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2018 ATP1000 SF準決勝 錦織 対 アレクサンダー・ズべレフ モンテカルロマスターズ

 QFのチリッチ戦は、中盤以降チリッチに押し込まれながらも粘りのテニスで2時間55分のロングマッチを制した錦織。

 SF準決勝の相手はこれまたその日の試合で2時間34分のロングマッチで9度のブレークをする乱打戦となったアレクサンダー・ズべレフとなりました。更にはこの試合は9本以上のロングラリーが49本と非常に体力を消耗する試合となりました。

 SFの試合組みは、

 第一試合 (1)ナダル 対 (4)ディミトロフ 22日20時30分開始

 第二試合 (4)ズべレフ 対 錦織 22日22時30分以降開始

 となりました。ノーシードとは言えチリッチ戦で見せた戦いにも表れている通り大きな番狂わせという感じのない勝ち上がりとなりました。

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ズべレフとの対戦成績 0勝1敗

 ズべレフとは昨年のワシントンオープンのSFで対戦しましたが、その時は錦織はズべレフのサーブやストロークに完全に力負けをしストレート負けしました。

 今回はクレーコートという事もあり、ズべレフのサーブも200キロ行くかどうかで、ストロークのスピードも抑えられています。どちらもロングゲーム後ですが、若い分ズべレフの方が回復は早いでしょう。かつ錦織は右手首の状態も心配の種となるでしょう。

 試合展開的にはズべレフのサーブに圧倒されないようにしぶとく拾っていく事が重要になります。また、モンテカルロオープン全体でみられるように1stサーブの入りが悪く、2ndを叩かれる傾向にあり、この部分でズべレフのリターンは強烈であり、注意が必要でしょう。

 

1stゲーム

 試合はナダルがストレート勝ちを収め予定通りの時間でスタートする。

 第2ゲーム、ズべレフのサービス。錦織は鋭い出足からポイントを先行、しかしズべレフが2ndサーブをセンターに決めるなどしてキープする。

 第3ゲーム、互いにリターンの精度が良くなく、共にバックアウトやネットを連発する形でのキープが続く。

 第4ゲーム、互いに鋭いバックハンドのダウンザラインショットを決めるも、錦織がネットスレスレのリターンをズべレフが対応しきれず、錦織がキープする。

 第7ゲーム、ライジングからのドロップショットでデュースに持ち込まれる、更にダブルフォルトからリターンを大きくアウトしブレークポイントを握られる。するとラリーからのリターンがネットに引っかかり相手のコードのサイドライン外に落ちズべレフがブレークを先行させる。ズべレフにドロップショットなどいいポイントはあったにせよ、デュースからは自らのミスでブレークを奪われる嫌な流れ。

  第9ゲーム、ラリーで主導権が握れない錦織はショットにも精度を欠き、ズべレフにセットポイントが来る。するとズべレフのリターンに錦織のフォアリターンが大きくアウトし、このセット3-6でズべレフに奪われる

 

 互いにバックハンドのウイナーが多い中、後半は錦織のミスが目立つ一方、ズべレフは開始からほとんど変わらず好調というわけではないものの、錦織のリターンスピードが遅いのが大変気になる所です。手首の状態が思ったより良くない可能性は高いでしょう。

2ndゲーム

 第1ゲーム、ズべレフのサービス。錦織がよいショットを見せ2つのブレークポイントを掴むと、スマッシュミスはするものの、次のプレイでズべレフがリターンを力無くネットに掛けて、錦織がいきなりの先行ブレークを果たす。

 第3ゲーム、ズべレフがダブルフォルトや完全にアウトのドロップショットなどで崩れかけ、錦織にチャンスはあったものの、詰めのリターンが甘くチャンスを逃す形でキープされる。

 第4ゲーム、チャンスを逃した後の錦織は一気に調子を崩し3つのブレークポイントを許すと、ダブルフォルトを喫し、簡単にブレークバックを許す。

 第5ゲーム、思わぬ形でチャンスが転がり込んだズべレフはサーブで押しキープする。

 第6ゲーム、一気に行かれそうな気配のこのゲーム。ここは何とか踏ん張りキープする。

 第7ゲーム、ズべレフの2ndサーブで前に出てストレートリターンを決め3つのブレークポイントを握る。すると錦織のネット際に落とすリターンと共に前に出ると、ズべレフのスライスリターンがバックアウトし、ラブゲームブレークで再び錦織がブレークを先行させる

 このゲームは錦織が終始落ち着きがあり、精神的にも落ち着いてプレイが出来そうな様相を見せます。

 第8ゲーム、ズべレフのプレーに荒さが見られ一時ラケットを放り投げる仕草を見せる。このゲームはズべレフのリターンが大きくアウトし錦織が楽にキープする。

 第9ゲーム、錦織が打ち合いからのドロップで15-30とポイント先行。更にはズべレフのリターンがアウトになり、錦織に2つのセットポイントが来る。するとズべレフのフォア逆クロスがわずかにサイドアウトとなり、このセットは流れ的には逆転で6-3で錦織が取りセットオールとなる。

 

 1stセットとまるでひっくり返したかのように終盤4ゲームを連取するという展開。しかもどちらのセットも選手が崩れてのゲーム連取となりました。錦織はズべレフのメンタルが戻らないうちに一気に畳みかけたい所です。

 

ファイナルセット

 錦織はバスルームブレークを取る。

 第1ゲーム、錦織のサービス。1stポイントは錦織の綺麗なバックハンドリターンが決まる。しかし、ズべレフも素晴らしいショットでリターン、更には錦織のリターンがネットにかかりブレークポイントを握られる。しかしズべレフのリターンがネットにかかりデュースに。しかし錦織のフォアリターンがまたもネットに掛る。しかしここでワイドサーブで活路を切り開き何とかキープに成功する。

 第2ゲーム、ここまでズべレフは1stサーブが34%と非常に低く試合をもつれさせている。2ndサーブを錦織は叩き、更には振りかぶってからのドロップショットを決め2つのブレークポイントを握る。ここで2本のサーブを決めるとズべレフは雄叫びを上げ、錦織は悔しい悲鳴を上げる。更にはスべレフの鋭いバックハンドクロスが決まり、ズべレフがキープする。

 第3ゲーム、このゲームは互いのよいプレイが光る。ズべレフが粘りからの鋭いショットを決めると、錦織が多彩なショットでズべレフを走らせ、最後は走り込んでのフォアパッシングショットで抜き、会心のキープを見せる。

 第4ゲーム、ズべレフがワイドサーブとセンターのサーブでポイントを取りキープする。おっこで錦織が右足首を気にする仕草を見せる。

 第5ゲーム、ズべレフの鋭いパッシングにバックハンドで落とすなどスーパープレイを見せた錦織が更に深いアングルからのドロップでズべレフを翻弄。錦織の良さが光るキープが続く。

 双方の選手がプレイレベルが格段とよくなり、それとともに観客が沸くようになる。

 第6ゲーム、ズべレフの粘りのネットプレイなどでラブゲームキープする。

 第7ゲーム、錦織はファイナルセット1stが入らない。更にはストレートリターンを連発するもアウトとなるなどしデュースに。錦織が主導権を握るラリーを展開するもネットにかかって浮いた所をズべレフに沈められブレークポイントを握られる。しかしここで前に出てボディーにきたリターンをうまくさばくなど決して簡単ではないプレイで凌ぐ。錦織のとっさの股抜きショットが決まらないなど長いゲームになったものの、最後はズべレフのリターンが連続でアウトになり、必死のキープを見せる。

 第8ゲーム、ストロークでは錦織が押す展開になるもズべレフも運動量で粘りを見せる。更には入るようになった1stサーブを軸に攻めるが、ダブルファーストサーブでフォルトしデュースに。しかし錦織のクロスリターンが共にアウトになりズべレフもキープで続く。

 第9ゲーム、痺れる展開が続くファイナルセット。ズべレフの鋭いリターンに錦織はネットに出て反応する。その後はズべレフのリターンが若干浮き、最後はネットに掛け錦織が楽にキープする。

 第10ゲーム、ズべレフに若干ミスが続いているこのゲームで決めたい錦織。

 長いライジングのラリーの応酬で最後はズべレフがネットに掛け錦織がポイント先行。更にズべレフのリターンがアウトになり0-30に。ここでズべレフのドロップがネットにかかりながら錦織のコートに落ちて15-30に。ここから錦織が連続でアウトショット。その後スマッシュを互いに拾い最後はネット前に落としたボールをズべレフがネットに掛けデュースに。更には互いにネットに出る接近戦でボディーに打ち込んだ錦織がマッチポイントを握る。最後はズべレフのリターンが大きくアウトし、錦織がシード2,3と立て続けに連覇し決勝進出し、復活を力強く印象付けました。

 

 

スタッツ

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 全体を見ると、ウイナー、エラー共にほぼ互角。1stセットはズべレフ、2ndセットは錦織に傾いた事を考えても実際には互角の勝負を展開したというイメージで間違っていないでしょう。

 ファイナルセットに限れば錦織の1stサーブは悪く、ズべレフは70%まで回復したにもかかわらず激戦になりました。互いにストロークではライジングの速いリターンで打ち合うなど観客も多いに沸くなど見所の多し試合となりました。その中でも勝利を収めた事は非常に価値があるでしょう。

 

錦織のコメント

 錦織「嬉しいですねー。大事な大会で決勝まで来れたのは嬉しいです。ズべレフ戦は1セット目もいいテニスはできてたと思うのでそこまで気負ってはいなかった。ファイナルセットはサービスキープを意識集中してできたと思う。モンテカルロは2回目だけれど歴史のある大会ですし、ナダルが絶対王者として君臨してるのはわかっている。彼に勝つには相当な集中力が必要だが、とにかく頑張ります。」

 1stセットは外から見た感じではミスショットが連発しており良いとは感じませんでしたが、それでも本人が気負ってないという部分が2ndセットでの逆転、3rdセットでの激戦に繋がったという事が言えるでしょう

 右手首を気にする仕草はこの試合でも何度も見せてましたが、フォアの威力には全く影響がなく、少しプレイが落ちる部分すらも計算しながら試合ができているという部分を見ても試合勘も大分戻ってきたとみてよいでしょう。何よりマスターズのシード2、シード3の選手を撃破して自信もとり戻ている風情が見受けられます。

 

決勝戦は絶対的王者の土魔人

 決勝の対戦相手は説明不要の絶対王者ナダルです。ジョコビッチを破ったティエムやディミトロフなどを子供のようにあしらう圧巻ぶりで隙が全くありません。正式にはデビスカップが復帰戦ですが、ATPツアーとしての復帰戦では今大会なだけに徐々に仕上げて、決勝では完全な状態で挑んでくるでしょう。

 クレーでの試合といえばリオオリンピックの3位決定戦で錦織がフルセットの末勝っているとは言え、マスターズ決勝となるとまた全く違ったものとなるでしょう。ここまで順調にそして盤石さを増しているナダルに対して錦織は上位との連戦は久々です。

 Fから、シード2のチリッチ、SFではシード3のズべレフ、そして決勝ではシード1のナダルです。この上位3人に対する3連戦は肉体的な疲労的を鑑みればあまりにもハードすぎます

 しかし、既に復活は強く印象付けており、また錦織としてもマスターズの決勝はまたとないチャンスです。ここでナダルに勝てば破ってきた相手とクレーのナダルという事もあり非常に格付けの高いマスターズ優勝となる事も事実です。ぜひともいい試合を期待したい所です。例え完敗したところで失うものはありません。

 

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