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2018 ウインブルドン QF準決勝 錦織 対 ジョコビッチ 

 7月11日(水)、初のウインブルドンベスト8に進んだ錦織はこれまで幾度もの壁として立ちはだかったジョコビッチとの対戦を迎えます。

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ベスト8の顔ぶれ

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 多くのシードダウンが早々に起こったウインブルドン大会ですが、ベスト8にはノーシード選手は全て姿を消し、シード勢同士の対決となっています。

 グラスコートを得意とするビックサーバーのアンダーソン、ラオニッチ、イズナー、常に体調に気を配りながらも安定して上位進出できるようになったデルポトロ、若手気鋭選手に経験で押しのけたジョコビッチ、サーブを改善してきた錦織、万全の勝ち上がりを見せるフェデラーとナダルの両雄という構図です。

 

対ジョコビッチ 過去 2勝13敗

 

 錦織の対ジョコビッチは2勝13敗と大きく負け越しており、2014年の全米オープンでの勝利以降は12連敗となっています。今年序盤のジョコビッチが不調な時期でさえ錦織はジョコビッチを崩すには至っていません。

 

グラス初対決

 とは言え、グラスコートの試合ではこれが初の対決となります。コートの得意不得意があるとはいえ、双方ともどのコートでもプレイぶりはぶれないためさしたる影響はないでしょう。

 

ジョコビッチの勝ち上がり

 

 今年の序盤、インディアンウエールズやマイアミでは非常に不安定なパフォーマンスで早期敗退を繰り返していたジョコビッチですが、クレーコートで若干持ち直した様子を見せ、グラスコートでは前哨戦で準優勝し、このウインブルドンでもそれ程危なげない形で勝ち上がっています。

 対戦相手も若手の気鋭のエドマンドやハチャノフなどに押し込まれる時間帯がありながらもしっかり要所を締める試合を見せています。

 

錦織の勝機

 

 錦織はジョコビッチに12連敗していると言え、一方的に押されて負けたという試合はそれ程多くありません。ローマで対戦した時は1stセットはむしろ圧倒していました。しかし、その後は錦織が意識しすぎるのか徐々にミスを増やし始めるとそこからジョコビッチは水を得たかのように巻き返し、結局はジョコビッチが勝ってしまうという展開をよく見ます。

 良い展開で試合が進んでも、錦織の中ではジョコビッチはそれ程意識する相手という事です。結果的にこの連敗は実力の差というよりはメンタルの差と見る方が自然でしょう。

 今回はウインブルドンで初のベスト8で未知の世界に入っています。そういう部分からもっと上に行きたいという挑戦心を持って挑めばこの連敗のメンタルも薄れてくる事を期待したいです。

 

 プレイぶりに関して言えばサーブは確実に改善されており、苦しい時にサーブがどれだけ錦織を救ってくれるかにかかります。これまでの4回戦は苦しい時にサーブ助けてくれる場面が目立ち、これまでの錦織のテニスとは一線を画しています。

 ただし、サーブが決まらない時のストロークでの粘りが若干足りないとも感じます。グラスコートで跳ねないサーフィスという事もありますが、ストロークでリズムを作って来た選手だけにそこがどう影響するかは見てみたい所です。

 後は右肘の状態もまだ予断を許しません。安定したバックハンドとは裏腹に、力の入ったフォアショットはネットにかかる回数が多く安定しません。この部分を修正するためにもまずは肘の状態がどうなのかが注目されるでしょう。

 

21;00試合開始 フェデラーを差し置いて センターコート第1試合

 

 錦織対ジョコビッチは、本日のセンターコート第1試合に組まれ、特殊な状況が起らない限りは21時に開始となります。

 同時刻に組まれているシード1のフェデラーの試合がコート1に回されている事を見ても、この試合がピックアップゲームという全世界の共通認識がある事が伺えます。

 

試合経過

 

 

1stセット

 第1ゲーム、ジョコビッチのサービス。序盤から深いショットで錦織を攻めるジョコビッチが、最後はワイドのサービスエースを決めキープする。

 第2ゲーム、錦織のサービス。サービスのスピードを落とし確実にコートに入れる錦織に対してジョコビッチのリターンが簡単にアウトになり、錦織が楽にキープする。

 第3ゲーム、ジョコビッチが深いショットを決めるなどしラブゲームキープする。

 第4ゲーム、ドロップショットから大外に強烈なウイナーを沈めたジョコビッチが2つのブレークポイントを握る。更にはジョコビッチの変幻自在のラリーが錦織の手元でイレギュラーバウンドし、不運な形で錦織がブレークを奪われる。

  第5ゲーム、互いに素晴らしいリターンの打ち合いが見られる中、ジョコビッチのバックハンドクロスが僅かにサイドアウトし、錦織が2つのブレークポイントを握る。更にはダブルフォルトで錦織がブレークバックに成功する。

 第6ゲーム、40-30からバックハンドショットをライン際に沈め錦織がキープする。

 第7ゲーム、1stサーブが入らないジョコビッチだが、クロスとストレートを使い分け、比較的楽にキープする。

 第8ゲーム、錦織がリターンをネットに掛けブレークポイントを握られると、ジョコビッチがすくいあげたリターンをバックハンドでリターンするもこれが大きくサイドラインを割り、またもジョコビッチがブレーク先行する。錦織は思わずラケットを叩きつけたい素振りを見せる。

 第9ゲーム、ジョコビッチのサービンフォーザセット。ジョコビッチが深いリターンを連発、更にはスライスに逃げるショットを多用し2つのセットポイントを握る。ここはリターンエースなどでデュースに持ち込む。しかし、ジョコビッチの深い角度のリターンが深々と錦織の胸元を抉るとこのリターンがサイドアウトになり、ジョコビッチがセットを先行させます。

 錦織の調子はそれ程悪くはありませんが、バックハンド精度がいつもより悪く、頼みの武器がない状態で厳しいメンタルに追い込まれる可能性があります。

 

 

2ndセット

 第1ゲーム、錦織のサービス。ジョコビッチのリターンが大きなコードボールとなりデュースに。ここは長いデュースとなり、ジョコビッチが徐々にサイドに揺さ振るようになると、錦織がドロップショットをミスし、ジョコビッチにブレークポイントが来る。しかしここから粘りのストロークでジョコビッチの連続のアウトを誘い、辛うじてキープする。

 第2ゲーム、ジョコビッチがスマッシュを決めるなどしラブゲームキープし、厳しい状態が続く。

 第3ゲーム、ネット際の攻防をジョコビッチが制し、更には前に出た所をジョコビッチに対応され0-30に、更には錦織の救い上げたバックハンドクロスがアウトになり3つのブレークポイントを握られる。ここから粘る錦織は、センターへのサービスエースを決めデュースに。更にはセンターへのサービスでジョコビッチを崩し、このゲームも辛うじてキープする。

 第4ゲーム、軽くラケットをグランドにバウンドさせた事を主審に警告を取られた事にベンチで抗議するジョコビッチ。更には上空を飛ぶ飛行機の音にも過敏に反応し集中できない様子。そこを逃さない錦織は粘りのラリーでポイントを先行させる。更には執拗に逆を付くショットでジョコビッチのアウトを誘いブレークポイントを掴む。更にはジョコビッチがドロップショットをミスし、一気に流れを変えるブレークを錦織が取る。

 第5ゲーム、明らかに集中力を欠いてるジョコビッチに容赦ない錦織が攻めを繰り出し、最後は錦織のフォアクロスにジョコビッチはあきらめて歩いてしまうなどのシーンもあり、錦織がラブゲームキープする。

 第7ゲーム、錦織が前に出た所をジョコビッチがボディーにリターンすると錦織は思わず転倒してしまいデュースに。ここは錦織のワイドサーブにジョコビッチのリターンがネットに掛りキープする。

 第9ゲーム、錦織のサービンフォーザセット。1stポイントをネットに掛けるも、ドロップショットを決めるなどし2つのセットポイントを握る。最後はワイドサーブからのリターンをクロスショットで決め、ゲームカウント6-3と1セットオールとする。

 流れがやや錦織側に傾いている感じですが、ここからこれまで何度も逆転を喰らっているだけに全く読めない展開です。

 

3rdセット

 第1ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチが攻めの姿勢を見せ、最後はワイドエースでラブゲームキープする。

 第2ゲーム、錦織のサービス。ラリーからのリターンをジョコビッチがネットにかけ、比較的楽にキープする。

 第3ゲーム、ジョコビッチのセンターへのサービスを錦織が受けきれずラブゲームキープして譲らない。

 ここで、錦織の右肘のテーピングを切り痛み止めの薬を服用する。

 第4ゲーム、肘の状態が心配される錦織だが40-15とする。ここからお互いに粘りのラリーでジョコビッチのリターンがサイドラインを掛けデュースに。ここでフォア逆クロスがネットにかかりブレークポイントが来る。ここはネットに出て凌ぐ。更にはジョコビッチの逆を付くショットで必死のキープを見せる。

 第5ゲーム、錦織がよいリターンを決め、更にはジョコビッチのダブルフォルトで0-30とする。更にはジョコビッチのリターンがバックアウトし、錦織に絶好の3ブレークポイントが来る。しかし、ここをジョコビッチに凌がれると、サイドに振り合って錦織のリターンがアウトになり、こちらも必死のキープを見せる。

 第6ゲーム、錦織のリターンがネットに掛り、ジョコビッチにブレークポイントが来る。ここで錦織のリターンが大きくサイドラインを割るとジョコビッチが割れんばかりのガッツポーズを見せ、ブレーク先行される。

 第7ゲーム、流れを得たジョコビッチは前に出てプレッシャーを掛けラブゲームキープで試合を支配し始める。

 第8ゲーム、錦織のショットの狂いが大きくなり、ミスから2つのセットポイントを握られると、ワイドサーブを読まれ鋭いリターンを決められ、ジョコビッチがゲームカウント6-2で取りセットカウントジョコビッチの2-1となり、錦織は後がなくなる。

 

4thセット

 第1ゲーム、ジョコビッチのサービス。ジョコビッチがやや力みがあり、錦織が2つのブレークポイントを掴む。長いルーティンを取るジョコビッチに対して、ジョコビッチはライジングで攻めジョコビッチのアウトを誘い、待望のブレーク先行を取る。

 第2ゲーム、ジョコビッチの鋭いリターンが僅かにラインに掛り2つのブレークポイントを握られると、最後はスマッシュを決められブレークバックを許す。

 第3ゲーム、ブレークバックした瞬間に錦織が軽くラケットを地面にたたく様子をジョコビッチが見ており、これに警告を出さない主審を問い詰める一幕も。しかし主審に拒否されるも余裕の表情を見せるジョコビッチは、そのプレイぶりも大分リラックスしたプレイになってくる。錦織を常に視界にとらえて引き付けてのショットで錦織の足を完全に止めるラブゲームキープで勝利に近づく。

 第4ゲーム、余裕を見せるジョコビッチに対して、錦織は余裕がなく焦る。更には余ミスを繰り返し2つのブレークポイントを握られると、ロングラリーでも先にネットに掛けて絶望的な先行ブレークを取られる。

 展開的には絶望的ですが、ジョコビッチも安定してるとは言い難いのでその難しい面が出てくれるかどうかの展開です。

 第5ゲーム、ジョコビッチはここがポイントと気を引き絞り、1ポイント毎に声を出して自分を鼓舞する。更には強烈なスマッシュを決めるなどしキープする。

 第6ゲーム、いきなりのジョコビッチのバックストレートが強烈に決まる。更には次もほぼジョコビッチが支配するも僅かにアウト。ここからはジョコビッチのリターンがアウトになるなどし錦織がキープする。

 第8ゲーム、1stポイントをネットにかけあきらめた表情を見せる錦織。ここからはサーブでジョコビッチを攻める、しかし力んだリターンが連続でアウトにしデュースに。更には錦織のバックハンドリターンがアウトになり、ジョコビッチにマッチポイントが来る。最後は甘くなったリターンをジョコビッチにクロスショットを決められ、セットカウント3-1でジョコビッチが勝利しました。

 

 試合後笑顔で観客にアピールするジョコビッチに対して、錦織は最後まで下を向き悔しさを隠さずにコートを後にしました。

 

スタッツ

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 3セットの序盤まではまだまだ錦織にもチャンスがありましたが、3セット目の後半からはジョコビッチの攻めのプレイにほぼ屈してしまいました。

 今日は序盤から互いに様子みから入り、錦織が先に仕掛けましたがその時に生命線であるバックハンドショットが悉く決まらず、かなり厳しい試合になる事が予想されましたが、ジョコビッチもまだ全盛期程回復しているとは言い難く、良いショットとミスショットが表裏で繰り返す展開でした。

 しかしジョコビッチは錦織のサーブに全て対応し、これまで苦しい時を支えたサーブが全く脅威とならず、サービスエースの数も3本に留まるなど完全に抑え込まれました。しかしながらこれは、錦織がサーブの威力をコントロールし入るサーブを重視した結果です。その結果ストロークでは相手に主導権を握られたように思います。この部分は錦織本人の判断だったとは思いますが、悔いを大きく残す事になったのではないでしょうか。それが、試合後のあの下を向いて去っていた姿にも表れているような気がしてなりませんでした。

 何れにしても、これでジョコビッチ戦13連敗となりましたが、3セットマッチに比べても5セットマッチの方がジョコビッチに勝つ確率はとてつもなく低く感じました。それ程スコア以上に差のある試合内容でした。

 

 勝ったジョコビッチですが、グランドスラムSF進出という事で結果が彼を復活に導く可能性はあります。しかしながら安定度はまだなく、それを自分でも分かるのか鼓舞して自分を盛り立てようとしています。

 そのジョコビッチの対戦相手は、これから行われるナダル対デルポトロの勝者となります。

 

 錦織は気分を切り替えてハードコートに臨んでほしい所です。今回帯同しなかったチャンコーチとは今後どのような関係性でいるのか、またサーブは今後に向けても今回のグラスコート並みの積極性を維持できるのかを見ていきたい所です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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