てた時のような感じに見えてしまいます。
アガシをコーチに加え、アンチッチを常時コーチに据える事を示唆していたジョコビッチにとってはこの怪我によっては長期離脱もささやかれています。ジョコビッチ本人も怪我の状態は視る医師により判断が違うと言及しており、まだまだどうなるか予断を許しません。
以上のような結果から、SF進出者は、
ロジャー・フェデラー
マリン・チリッチ
サム・クエリー
トーマス・ベルディヒ
以上の4選手に決まりました。予想とは大分差があるのではないでしょうか。
尚、準決勝は
フェデラー 対 ベルディヒ
チリッチ 対 クエリー
となります。フェデラー対チリッチの決勝を早くも予想する識者は多いでしょう。