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2018 全仏 QF準々決勝 ティエム 対 ズべレフ ナダル挑戦権を掛けた戦い

 全仏オープン4回戦までが終了し、これまで120人が既に大会を去り残す所8名となりました。

 その中でも一際注目を集めるティエム対ズべレフの対戦が控えます。

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過去の対戦成績

 過去の対戦成績は4勝2敗でティエムがリードしています。とりわけ2年前の2016年に4度対戦しており、ティエムが初対戦から3連勝していました。しかしその後ズべレフはコートを問わずに成長した半面、ティエムはクレーコート以外では平凡な成績に終始している状況です。

 直近の対決は今年のマドリードマスターズの決勝で当たっており、その時はスコアは6-4,6-4ながらもズべレフの完勝といっていい内容でした。

 

爆発力ならティエムだが・・・

 共にクレーでの実績は若いながらも十分あります。

 ティエムはマスターズのタイトルはないながらもここ2年で2度全仏のSFに進出しており、しかもここ2年でナダルを倒している唯一の選手です。

 一方のズべレフもジョコビッチを粉砕したローママスターズ優勝、そしてティエムに完勝したマドリードマスターズの優勝とクレーで2度のマスターズ優勝です。

 

 この2人のクレーでの実力を比べた場合、印象度ではティエムの方がズべレフ上回っていると見る人は多いはずです。それは錦織を破ったという事も多少付加してみる人を含んでも変わらないでしょう。やはりナダルに勝っているというのはそれだけ大きい事実です。

 しかしそれでいてティエムはクレーのマスターズのタイトルはありません。直近のマドリードの対戦では完敗しています。

 何故でしょうか?

 それ程ティエムの実力というのは安定性が欠けているという事が言えます。ナダルを倒すような爆発力がある一方で、その大会で対戦したズべレフ戦はパワーが発揮できませんでした。試合、及びゲーム内でのムラはまだまだ多い選手です。それは錦織戦を見てもわかります。2回セット目までそれほどパワーを使わずに楽に取れていたのに3rdセットで錦織が対応してくると途端に慌てて自らミスを連発していました。4thセットも錦織のサーブが低調でなければ自滅も有り得た展開でした。

 従ってティエムの試合というのは試合が始まってみないとわからない側面が多いです。ナダルようにラウンドが深まるにつれて実力を発揮していくというタイプには見えないだけにです。

 

 一方のズべレフもまだまだ安定感には欠けます。2回戦からフルセットマッチを3連戦していますが、プレイがやや守勢に回っており、グランドスラムの苦手意識をまだ残しています。

 とは言え、その状況で初のQF進出は彼にこの上ないパワーを与えてくれます。ましてやこれまでは勝たなければいけない相手だったのに対して、ティエムとは正面から戦える相手です。プレッシャーの度合いはこれまでより低いと感じるでしょうし、そういう時のズべレフはかなりの力を発揮します。

 彼にとってはラウンドが深まる場合の緊張よりも相手の格が重要視されるように思います。そういう意味でむしろアーリーラウンドの方が危険性が高く、それが今までグランドスラムで勝てない理由となってきたように思います。

 QFでクレーでの実力者ティエムと対戦するズべレフがあっけなく敗れる姿は想像しにくいです。

 

 ティエム有利の下馬評ですが、すんなり勝つならズべレフだと予想します。接戦に持ち込みズべレフのメンタルを破壊できるかどうかがティエムの勝機であり、ティエムの方がプレッシャーがかかる対戦と見ています

 

2番人気の戦い

 この試合はQFなため、ナダルと当たる前にまだSFを残すのですが、上がってくると予想されるジョコビッチのテニス内容を見る限りではこのどちらかの選手がナダルの挑戦権を得る可能性は非常に高いと見ます。

 ジョコビッチが悪いテニスをしているというわけではありませんが、強度のあるテニスをできていませんし、それは対戦相手の緩さにもかかっています。当初からディミトロフの山はかなりの楽ドローと目されており、更には満身創痍のゴファンも力つきてしまったため、純粋にジョコビッチの力を引き出す対戦相手がいない状況でした。

 むしろタフな試合をしていないジョコビッチにとってチェッキナートは危険な存在かもしれず、それも注目される試合となるでしょう。

 何れにしてもクレーのパフォーマンスではこのどちらよりもティエム、ズべレフの方に分があると見るのが自然です。

 

試合開始

 試合開始時間は、日本時間21;00より センターコート第1試合となります。

 しかしそれよりも注目されるのが天候で、フランスパリの天候はあまり芳しくない予想となっています。

 

 

1stセット

 朝に雨が降った事で跳ね返りが重そうなコート状態での試合開始となる。

 第1ゲーム、ズべレフのサービス。ミスが連発するズべレフは、しかしネットに出てこれを凌ぐ展開でデュースになりながらキープする。

 第2ゲーム、ティエムのサービス。今日もサーブの調子のよさそうなティエムは楽にキープする。

 第4ゲーム、ティエムはダブルフォルトを喫するなどするも、ズべレフを左右に振りミスを誘いキープする。

 第5ゲーム、サーブに関してはティエムよりも安定性に欠くズべレフは、しかしラリーでは力強いリターンでティエムと渡り合う。結局ティエムがリターンをネットにかけキープする。

 第6ゲーム、ナダルのコーチが試合を観戦する中、ティエムがベースラインから少し下がったラインから強烈なリターンを繰り出しキープする。

 第7ゲーム、1stサーブが入らないズべレフ、更にはティエムのスライスリターンをネットに掛けながらサイドアウトしティエムに2つのブレークポイントが来る。ここでティエムのバックハンドのクロスリターンが高い軌道を描きながら急激にライン際におちズべレフも驚きの表情を見せ、ティエムの先行ブレークを取る

 第8ゲーム、ティエムのスピンリターン、更にはスライスを織り交ぜるショットにズべレフが思い通りのリターンが帰らず、ティエムに楽キープされる。

 第10ゲーム、ティエムのサービンフォーザセット、思い切りのよいリターンで2つのセットポイントを握るティエム。ここからネット際の攻防でズべレフがポイントを取るも、最後はワイドへのサービスエースで1stセットを6-4でティエムが取る

 

2ndセット

 第1ゲーム、ズべレフのサービス、ネットプレイを織り交ぜズべレフがキープする。

 第2ゲーム、ティエムの強烈なサーブにズべレフがラケットを弾かれ、ラブゲームキープする。

 第3ゲーム、ズべレフはネットに出るもそのプレイを読んだティエムに対応されるなどし、更にはダブルフォルトで2つのブレークポイントを握られると、最後はバックハンドリターンが大きくサイドラインを割り、このセットもティエムに先行ブレークを取られる

 第4ゲーム、15-15から左右に振られたズべレフはリターンをネットに掛ける。するとこの時ズべレフの左太ももを痛がる仕草を見せる。ここから白熱のネットプレイを見せるなどしデュースに持ち込むも、ティエムのロブショットが決まるなどし、ティエムがキープする。

 ズべレフはゲーム終了と同時に太ももを更にさする動きを見せる

 第5ゲーム、ティエムに左右に振られると動けないズべレフ。更にはドロップショットはサイドラインを割り2つのブレークポイントを握られると、ティエムのクロスリターンをズべレフがネットに掛け、ティエムが2ブレークアップとなる

 ここでズべレフはベンチに戻りトレーナーのチェックを受ける。その間ズべレフは頭を抱えて苦しむ表情を見せる。更にはサポーターを厚く巻く処置をする

 第6ゲーム、このゲームでこの試合初めてズべレフのバックハンドウイナーが決まる。しかし足の痛みからリターンを制御できずこのゲームもキープされる。

 第7ゲーム、ズべレフはベースラインで思い悩んだように顎に手を当て考え込むシーンが見られる。このゲームはデュースになるもティエムもミスを連発し、キープする。

 第8ゲーム、ティエムのサービンフォーザセット、3つのセットポイントを握ると、ズべレフのリターンが力なくラインを割り、ティエムが2セットアップとなる

 

3rdセット

 第1ゲーム、ズべレフのサービス、トイレットブレークで十分な時間を使うズべレフ。しかしサーブ、リターン共に制御がきかずネットに掛けるシーンが目立ち2つのブレークポイントを握られると、ネットに出た所をティエムがバックハンドでカーブを掛けてコーナーにリターンを決めてほぼ勝負を決めるブレークを取る

 

 以降はズべレフは棄権をしないためにコートに立ち続ける事しかできず、そのままティエムがストレート勝利を収めました。

 

GSの戦い方に課題のズべレフ

 ズべレフが途中からほぼテニスにならない状態になったのは残念と言えば残念という試合となりました。しかしながらここまで3試合連続のフルセットを戦った疲労によるものと判断されます。

 最後まで試合を出来た事からも左ふくらはぎの痛みは疲労からくるものと推測されます。大事であれば試合は続行できないはずです。つまりは、この敗戦は必然性のあるものだったと見るべきでしょう。初のグランドスラムQF進出は果たしましたが、それ以上を戦うためにはアーリーラウンドで力をある程度セーブしたりできる事も重要という事でしょう。

 

決勝へ一直線か

 勝ったティエムは決勝への最大の障害と言われたズべレフをこのような形で乗り切れたのは大きいでしょう。これまでもストレート勝利は1試合でしたが、疲れを貯めるような選手ではないだけに体力の心配はほぼありません。更には中2日の休みがあるのも大きいです。

 ティエムのSF準決勝での対戦相手はジョコビッチを相手に巻き返されそうになった第4セットを踏ん張りタイブレークに持ち込み最後はジョコビッチがサーブ&ボレーで来るその上を抜けるショットを鮮やかに決めたチェッキナートとなりました。

 これまでグランドスラムで1勝もできていなかった選手がまさかのSF進出に感動で涙を流す程でした。恐れる事がない挑戦者としてはジョコビッチよりも厄介な勝負になるかもしれません。

 しかしながらティエムの強さは錦織戦やズべレフ戦でも見せたように、思い通りのリターンが返らない程の強烈なスピンショットにあります。ライジングで対応しようとするとフレームに当たったり、あるいはあまりの衝撃にラケットを弾かれたりしてしまいます。錦織もズべレフもリターンでラケットを弾かれるシーンがありました。トップ選手相手にこれ程の威力を発揮するリターンはチェッキナートもそこまで経験がないはずであり、序盤にペースをつかめば一気に持っていく可能性は高いでしょう。

 逆に対策されたり、しっかりリターンされるようだとティエムの実力が試される試合となるでしょう。

  

 

 

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