2018 全仏 SF準決勝 ナダル 対 デルポトロ
6月8日(金)、全仏の男子シングルスSFが行われます。
勝ち上がりはナダル、デルポトロ、ティエム、そしてチェッキナートとなりました。
ナダルは予想通りの勝ち上がりとは言え、QFではシュワルツマンの前に3年ぶりにセットを落とし、更に2ndセットも先行ブレークを握られながら雨での中断を含むサスペンデットにより大きく修正に成功し、以降は圧倒して勝利しました。
デルポトロはクレーでほとんど試合に出ておらず下馬評は高くありませんでしたが、強敵を次々に破り、QFチリッチを破った際にはベンチで波だを見せるシーンもありました。
この中でもタフドローと思われていたティエムは、2回戦のチチパス、4回戦の錦織、そしてQFのズべレフは途中で疲労による太ももの釣りもあり、予想以上に消耗せずに上がってきています。
そしてノーシードのチェッキナートは、グランドスラムがこれまで生涯0勝だったにもかかわらず、3回戦カレーニョブスタ、4回戦ゴファン、QFでジョコビッチを破っての勝ち上がりとなっています。
20時から行われたティエム対チェッキナートは予想以上の接戦となりました。
チェッキナートはティエムのスピンボールに手こずるも徐々に慣れていくと終盤まで互角に進めながら第11ゲームでブレークされティエムがセットを取ります。
2ndセットにチェッキナートは落ちるかと思いきや粘りに粘りタイブレークへ。タイブレークではティエムのショットの威力が増し、3つのセットポイントを握るも、ここからチェッキナートはティエムのサービスを2つミニブレークに成功し、更に4連続ポイントで一気にセットポイントを取る。ここからは互いの粘りのショットと焦りのショットが入り乱れ、チェッキナートが自身のサービスでのセットポイントを逃すと、ティエムが2ndサービスから前に出てチェッキナートを攻めると、チェッキナートのリターンがアウトになり、ティエムが2セットアップとなる。
こうなると3rdセットは集中力が切れてしまったチェッキナートをティエムが圧倒し、ストレート勝ちを収めました。
ナダル 対 デルポトロ
日本時間の22時40分頃から試合が開始されました。
下馬評ではクレーコートとの試合もあり、ナダルが圧倒的に有利という感じですが、デルポトロは相手が強ければ強い程力を発揮する選手でもあり、よい試合を期待したい所です。
1stセット
第1ゲーム、ナダルのサービス、互いに探り合いながらのラリーも、デルポトロはバックハンドのリターンの精度も高く0-30となる。しかし、ここからナダルも力強いショットを見せて一気にポイントを重ねキープする。
第2ゲーム、デルポトロのサービス、前に出ての強烈なフォアがさく裂するデルポトロ。更にサーブが好調の様子でラブゲームキープする。
第3ゲーム、デルポトロの強烈なフォアがナダルを襲い、このゲームも0-30となる。更にはダブルフォルトでデルポトロにいきなり3つのブレークポイントが来る。しかしここで前に出るプレイなどでこれを凌ぎキープする。
このゲームの途中、ナダルの強烈な左右振りで逆を付かれたデルポトロが足を大きく開脚し痛がるシーンが見られる。
第4ゲーム、デルポトロは痛そうな表情を見せるも試合は続行、しかしサーブは相変わらず好調でフォアの強打も決まりキープする。
第6ゲーム、ナダルがデルポトロの横を抜くショットを決めるも、サーブで押すデルポトロがキープする。
第7ゲーム、デルポトロの逆を付くショットなどでナダルが容易にキープする。
第8ゲーム、フォアのクロスとストレートを使い分けるデルポトロがナダルのラケットを弾くなどしキープする。
第9ゲーム、ナダルの深いアングルショットにデルポトロがバックハンドのストレートをダウンザラインに沈め2つのブレークポイントを掴む。ここはナダルがサーブで凌ぐも、リターンをネットにかけ3度目のブレークポイント。しかしここでナダルのリターンが深くデルポトロがボールにアジャストできずキープで凌がれる。
第10ゲーム、チャンスを逃したデルポトロ、これに対してナダルはギアを上げる、デルポトロに攻めさせてからの横を抜くショットで0-30とする。更にはフォアのクロスから逆クロスへ振り、ナダルが2つのセットポイントを握る。ここでデルポトロのフォア強打をしつこくリターンするナダル。するとデルポトロがフォアショットを力みネットにかけ、押されていた状況からナダルがまさかの1stセットを取る流れとなる。
デルポトロは自分に苛立つのかラケットを自分のバックに投げつけるシーンが見られる。
2ndセット
第1ゲーム、ナダルのサービス、デルポトロのフォアがネットに当たりながらも弾かれる事なくそのままコートに収まるなど破壊力を見せデュースへ。するとデルポトロにフォアを打たせ捲るナダル。これに対して焦りがあるのかデルポトロがフォアの逆クロスをミスし、ナダルがキープする。
第2ゲーム、デルポトロのサービス、デルポトロを左右で揺さぶりラリーを支配するナダル。更にはデルポトロが焦りからフォアリターンをネットにかけ3つのブレークポイントが来る。するとデルポトロにフォアを打たせるナダル、その4度目のリターンでデルポトロのフォアリターンがネットに掛り、ナダルがラブゲームブレークする。
第3ゲーム、ナダルはデルポトロのフォアを使わせてポイントを与えずにいるとデルポトロの攻めてがなくなる。しかし、やや当りそこねのショットのリターンでナダルがリターンをミスし、ブレークポイントを握るデルポトロ。ここで足を止めてのフォアウイナーを決めるナダルは、ポイント以上に苦労せずキープする形となる。
第4ゲーム、ナダルは更にデルポトロを左右に振ると、バックハンドストレートを決めブレークポイントを握るもデュースに。するとナダルが連続でバックハンドクロスを決めナダルが2ブレークアップとなる。
第5ゲーム、ナダルが簡単にキープし、ゲームカウント5-0となる。
第6ゲーム、デルポトロを追い込むナダルは0-30と追い詰める。更にはスマッシュを決め2つのセットポイントを握る。ここで互いががネットに出てナダルの攻めを凌ぐキープを見せると、デルポトロは大きく手を上げて観客の声援を浴びる。
第7ゲーム、ナダルのサービンフォーザセット。デルポコール一色の中迎えるこのゲーム、しかしナダルはワイドサーブでデルポトロを揺さぶり2つのセットポイントを握ると、デルポトロのフォアリターンが浮き、ナダルがゲームカウント6-1で2セットアップとなる。
3rdセット
第1ゲーム、デルポトロのサービス、ダブルフォルトを喫するデルポトロ、更には振りかぶったリターンがネットにかかり3つのブレークポイントを握られると、強振したデルポトロのフォアリターンにナダルがバックハンドストレートで対応するとデルポトロは追いつけず、いきなりのラブブレークとなる。
第2ゲーム、ナダルはデルポトロの動きを見て左右に鋭いショットを打つとデルポトロは反応できずラブゲームキープする。
第3ゲーム、デルポトロのプレイが良いというより、ナダルが試しながらのリターンがアウトになる形でラブゲームキープする。
第4ゲーム、このゲームはデュースになるも、デルポトロのフォアショットの精度が悪く、ナダルがキープする。
第5ゲーム、ナダルは前に出てデルポトロにプレッシャーを掛け2つのブレークポイントを握る。ここでデルポトロはサーブ&ボレーに出ると、ナダルがそれを見透かしたと言わんばかりの鋭いバックハンドのアングルショットを決め思わずナダルもジャンピングガッツポーズを見せる2ブレークアップとなる。
第6ゲーム、ナダルの圧倒的な強さにデルポトロは下を向いてしてまう。ここからはげしいリターンの応酬も、デルポトロがフレームに当てナダルがキープする。
第7ゲーム、フォアの強烈なショットを決めデルポトロがキープする。
第8ゲーム、ナダルのサービンフォーザマッチ。ナダルはデルポトロを引き付けてのショットで攻め、デルポトロは悲鳴にも似た声を上げ壁に手をついてしまうショットを見せマッチポイントを握る。更にはワイドサーブでデルポトロのリターンアウトを誘い、ナダルが完勝のストレート勝ちを収めました。
スタッツ
ナダル本人が言及しているように、1stセットで全てが決まった試合でした。
1stセットはデルポトロは6度のブレークチャンスがありながらこれを逃し、逆に1チャンスをナダルに物にされると、2ndセットからは一気に畳みかけられました。
しかしながら、1stセットの第3ゲームでデルポトロが股関節を痛めたのと無関係ではないでしょう。2ndセット以降のデルポトロはナダルの激しい左右振りに体がついていきませんでした。また、デルポトロにフォアを打たせて、その上でナダルがそれを上回るパッシングであったり、ボディーリターンであったり、ワイドへのアングルリターンであったりとデルポトロの攻め筋をどんどん奪うプレイを見せたため、徐々に一方的な試合となりました。
そして、この相手を追い詰めて戦意を喪失させるプレイがナダルのSF以降ではより顕著になります。決勝では更に磨きがかかったプレイが期待できるでしょう。
スタッツを見てもわかる通り、ナダルは連続してミスをする事がまずなく、ブレークポイントで1度もブレークも許さぬ集中力を見せました。そして、前述したように相手に好きなプレイをさせながらミスを誘うと、後はじっくりと溜めての逆を狙うショットでデルポトロのフィジカルとメンタルの両方を奪いました。3rdセットはデルポトロがどうにもならず下を向くシーンが何度も見られました。そしてナダルはそう仕向けたのです。
この試合展開はナダルが試合前から考えていたプランと思われ、例え拮抗した1stセットを奪われていたとしても結果は変わらなかった(ナダルの勝ち)と感じさせる試合でもありました。
決勝は、ティエムとナダルの対決となりました。
トーナメント表が発表されてた時はズべレフとティエムのどちらがナダルの挑戦権を得るかという事でしたが、ローランギャロスではその試合経験でも上回ったティエムがフルセットを連発したズべレフを退け上がってきたという感じです。
ナダルも全仏で3年ぶりにセットを奪われ、しかもサスペンデットの力も借りはしたものの、SFの出来を見る限りは決勝では最高のパフォーマンスでティエムを迎え入れるに違いありません。
ティエムの準決勝の出来を見る限りでは相当に覚悟して、かつ攻めのショットでミスを連発しないようにしないと試合にすらならない展開が予想されます。準決勝ではチェッキナートの心を2セット掛けて折りましたが、1stセットで折るぐらいの出来でないとナダルから1セット取るのも厳しいでしょう。
その決勝は6月10日(日)日本時間で午後22時頃から開始予定となっています。