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2018 ATP1000 F決勝 錦織 対 ナダル 22日21時30分開始 モンテカルロマスターズ

 QF、SFと難敵を共にフルセットの末撃破し復活を印象付けた錦織。1年9カ月ぶりとなるATPツアー、そしてマスターズの決勝に挑む事になります。

 対するはクレーコートで絶対的王者にして唯一無人の強さを誇るスペインのラファエル・ナダルです。ナダルは怪我の影響でしばらくシーズンを離れていましたが復帰するや否や他の追随を寄せ付けず、しかも試合を重ねるごとにどんどん調子を上げています。

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ナダルのクレーコートのテニスの特徴

 ナダルのテニスはしぶとさと粘り強さにあるでしょう。ウイナー級のリターンをことごとく返してくるばかりか、時にはそれ以上のリターンが返ってきます。何よりコートに外に追い出したかと思いきや大外からスピンをかけて相手のコーナーに突き刺すフォアリターンは圧巻です。

 そして1プレイでなく試合全体としてプレーします。ミスが連続する事もありますし、ブレークも喫しますが、ブレークされた後のリターンゲームでは強度を上げてブレークバックを高い確率で取ってきます。そうなると相手は再びブレークする事ができず、徐々にナダルの粘りによりウイナーが取れずエラーを連発し、最終的には精神を破壊されてしまう・・という感じになります。

 昨年の全仏から数えてクレーコートの試合ではデビスカップのズべレフ戦を含めると12試合連続でストレート勝利をしています。それ程に絶対的な強さあります。

ミスがミスではない程のアグレッシブさ

 絶対的強さを誇るナダルですが、かといってミスを全くしないというわけではありません。いや、ミスはかなりあるのがクレーのナダルです。簡単なショットをネットに掛けたり、アウトしたり、何より自身のサーブをよくブレークされるのも特徴です。

 しかしそれすらも1試合で見たらコントロールされたかのように最後はナダルに打ちのめされる事になります。

 決勝の錦織戦でも何度かブレークのチャンスは来るでしょうし、ブレークもできるでしょう。しかし、だからといって試合の流れが変わるかと言われるとことナダルに対してはそう簡単にはいかないでしょう。ブレークされてからがナダルの強さがより引き出される節すらあります。

 

過去の対戦成績は2勝9敗、クレーでは0勝3敗

 過去の成績はやはりナダルに負け越している錦織ですが、特にクレーコートでは3連敗です。しかしATPツアー外として行われたリオオリンピックではクレーコートながらナダルにフルセットの末勝利を収めています。もちろん3位決定戦なのでモチベーションは違うので参考になるとは思いません。圧倒的に挑戦者という事になります。

 直近のクレーの対戦は2016年のバルセロナ決勝でしたが、ストレート負けながら中々に肉薄した戦いを見せております。ストロークで粘り強く勝負すれば少ないながらも可能性がないとは言えないでしょう。

 

 尚、試合時間は22日、日本時間の21時30分開始予定となっております。

 

1stセット

 第1ゲーム、ナダルのサーブで試合開始。錦織のリターンがアウトになりナダルがキープ

 第2ゲーム、デュースからブレークポイントを奪われるも、ナダルのフォアのライジングが僅かに外れて難を逃れる。その後も長いデュース合戦で1ポイントとるのに長いラリーを繰り返す。錦織が素晴らしいバックハンドを連発するも、ナダルの粘りがポイントを許さない展開。最後はナダルのドロップがネットを超えず、10分を超えるゲームをキープする。

 第3ゲーム、錦織の鮮やかなライジングが決まると、プレッシャーをうけたのかダブルフォルトで錦織に2つのブレークポイントが来る。そしてナダルが虚を突くドロップを打つも錦織が鋭く反応しナダルよ上を抜く鮮やかなショットを決め、錦織が先行ブレークを取る

 会場はまさかの展開の大きくざわつく

  第4ゲーム、ナダルはブレーク後のブレークバック率が非常に高いだけに錦織も集中を切らしたくない所。ロングラリーを制されると、錦織を下げてのスマッシュでナダルが押し込む展開に。錦織が回り込んでのフォアを力みナダルに2つのブレークポイントが来る。ここで錦織がダブルフォルトを喫し、ナダルにブレークバックされる。

 第5ゲーム、錦織を大きく左右に振り自由を与えず、最後はスマッシュで決めラブゲームキープで一気に錦織の心を折に来ています。

 第6ゲーム、ナダルの威圧からか1stサーブが入らず、ショットも力んだエラーを続ける。更には鋭いアングルショットでナダルが2つのブレークポイントを握る。ここで錦織のフォアショットがバックアウトし、ナダルが先行ブレークを握る

 第7ゲーム、ナダルはミスをしても強打を止めない。強烈なフォアの逆クロスがわずかに外れデュースに。ナダルのダブルフォルトで錦織にブレークポイントが来る。しかし苦しい場面で錦織のリターンがロングになり、ナダルが「バモース!」の掛け声。更には厳しいコーナーへのリターンで錦織を崩しキープする。これでナダルが4ゲーム連取する。

 第8ゲーム、ナダルのミスが目立ち、錦織が楽にキープし、ようやく錦織がゲームを取る。

 第9ゲーム、錦織の素晴らしいショットが決まるも、ナダルも厳しいクロスで応酬しセットポイントを握る。ここで錦織はネットに出てバックハンドボレーを決めデュースに。しかしナダルは最後逆を付くライン際のショットを決めてナダルが6-3で1stセットを取ります。

 

 ナダルのプレッシャーに押されて1stサーブが入らなくなった当りはかなり心配されましたがセットの後半は良いショットも見られ、ラリーでもよく対応できており悲観する内容には見えませんでした。錦織がズべレフ戦1stセットが悪くないというのならこのセットも間違いなく悪いセットとは思っていないはずなので、チャンスをしぶとく待って少ないチャンスを物にしたい所です。

 

2ndセット

 第1ゲーム、錦織のサービス。 ナダルの深いショットに苦しめられる錦織。更にはチャンスボールをスマッシュミスしブレークポイントを握られる。しかし、錦織はミスを連発せず正確なストロークでナダルのミスを誘うと、最後はナダルがリターンをネットに掛け、辛くもキープする。

 第2ゲーム、錦織が粘りのリターンでポイントを奪うも、それ以降はナダルがポイントを取りキープする。

 第3ゲーム、ナダルの大外からのリターンが決まる。更にはリターンを大きく打ち上げ0-30に。更にはナダルのリターンエースに反応できず2つのブレークポイントを握られる。ここでナダルの深いリターンがサイドラインを割ったかに見え錦織も見送ったものの、スピンが大きくかかりラインの外をかすめてナダルが先行ブレークを取る。錦織自身もまさか入ったとは思わなかったために主審に説明を求める。

 第4ゲーム、勢いにのるナダルが簡単にキープする。

 第5ゲーム、ナダルの攻勢が強まる。錦織のリターンが深くアウトになりナダルに2つのブレークポイントが来る。すると錦織のリターンがネットにかかり、ナダルが2ブレークアップとなる。錦織は思わずラケットを叩きつける。

 第6ゲーム、かなりメンタルにきている錦織が逆転する術は残っているのか。ナダルは容赦ない攻めで錦織を揺さぶる。しかし錦織もよく食らいつきバックハンドウイナーでポイントを先行させる。しかしここでチャンスボールをまたしてもミスショットしてしまう。対してナダルは似たようなチャンスボールをしっかりスマッシュで沈める。更には大外に錦織を追い込みキープ、これでナダルの5ゲーム連取となる。

 第7ゲーム、錦織はこの日初のサービスエースなどでラブゲームキープする。

 第8ゲーム、ナダルのサービンフォーザチャンピオンシップ。ナダルはワイドサーブやスマッシュなどで錦織に容赦ない攻撃を浴びせる。更にはナダルの鋭いリターンに錦織もよく反応するも惜しくもネットを超えず、ナダルに2つのチャンピオンシップポイントが来る。最後は錦織の逆を付く強烈なバックハンドリターンを決めナダルが貫禄の全試合ストレート勝ちで11回目のモンテカルロマスターズ優勝を飾る

 

スタッツ

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 トータルポイントは63対45と差を付けられていたものの、錦織のプレイに関していえばチリッチ戦、ズべレフ戦より1段ギアが上がったプレイを披露したように感じました。ナダルの強烈な左右振りにしっかり対応しており、更にはナダルのお株を奪うライン際のウイナーも数多く決めていました。ただ、重要な場面でのミスがナダルより多く、ここという所での気負いがプレイの精度を落とす部分は課題として残るでしょう。

 とは言え、決勝というナダルが隙を見せないパフォーマンスを見せた中でこれ程渡り合える事から見ても錦織は急激にプレイレベルを戻している事がわかり、ファンも一安心といった所ではないでしょうか。手首を痛がる様子はこの試合では全く見られるプレイによく集中できていたと感じます。

 直ぐにバルセロナオープンが待っていますが、早ければ3回戦で再びナダルとの対戦が予想される事からも、ナダル道場でクレイコートのプレイの質を鍛え上げるのもよいかもしれません。

 

錦織のコメント

 錦織「もちろん悔しいです。しかし、1週間しっかりと試合をこなせた事、そして決勝まで進んだ事に満足しています。去年はクレーコートで試合に出れていなかったのもあったし、復帰後のクレーの初大会でもありどうかと思ったけど、ある程度の集中はできていたと思う。もう一度ナダルに挑戦できればと思います。」

 

 ベルディヒ、チリッチ、ズべレフと厳しい相手に打ち勝ち、決勝の舞台でナダルとの対戦は考えうる中でもハードすぎる連戦でしたがこれだけの試合を続けて怪我による体の異常もなく、かつ最後までスタミナ切れを思わせるような極端なプレイ精度が下がるという場面もありませんでした。

 グランドスラムはまた違ったフィジカルを求められるのは確かですが、これから続くクレーコートの連戦でしっかりと結果を残せそうな予感はありますし、本人自身がそう感じていると確信します。

 とは言え、1週間試合を続けた事による疲労も相当な物でしょう。しかもメドベデフ戦以外はフルセットで、今大会はシード選手でもなかったため6試合を戦ったわけです。バルセロナオープンは先ほど記載した通り、3回戦でナダルとの対戦の可能性が高いため、コーチと相談の上ではコントロールの必要もありそうです。

 

 錦織選手の復活で他の復活途上の選手にも思う所はあるに違いありません。同世代のラオニッチはもちろん、コーチ陣を再び戻したジョコビッチなどはバルセロナオープンへの急遽参戦を見てもモチベーションを上げてくるに違いありません。

 この復活劇が一過性のもので終わらないように今はしっかりとケアをすべき時でもあるでしょうか。今後に期待しましょう。

 

 

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