2018 ATP1000 QFベスト8 錦織 対 チリッチ モンテカルロマスターズ
3回戦セッピ相手にかなり盛り返されながらも最後なんとか逃げ切った形の錦織は、QFでは休養十分ながら右膝に不安があるチリッチとの対戦となりました。
錦織は昨年からトップ10選手相手に勝てておらず、久しぶりのトップ10選手撃破もかかっております。
試合は21日、日本時間22時頃から開始予定です。
1stセット
前の試合でジョコビッチに勝ったティエム相手に完膚なきまでに叩きのめしたナダルの強さ(トータルポイント58対28の圧勝)の余韻が残る中、静かにこの試合始まります。
第1ゲーム、チリッチのサービスからスタート。センターへのエースを決めラブゲームキープする。
第2ゲーム、錦織のサービス。いきなり長いゲームとなるも、深いショットで応戦しキープする。
第4ゲーム、チリッチのリターンがネットにかかり、錦織のキープ。ただし、4ゲームまでに錦織のウイナーはまだ1本も記録していません。対してチリッチは攻めの姿勢で10本のウイナーを記録。
第5ゲーム、錦織のクロスリターンが決まるなどし、3度のブレークポイントを握と、前に出て攻めるチリッチに対して深い位置からの鋭いクロスリターンを決め錦織が先行ブレークを果たす。
第10ゲーム、錦織のサービンフォーザセット。錦織のバック攻めにチリッチが堪えきれずロングリターンし、2つのセットポイントを握ると、深いリターンを決め錦織がこのセット6-4で取る。
2ndセット
第1ゲーム、チリッチのサービス。デュースにもつれ込むも、ワイドサーブでエースを取りキープする。
第3ゲーム、錦織がバックハンドでの勝負をしかけるとチリッチが耐え切れずにアウトし3つのブレークポイントを握る。これを凌がれるも、錦織はネットに出るなどしてプレッシャーをかけ5度のブレークポイントを掴むもサービスエースなどで切り抜けられキープされる。
第4ゲーム、チリッチが鋭くフォアを振りぬくなどし、3度のブレークポイントを握られると、錦織のフォアリターンがサイドアウトとなり、チリッチがこのセット先行ブレークを果たす。
第5ゲーム、長いラリーでチリッチが粘り勝ちしたものの、ここでムーリエ主審に試合の中断を要求し、右膝の状態を確認する。テーピングをまき直し試合が再開される。
チリッチの動きがやや鈍く、錦織に2つのブレークポイントが来ると、チリッチのフォア逆クロスがサイドラインを割り錦織がブレークバックに成功する。
第8ゲーム、チリッチのフォア逆クロスがサイドライン際に決まり2つのブレークポイントを握らる。しかし最後は互いのネットプレイからの強打で錦織がキープする。
第9ゲーム、互いの痺れる攻防でデュースに。互いの攻防で息詰まる展開になるも、最後はチリッチがダブルフォルトを犯し、終盤にきて錦織がブレーク先行させる展開となる。
第10ゲーム、錦織のサービンフォーザマッチ。サービスエースで錦織が計3つのマッチポイントを掴む。しかし、アウト覚悟のチリッチの強打に押し込まれると、チリッチのすくいあげたリターンがライン上に収まりチリッチが土壇場のブレークに成功する。
第11ゲーム、錦織がクロスの打ち合いからのストレートにチリッチが対応できず、錦織がブレークポイントを握る。しかし攻勢を緩めないチリッチは最後はクロスからのフォアストレートを決め、チリッチがキープする。この時点でこのセットは1時間17分を計測し、長い勝負となる。
第12ゲーム、1stポイントを奪われたものの、ここから冷静にショットを繰り出し錦織がキープし、このセットはタイブレークに突入する。
タイブレーク 錦織-チリッチ
0-1 チ クロスの打ち合いで錦織が先にロングする。
0-2 錦 錦織のフォアリターンがバックアウトとなる。
1-2 錦 チリッチのサーブリターンがバックアウトとなる。
1-3 チ センターのサーブに錦織の態勢が崩れ、リターンがバックアウト。
1-4 チ チリッチのフォア逆クロスが決まる。
1-5 錦 錦織が引き付けての強打がネットに掛る。
1-6 錦 2ndを叩かれ、錦織のリターンがネットに掛る。
1-7 チ 錦織のフォアリターンがネットに掛る。
1時間27分のロングゲームとなったこのセットは、タイブレークでチリッチが制し、セットオールとなる。
錦織は3つのマッチポイントを逃し、更にはタイブレークの終盤でリターンを立て続けにネットに掛けるなど、気持ちの早急な切り替えが必要な状態となっています。
ファイナルセット
第3ゲーム、錦織のサービス。0-30となる場面を迎えるも、ネットプレイなどで凌ぐ。更にはチリッチに前に出られスマッシュを打たれるも錦織が鋭く反応するとチリッチがこれをリターンできず。このプレイが尾を引いたのかチリッチが若干リターンの精度を欠き錦織がキープに成功する。
第5ゲーム、デュースとなるも、ワイドへのサービスエースでこれを切り抜ける。
第8ゲーム、錦織が右手首を抑える仕草を見せるなど心配されるも、直後のプレイで厳しい態勢からのフォアクロスを決めて錦織が右手首を突きあげる。更にはチリッチのリターンがアウトとなり、錦織が2つのブレークポイントを掴む。するとチリッチのリターンがネットに掛り、錦織が待望のブレーク先行する。
第9ゲーム、錦織の2度目のサービンフォーザマッチ。チリッチがあきらめずに攻勢するも、それが相まってリターンをネットに掛け、錦織が4度目のマッチポイントを握る。最後はチリッチのリターンが大きくサイドアウトし、フルセットの末錦織が勝利しました。
試合後のカメラサインでは疲労困憊の錦織は日本語で「カモン!」で喜びを表現します。
スタッツ
スタッツだけを見ればウイナーよりエラーが多い結果となってますが、互いに長いラリーが多く、見ごたえのある試合でした。錦織はチリッチのバックに集めて大事なポイントを防いでいたのも印象的です。サーブの入りは互いにほぼ互角でしたが、ラリーで粘れたのが勝因でしょう。試合勘はかなり戻っているとみていいでしょう。後は試合中に何度か気にしていた右手首の状態がどうなのかが気になる所です。
チリッチの方も右膝の状態は心配されましたが最後まで動けていた事から今後のシーズンに不安を抱えるものではないでしょう。
次の試合までにどれだけ体力を戻せるかにかかっていますが、明日直ぐに試合があるため厳しい調整となるでしょう。
錦織のインタービュー
錦織「本当に長い試合だったので集中するのに苦労した。特に後半はチリッチの方が攻めていたので苦しかった。ただ最後の2ゲームはしっかりできた。今大会に関しては毎試合良い感触やレベルでできている。修正点はあるがテニス自体はよく調子も上がってきている。コンディションに関してはあまり変わらずそこまで万全というわけではないが、プレイできないレベルではないし、体調を整えて次の試合に臨みたいです」
錦織の右手首は気になる状態ではあるものの、フォアの威力が弱まったり、またコントロールできていないわけでもない事から試合の中でどんどん調整していっているという感じでしょうか。
SF準決勝の相手はこれまたロングマッチとなった戦いでブレーク合戦を制したアレクサンダー・ズべレフとの対戦が決まりました。日没を終えて9時を回る戦いながらズべレフは今日21歳になったばかりとまだ若く、体力の面では錦織選手の方が不安があると言えるでしょう。
ズべレフには昨年のワシントンで手も足も出ずに敗れてしまった対戦成績が残っています。ズべレフはチリッチやセッピのようにバック狙いはむしろ餌食とされるでしょう。ズべレフのバックハンドは強烈です。錦織陣営がどのような作戦でズべレフに対応するかは非常に興味深い所です。精神的に未熟な所を突くならばやはり粘りのテニスでミスを少なくして耐えるテニスとなるでしょうか。
試合は22日22時30分以降の試合開始となります。