2018 全仏 4回戦 錦織 対 ティエム 20時開始予定
6月3日(日)から全仏4回戦となります。ここまで16人の勝ち上がり、逆に言えば112人が既に敗退しています。
残された16人はこれ以降はセンターコートのフィリップシャトリエか、セカンドコートのスザンヌランランコートでの試合が用意されています。
錦織選手は4回戦で当初の大方の人の予想通りティエムと顔を合わせる事になりました。
ATP公式サイトでもトップで対戦を紹介するなど、本日一番のカードど目され、注目が集まっています。
- 過去の対戦成績は2勝0敗も・・・
- 無双ナダルを唯一倒した男
- ティエムのプレイスタイル
- 錦織と現在の相性は
- 試合開始時間 センターコート第2試合 20;00開始予定
- 1stセット
- 2ndセット
- 3rdセット
- 4thセット
- スタッツ
過去の対戦成績は2勝0敗も・・・
そのティエムとの対戦成績は過去2勝0敗と負け無しです。
とは言え、これをもって相性が良いと早計する事は難しいです。両者の対戦は2年以上ありません。そしてティエムが頭角を現してきたのがまさにこの2年です。錦織がティエムを破ったのは2016年のローママスターズのQF準々決勝でストレート勝ちして以来です。
それ以降ティエムは全仏では2年連続SF準決勝に進出しており、クレイコート実力者としての地位を確立しました。その礎を築く前の対戦結果と言えるでしょう。
無双ナダルを唯一倒した男
そして何といってもティエムの実力を更に照明するものとして、ここ2年でナダルに勝っている唯一の選手という事実は非常に説得力を持ちます。
2017年のナダルはクレイ成績24勝1敗でしたが、この1敗がティエムでした。
2018年もここまでナダルはクレイ成績20勝1敗ですが、この1敗もまたティエムです。
ティエムがナダルを破った2試合はいずれもナダルの粘りについていき強打を立て続けに繰り出して、ナダルの自滅を誘う形のストレート勝利を収めています。そしてどちらもQFでの勝利となっています。
どちらの勝利もナダルが一見パフォーマンスが悪いと見る事もできましたが、それ程ティエムを意識しているという裏返しでもあり、ティエムの勢いがあるときはどんなボールにも食らいつき、そして強烈な片手フォアの強烈なリターンが炸裂します。
ティエムのプレイスタイル
ティエムは公表では185cm82kgというスタイルですが、見た目は昨年よりだいぶ引き締まりました。80kg切っているのではと思われます。その分動きの機敏さは大分増したように思います。
ティエムのテニスは昨年まではパワフル一辺倒のパワーテニスというイメージでしたが今年は先ほど言及しました肉体改造もあり、よりオールラウンダーになってきているイメージです。
持ち前のサーブの強さが若干控えめになった感じですが、パワフルなストロークはそのままにネットプレイや前に出るプレイなども織り交ぜるようになりました。戦術の幅が広がっている印象です。
基本的にはベースライン後方からスピンの効いた重いリターンで相手に圧力を掛けるパワーが持ち味で声が出ている時はなかなか崩れません。
とは言え、試合によっては波があるのも事実で、エラーが連発しだすと止まらない部分もありメンタルの安定が課題の選手です。そのような試合展開にさせれるかどうかにかかります。
錦織と現在の相性は
錦織選手の場合は3回戦のシモン戦やローマでのコールシュライバー戦を見てもわかるようにストロークでしっかりとつなぎながら勝負する選手に対しては自分から主導権を握れるので非常に安定した試合ができる反面、2回戦のペール戦やモンテカルロ3回戦のセッピ戦のような開き直った攻撃を繰り出す選手には主導権を握られる傾向にあります。
ティエムはどちらかと言えばパワフルで主導権を握るタイプの選手ですが、開き直って読めないプレイをするわけではないので、彼ら(ペール、セッピ)とも違います。
とは言え、身体能力は非常に高いのは変わらず、攻撃的なテニスを披露しますので、錦織としては耐えなければならない時間帯も確実に来ます。その時にしっかり耐えミスを減らし、そしてティエムが少し気分的に下がった時に一気に攻撃できるかどうかという展開になるのではないでしょうか。完成度の高い選手なので自らミスが多くなるテニスをすると勝ち目はないでしょう。
何れにしてもティエム相手なので勝利の可能性は五分五分かやや不利という下馬評ですが、だからこそ楽しみな対戦でもあります。
試合開始時間 センターコート第2試合 20;00開始予定
試合開始時間は注目試合とあってセンターコート、フィリップシャトリエの2試合目に組まれます。女子シングルスの後の試合とあり、日本時間で20;00開始が濃厚です。
1stセット
試合は女子の試合が早く終わり、19;30頃からスタートする。
第3ゲーム、錦織のサービス、錦織のリターンに対してティエムのそれは重くなかなか思い通りのリターンが返らない錦織は2つのブレークポイントを握られると、フォアの逆クロスがネットに掛りながらサイドを割りティエムがブレーク先行する流れとなる。
第5ゲーム、錦織はまだアジャストしている感じはしないもののこのゲームは楽にキープする。
第7ゲーム、ティエムに簡単にキープされ続けている錦織に焦りが見える。更には浅いリターンを素早く振りぬかれて3つのブレークポイントを握られると、クロスからのバックハンドストレートをネットにかけ、ティエムに2ブレークアップされる。
第8ゲーム、ティエムのサービンフォーザセット。錦織はティエムのサーブに追いつくことができなくなり、3つのセットポイントを握られると、センターへのサービスに反応する事もできずに、このセット6-2で錦織は落としてしまいます。
ティエムはまだギアが上がっていないにもかかわらず、錦織のプレイに覇気が感じられません。このままではまずい流れです。
2ndセット
第1ゲーム、錦織のサービス、このゲームも錦織のプレイは冴えない、簡単のリターンを大きく打ち上げ3つのブレークポイントを奪われると、ティエムのリターンを簡単にネットに掛けてラブゲームブレークを許す。
第2ゲーム、ティエムのサーブに錦織は1stセット同様に反応できずラブゲームキープを許す。
第3ゲーム、スマッシュで40-30とするも、深いラリーの打ち合いで先に錦織が折れデュースに。このデュースは長くなりお互いに打ち合いも、ティエムに3度のブレークポイントが来る。するとティエムのリターンに錦織のフォアクロスが大きくはずれ、14分にも及んだ長いゲームを耐え切れずにティエムが2ブレークアップとなる。
第5ゲーム、ティエムのドロップ気味のショットに反応できず、更にはネットに出た所を抜かれ2つのブレークポイントを握られると、錦織はまたもティエムの1stリターンをネットに掛け、このゲーム全てのゲームをティエムにとられる。
第6ゲーム、ティエムのサービンフォーザセット。ティエムのサーブに反応できない錦織は3つのセットポイントを握られると、センターへのサーブに錦織は反応できず、このセットは6-0のベーグルでティエムが早くも勝利に近づく2セットアップとなる。
あまりの一方的な試合展開に観客が全く沸く部分がなく、かつティエムもまだまだ余力を残している状況の中、このままいい所なく敗れる事があるようだと、これまで戻してきた自信を一気に失いかねません。
巻き返す術はあるのでしょうか・・・。
3rdセット
第1ゲーム、錦織のサービス。トイレットブレークを早く切り上げ戻ってくる錦織の表情は重い。しかし冷静に対処する錦織はドロップショットを打ち、それに反応したティエムの上を抜くショットで久々のキープに成功する。
第2ゲーム、ティエムのサービス、1stポイントは錦織が取るも、リターンがネットに掛るなどまだまだアジャストしきれない錦織。最後は錦織のリターンがアウトになり、ティエムがキープする。
第3ゲーム、ようやく思うようにラリーができるようになった錦織は長い打ち合いでもティエムからポイントを取れるようになると、最後もティエムを振り切り、この試合で恐らく初の納得した形でのキープをする。
第4ゲーム、ようやく互いがポイントを取り合う展開になり、ティエムのスマッシュにも厳しいコーナーのショットで対応し30-30とする。しかしここでティエムはギアを上げ鋭いコースのワイドショットを繰り出しキープする。
第5ゲーム、錦織はティエムを左右に振れるようになると、ティエムがサーブリターンを打ち上げ錦織がキープする。
第6ゲーム、ティエムのサーブは好調でが楽にキープされる。
第7ゲーム、らしいプレイが見られる錦織は、しかしミスにより15-30となる。しかしライン際に鋭いショットを決め、更には角度のあるクロスの打ち合いからティエムがネットに掛けここまでこのセットはキープ合戦が続く。
第8ゲーム、いいプレイはしている錦織は、しかしティエムも崩れずサーブでは常に押され、まだまだ突破口が見えずキープされる。
第9ゲーム、錦織もこのセットは集中力を持続する。ティエムを左右に揺さぶると、錦織のアウトラインすれすれにかかる強烈なバックハンドリターンでラブゲームキープに成功する。
第10ゲーム、ティエムのサーブの安定力は衰えない。更には錦織もよく追いつくもボレーで沈めるティエムがキープする。
第11ゲーム、ティエムの粘りで30-30とされる。更には前に出てのチャンスボールをネットにかけるミスでデュースにしてしまう。ここでティエムの強打におされながらも態勢を崩しながら放ったバックハンドショットがティエムの横を抜き、観客をおおいに盛り上げるキープを見せる。
第12ゲーム、ティエムの2回目のサーブの際にそれをリターンしようとした錦織がフレームに当りラケットを手放し顔をゆがめるシーンにもしやの戦慄が走る。しかし、ここからティエムのワイドサーブに鋭い反応をした錦織が、この試合初めてのブレークポイントとなるセットポイントを掴む。すると錦織の大きく深い時間のあるリターンにティエムが力みバックアウト。錦織は待望の初ブレークでこのセットを7-5で取り、1セット返す。
3rdセットはしっかりテニスができており、第12ゲームでラケットを弾かれた時は冷や汗をかきましたが、その次のプレイで鋭いリターンでティエムを崩しティエムの焦りを誘いセットを1つ返すのに成功しました。
ここからこの集中力をどこまでキープしていけるでしょうか。
4thセット
第1ゲーム、錦織のサービス、左右だけでなく上下に動き、ティエムをラリーで押すようになると、ティエムの逆をつく鋭いフォア逆クロスが決まり比較的楽にキープする。
第2ゲーム、ティエムのサービス、ティエムのサーブにいいリターンが返るようになってきた錦織。ティエムはそのプレッシャーからかダブルフォルトを喫する。しかし1stサーブが入ると中々ポイントを取れない錦織。ティエムは声を出し気合を入れるキープを果たす。
第3ゲーム、やや力んでチャンスを逃した格好の錦織はここは気の引き締め所。しかしそれより前にティエムのリターンが狂いだし、ティエムは大声を上げる。このゲームは錦織がラブゲームキープする。
第4ゲーム、コートの横でインタビューを受けるナダルの姿が映し出される中、この日のティエムはサービスの良さが自分自身を助ける。更には錦織を崩してのフォアの強打などでラブゲームキープする。
第5ゲーム、錦織はラリーでティエムに強打で押すようになると、更にはドロップショットを決め、このゲームもラブゲームキープで勢いに乗る。
第6ゲーム、ラリーで押されてもサーブは引き続き好調のティエム。更にはフォアのダウンザラインのショットが決まり、ティエムがキープする。
第7ゲーム、錦織のスライスが外れ1stポイントはティエムに。更にはティエムの強打で0-30。ここで錦織のリターンが浮くもティエムがスマッシュミスする。ティエムは大声を張り上げる。1stサーブが入らない錦織は、ティエムのストレートに押され2つのブレークポイントを握られる。ここで2ndサーブを回り込んで叩かれティエムが苦しかった中で先行ブレークを取る。錦織はラケットを投げつける。
ティエムのサーブに突破口が見いだせない中でこのブレークは大変厳しく、このまま終わる可能性も高くなる展開。
第8ゲーム、1stポイントはティエムのアウトで錦織が取る。しかしワイドに使った強打でポイントを重ねるティエム。錦織も思うようなリターンが出来ず大声を張り上げる。ここから鋭いリターンでティエムを崩し錦織も拳を握る。しかし2ndサーブからでも強烈なサーブで錦織を押すティエム。ここでクロスからバックハンドストレートを錦織が決めデュースに。しかし錦織のドライブのかかったリターンが僅かにアウトになるなどし、ティエムがキープに成功する。
第9ゲーム、早い展開のラリーでもミスをしない錦織がこのゲームをラブゲームでキープし望みを繋ぐ。
第10ゲーム、ティエムのサービンフォーザマッチ。ワイドサーブで1stポイントを取るティエム。ややルーティンを長くするティエムは、リターンを力みネットに掛ける。更にはサーブ&ボレーで前に出るティエムに対して錦織は走り込みながらアングルショットで15-30とポイントを先行させる。しかしワイドに崩しての強打で30-30に。ここでワイドサーブがイレギュラーする不運でティエムにマッチポイントが来る。錦織のリターンが浮いたチャンスボールをティエムがバックアウトでデュースに。焦っているティエムを責め立てたい錦織だが、左右に振りウイナーを決めるティエムが2度目のマッチポイント。ここで錦織がリターンを打ち上げ、ティエムが6-2,6-0,7-5,6-4で締めくくりました。
スタッツ
粘りましたが、最後までティエムのサーブを攻略できずに終わってしまいました。
スタッツを見るとあらゆる数字でティエムが圧倒し、完敗風味な数字とはなっていますが、試合展開は4thセットでブレークポイントを凌ぐことが出来ればもうどう転ぶかはわからない展開でした。逆にいうならばそこまで持っていく事ができました。
とは言え、だからといって惜しかったというと、サーブを最後まで攻略できなかっただけに、しっかり負けたという印象です。錦織の1stサーブは今日は不安定で、最後のブレーク時も1stの入りは悪いゲームでした。
また試合の途中からはティエムのサービス中に手首を振る仕草が頻発するようになりました。それほどティエムの球質が重く、フレームショットも連発した事から手首にかなり負担がかかったことが想定されます。
ですので、今はしっかりと休んでグラスコートに挑んでもらいたい所です。
ポイント的には昨年ベスト8まで進出しているため、180ポイントの減となり、ランキングはまた下がってしまいます。しかしながらハードコートシーズンからは全ての大会が加算ポイントの大会だけに、シード20近辺で上位と早期対決するドローの中でどれだけ勝っていけるかにかかっています。
勝ったティエムは、中盤以降は自分自身のプレイに苛立ちを見せて焦ってはいたものの、サーブが最後までティエムを助けました。
今シーズンはサーブの威力はそれほど高くなかった試合が多かっただけに、かなりの仕上げぶりでした。これが最後まで続くかは何とも言えないでしょう。
そのティエムのQFは、これまた注目の対決となる、ティエム対ズべレフとなります。ティエムにとってはハードな相手が続きます。