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2018 ATP1000 1回戦 錦織 対 ジョコビッチ 苦手克服なるか マドリードオープン

 5月6日(日)から開催されるクレイコードのマスターズ大会2連戦のうち、マドリードオープンのドローが発表になりました。

 そのドローの中でもひと際目を引くカードが・・・・

 初戦から、錦織対ジョコビッチが実現しました。

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互いのランキングとマドリード大会のシチュエーションにより実現

 マドリードマスターズは、大会出場選手56名の大会です。従ってシード選手の1回戦免除が8人までとなっており、他のマスターズと比べてもトップシード以外にはあまり恩恵のないドローとなる場合が多いのです。

 更にはシード選手のドローへの影響が上位16人しか存在しないのも特徴です。そのため、錦織選手はこの恩恵に預かる事ができず、ほぼランダムに振り分けられた結果今回の対戦が実現しました。

 

過去の対戦成績は 2勝11敗

 過去の対戦成績は2勝11敗と大きく負け越しており、2014年の全米オープンの準決勝で奇跡の勝利を上げてからは10連敗中です。特にマスターズにおいては互いにトップ10以内にいたため、QF以降での対戦で全てジョコビッチが物にしています。

 

現状であれば、勝たなければいけない相手

 とは言え、現状のジョコビッチには過去の対戦成績、特に2017年以降の対戦成績はあまり意味を持たないでしょう。

 ジョコビッチの現状は、2016年の生涯グランドスラムを達成して以来、徐々に調子が落ち、2017年に入ると完全に崩壊してしまいました。更には肘の問題を抱えて昨年の後半はシーズンを棒に振っています。この間にコーチを変えたりとジョコビッチなりにもがいている最中と言えるでしょう。

 モンテカルロでは少しばかりか復調のきっかけをつかんだように見えましたが、バルセロナでは強打で押してくるクリザンに押し切られました。また、インディアンウエールズマスターズではダニエル太郎選手相手に60のアンフォーストエラーを喫して敗れています。

錦織、ジョコビッチ、ワウリンカら復帰組が大苦戦 男子テニス 2018 上四半期状況 

 ジョコビッチのテニスのプレイぶりを見ると、声を張り上げてリターンをしてもさほど強い返球にならず、自分が思うような攻守一体のテニスはまだ出来る状態ではないでしょう。更には試合中にも好不調が入り乱れ安定しません。

 

 同じ回復途上にあるとみられる錦織ですが、モンテカルロで見せたパフォーマンスを見ればある程度の試合感覚は既に戻っていると捉えられます。バルセロナでは疲労により初戦で途中棄権してしまいましたが、休養十分で挑む今回の対戦であれば、あとは錦織の出来次第という見方が自然でしょう。

 今までの苦手意識が残ってるはずですが、現状のジョコビッチに勝つのには特別な事は何一つ必要ではなく、現状の普段通りのテニスをすれば負ける相手ではないでしょう。ストロークでの粘りも、リターンの精度や強さも錦織が押す展開にできるはずですし、そうしなければいけません。クレーコートでナダルに対抗するためにはジョコビッチファンには酷ですが、圧倒して乗り越えて欲しい所です

 

ジョコビッチを抜けた後は・・・・

 ジョコビッチ選手を破った場合は、以下のような対戦相手が予想されます。(数字は上がってくる推定確率、100未満分はアップセットです)

 

 2回戦 エドマンド 60 メドベデフ 40

 3回戦 ゴファン 40 チョン・ヒョン 40

 QF ディミトロフ、シャポバロフ、ラオニッチ 各25

 SF ズべレフ 50 チチパス 20 フォニーニ 10 ラモスビノラス 10

 F ナダル 85 デルポトロ 10 ティエム 2

 

 2回戦は共に若手の有望株相手となり、言いにくいですが、ジョコビッチよりも厄介な相手となる可能性が高いです。

 3回戦はシード8のゴファンと怪我明けのチョン・ヒョンは甲乙つけがたいです。このチョン・ヒョンとアレクサンダーズべレフは5月5日(土)の日本時間21時頃からBMWオープンの準決勝SFで対決となり、注目されます。

 準々決勝QFは、選手の名前だけ見ればどの選手もタフですが、クレーコートでは決め手に欠けるパフォーマンスに終始しており、読めません。

 準決勝SFは、昨年もイタリアマスターズを制したズべレフが濃厚で、今シーズンもモンテカルロや今週行われているBMWオープンでも力強いパフォーマンスで他をリードしています。但し、ここにきてチチパスもかなり力をつけてきており、2回戦でのズべレフ対チチパスが事実上のSFの切符を掴む様相があります。

 大本命はやはりナダルがずば抜けていますが、休養十分で望むデルポトロがどのようなパフォーマンスを見せるかは非常に注目されます。その他の選手は可能性がかなり低いように感じられます。

 

 予想はつきませんが、とにかく初戦で今までのジョコビッチ像をいかに打ち払えるのかに注目したい所です。

 尚、その初戦ですが、まだ日程までは発表されていませんが、5月6(日)~8(火)の3日間で行われています。現在行われている3大会でSFに進出した選手の兼ね合いも考えると、おそらくは5月7日(月)の可能性が高いと思われます。

 

 錦織選手の試合は日本時間で5月7日(月)23;00開始予定となりました。

 コート第3試合なため、24時を超える可能性もあるでしょう。

 

錦織 対 ジョコビッチ 試合内容

 試合は予定通り日本時間23時10分頃からのスタートとなりそうです。

1stセット

 第1ゲーム、ジョコビッチのサービスゲームは、いきなりのセンターのサービスエースを見せるも、錦織がコードボールに粘りの反応を見せ、かつチャンスボールでは前に出てジョコビッチにボディーを突きいきなりのブレークポイントを握る。ジョコビッチはサーブは威力はあるものの、3つのダブルフォルトを見せるなど安定しない。それでもサーブが入れば錦織は満足にリターンできず、何とかキープに成功する。

 第2ゲーム、錦織のサービス、第1ゲームでチャンスは何度もあったが逃した形の錦織はどのようなプレイを見せるか。サーブに苦労する錦織に対してジョコビッチが2ndを叩くなどしてデュースに、しかしジョコビッチにチャンスがありながらネットに掛けるなどする。最後は錦織のフォアクロスにジョコビッチが反応できずキープする。

 プレイ内容ではリターンの精度が互いにかなり低く長い試合となりそうな様相です。

 第3ゲーム、ジョコビッチは序盤から精度が低いながらも強打で錦織に満足なリターンをさせず楽にキープする。

 第4ゲーム、サーブが入らない錦織だが、ジョコビッチも長いラリーでの精度に掛けるという戦いに。40-15から錦織が立て続けにリターンミスしデュースに。更に錦織のリターンがアウトになりブレークポイントを握られる、しかしラリーが続くと声を上げて反応に苦慮するジョコビッチの出来もあり、キープに成功する。

 第5ゲーム、錦織の深りリターンがラインを割らなくなって苦しくなるジョコビッチがバックアウトのリターンを連発し、更には狙いにいったフォアクロスがネットにかかり錦織に3つのブレークポイントが来る。更にはラリーで左右に振り回すとジョコビッチのライン際のリターンが外れ、錦織がラブゲームでブレークに成功する。

 第6ゲーム、ストロークの精度がやや落ち着いてきた錦織は一気にいけるか。しかし、バックハンドのライン際のショットがアウトになり2つのブレークポイントを握られると、ダブルフォルトでジョコビッチがブレークバックに成功する。流れがよくなったと思った途端にブレークバックを許す錦織にはまだまだジョコビッチに対しての苦手意識が強く見受けられます

 第7ゲーム、ジョコビッチはまたもダブルフォルトを犯すなどピリっとしない。更には強打するとミスるという形で早くも14本目のアンフォーストエラーを喫し、錦織に2つのブレークポイントが来る。しかしチャンスボールを叩く錦織のリターンも精度が低く、ジョコビッチがキープする。ジョコビッチが雄叫びを上げるほど苦しんでいる試合展開を大きく助けている感じとなる。

 第8ゲーム、苦手意識に苦しむ錦織はファーストポイントもミスにより取られてしまう。しかしジョコビッチが連続でリターンを打ち上げるなど、観客もなかなか声援を送り難い展開になってきている。停滞した雰囲気の中、錦織が前に出てジョコビッチが叩きにきたリターンをボレーで反応する良いプレーを見せてキープする。

 第9ゲーム、ここまでで錦織12、ジョコビッチ18のエラーと互いに精度を大きく乱す試合展開の中、ミスが多いながらもジョコビッチのサーブを錦織がリターンに苦しみキープされる。ここでまたもジョコビッチが吠える。

 第10ゲーム、ジョコビッチが気合を入れるの対して淡々とする錦織。ジョコビッチのリターンが深く決まるようになり、デュースに。更にはリターンエースでジョコビッチがセットポイントを握る。しかし際く深いショットで再びデュースに、錦織も声を上げる。その後も2度目のセットポイントを握られるも、ジョコビッチのリターンがサイドラインを割り、錦織が必死のキープを見せる。

 第12ゲーム、1回戦としてかなりの客足となっているこの試合、このゲームは互いの深いラリーが続くなど見ごたえのあるポイントが続くものの、錦織のリターンがアウトになり、ジョコビッチに4度目のセットポイントが来ると、錦織の2ndサーブをジョコビッチが渾身のクロスリターンで沈め、ジョコビッチがこの日一番の雄叫びと共に、ゲームカウント5-7で錦織が1stセットを失う

 

 序盤のチャンスを逃すとジョコビッチがこれまでの対戦成績をパワーにしたのか、徐々にプレイ精度が上がってくると、最後は渾身のリターンエースで精神的にもどんどんと調子を上げていってます。

 方は錦織は決めに行ったショットがほとんど決まらず、互いにアンフォーストエラーが17対22と多い中、欲しい所でポイントが取れず、気分的に巻き返せるかが心配な展開です。

 

2ndセット

 第1ゲーム、ジョコビッチのサービス。強いのショットを見せるがやはりまだまだ本調子には遠いジョコビッチはダブルフォルトで、錦織幾度もきたブレークチャンスが来るも、ここでもリターンを簡単にネットに掛けるなどしてキープする。錦織はガックリと来てしまう。

 第2ゲーム、簡単に40-0とするもそこからジョコビッチの反撃に会いデュースに。ここでこれまであまり決まらない回り込んでのフォアリターンがギリギリでラインを捉えて辛くもキープする。

 第3ゲーム、ジョコビッチのプレイ精度が徐々によくなり、深いリターンが決まるようになる。錦織も深い逆クロスでデュースに持ち込むも、互いに深いリターンでミスよりも精度の高いポイントが増えると、互いのバック攻めで錦織がリターンをアウトし、ジョコビッチがキープする。

 第4ゲーム、ジョコビッチに比べるとまだペースが上がらない感のある錦織。1stポイントでミスでポイントを奪われも、ジョコビッチもまだまだ安定はせず、40-30からジョコビッチのリターンがネットに掛り、錦織がキープする。

 第5ゲーム、ラケットを変える錦織。ジョコビッチのセンターからのスマッシュを2度も跳ね返し錦織が大きな声を張り上げる。しかしその後ジョコビッチがワイドサーブですぐさま取り返す。その後もジョコビッチは連続してミスする事がなくなり、最後もフォアのダウンザラインのショットを鋭く抉り万全のキープを見せる。

 第6ゲーム、錦織はワイドサーブやカウンターでのバックハンドストレートを決めこの試合初のラブゲームキープを果たす。

 第7ゲーム、2ndセットは1stセットが嘘のように互いの好プレーが光る展開。そして30-15からジョコビッチが高いバウンドのボールをスマッシュミスして30-30に。しかし今年のジョコビッチなら崩れていた所をしっかりサーブで押し切り、最後もセンターへのサービスエースで涼し気な顔で乗り切る余裕すら見せるキープを見せる。

 第8ゲーム、このセットはエラーが錦織6対ジョコビッチ8と、明らかにプレー精度が高くなってる両者。ただ、錦織の1stサーブの確率は上がってこない。しかし体の動きは徐々に良くなってきており、ジョコビッチの深いストロークからのドロップにもしっかり対応していく。ジョコビッチもリターンエースで対応するも、早いラリーからネットに掛け錦織がキープする。

 第9ゲーム、1stサーブの精度の威力とドロップショットなどの緩急で錦織を翻弄するジョコビッチが楽にキープする。

 第10ゲーム、ジョコビッチは更に動きが良くなり、左右に振るラリーで翻弄され始める。ここからいいポイントが続き、40-15とリードするもそこからリターン2つがアウトになりデュースに。更には互いのポイントの取り合いが続き、錦織のリターンがアウトし、ついにジョコビッチにマッチポイントが来る。そしてラリーからの錦織のリターンがバックアウトし、ジョコビッチが復活の狼煙を上げるストレート勝利となりました

 

スタッツ

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 2ndセットは互いに見ごたえがあったものの、強打を打ってもミスがなくなってきて、最後は実力的に押し切られた格好となってしまいました。

 とは言え、勝ち目がなかった試合かというと、1stセットの第6ゲームまでの数多くのチャンスを逃した事によってジョコビッチに精神的に回復させる隙を与えすぎたのが敗因となりました。

 ジョコビッチも1stセットは声を張り上げ自分を鼓舞するなど苦しむ姿が見受けられましたが、2ndセットに入ると大きな雄叫びを上げる事もなく笑顔を見せながらのプレイからしても、自分の体が徐々に動けるようになっていってる喜びを感じているようでした。こうなると中々隙は少なくなっていきます。

 今年のこれまでのジョコビッチの試合を見る限りは序盤にリードされると焦りから自滅する場合が殆どなため、試合的にはやはり勝たなければいけない試合だったという事が言えるでしょう。

 

 強打をする相手に弱い部分が最後まで響く

 モンテカルロの3回戦のセッピ戦でもあったように6-0で1stセットを取りながらも、相手が捨て身で強気のショットを打たれると受けに回り焦りから自滅するという部分がこの試合でも大きく出てしまったという事でしょう。

 それがジョコビッチともなると、対戦の相性もあり立て直させてしまいました。今シーズンに限らず今後このような強打を仕掛ける相手には苦戦が続く事が予想されます。

 動きに関してはそれ程悪いものではありませんでしたが、大事な場面でジョコビッチとの相性の悪さというか、気負いが見られて悉く取れませんでした。精神的な面では少し後退してしまった印象です。

 更には1stセットの入りの悪さが勢いに水を差す格好となってもいます。これはモンテカルロから改善の兆しがみられていません。そのために2ndを積極的に叩かれてしまいました。ある意味対錦織に対してジョコビッチは忠実に戦略を練っていたという事になるでしょう。これに対して錦織はジョコビッチに対してほとんど対策など立てていなかったかのように気持ちよくプレイをさせすぎていたとも感じます。時折見せる執拗なバック攻めが対策だったのかもしれませんが、鋭いバックハンドのアングルショットを何度か喰らっており奏功したとは言えません。

 立て直しにはやはり結果が必要で、ローマでは今回帯同しなかったチャンがどのようにお灸を据えるかにかかっているでしょう。

 早期に負けてしまった事により、フィジカル面よりメンタル面での問題が大きく、チャンコーチ不在を感じさせる所もあった事から、チーム一体となっての改善の取り組みが今後も続く事になるでしょう。

 

まだ復活とはいかないジョコビッチ

 対するジョコビッチもまだ復活とは言えないでしょう。2ndセットのプレイをコンスタントに見せてようやく復活の兆しというレベルであり、1stセットのような不安定極まりないショットは2ndセットでも時折見せており、まだまだ安定とは遠い印象です。

 更にジョコビッチの復活を妨げているのは体の動きの重さです。一歩目の出足が鈍いのか反対方向に振られた時に声を大きくあげて対応できないシーンが頻発しました。それは動きがよくなった2ndセットでもかなり見られており、ジョコビッチが思っている以上にフィジカルの落ち込みを取り戻せていない印象です。

 このフィジカルの復調は試合を重ねるごとに研ぎ澄まされていくのか、筋肉的な問題かにより今後の復活の度合いが図れるように思います。

 2回戦の相手はエドマンド、メドベデフどちらが来ても楽勝という事にはならないでしょう。むしろこのパフォーマンスが一過性で終わらせないためにより一層のプレッシャーも予想され、まだまだ様子を見る必要があるでしょう。

 

 マドリードオープン全体として見ると、まだまだ今後もジョコビッチには壁がいくつもあり、その壁を越えられて一味違うジョコビッチが見せられるのか、やはり今年のジョコビッチを見せてしまうのか、、その二面性が今後の見どころとなりそうです。

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