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2018 ATP500 シティーオープン 錦織勝利 サーブ改善効果の安定

 7月30日から本格的なハードコートシーズンが始まり、その矢先のATP500、アメリカのワシントンで開催されているシティーオープン2回戦、錦織選手は同世代のドナルド・ヤング選手にストレート勝利を収めました。

 更には3回戦のシャポバロフ戦でも、相手の強烈な攻めにも真向から勝負して負けず、自信のサービスでは1stサーブから相手に満足なリターンを許さず1度のブレークも奪われずの完勝を収めました。

 

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取りくんでいたサーブの進化

  錦織選手は、2017年の夏に手首の怪我でシーズン後半を棒に振りました。そして2018年、全豪オープンも欠場し、復活の場をチャレンジャーの2大会の場としましたが、その時に誰が見てもサーブのフォームが変わったに気づいたはずです。

 これまでよりも膝の力を使い手首をしならせるように美しいフォームでボールに力を通すような工夫がみられるフォームです。軸足が前足だけでなく、後ろ足にもあるような形で、後ろ足が地についたままボールを高く上げるフォームです。これまではほぼ前足だけに軸があるようなフォームでした。

 このフォームの選手で想像するのはフェデラー選手です。フェデラーも両足軸のように屈伸させた足腰から210キロに迫る強烈なサーブを放ちます。40歳に迫る今でもそのサーブ威力は脅威です。このフォームを参考にしているように感じられます。

 

 しかしこれが安定するまでにはかなりの時間もかかりました。

 チャレンジャー初戦は試合勘もあり、初戦敗退したものの、次のニューポートのチャレンジャーでは試合的には安定はしなかったものの優勝という結果と実戦5戦という経験を積みました。

 そして迎えたATPツアーレベルの大会、ニューヨークオープンでは果敢なサーブでエースを量産し、SF準決勝でアンダーソンに敗れはしましたが全く見劣りしない内容でトップ選手と戦える自信も手にしました。

 しかし、順調にはいかず、メキシコオープンの初戦で新鋭シャポバロフ相手に全くよい所なく敗れます。

 その後は感染症の影響などでインディアンウエールズをスキップ、マイアミでもデルポトロ相手に格の違いを見せつけられます。

 

フォルトが完全なフォルトが多く見受けられる

 

 今年の春先は1stサーブのイン率は記録上60%程でしたが、大事な場面やポイントが欲しい場面では悉く入っていない印象を受けました。

 力が入るとフォームがなじまないのか明らなフォルトが多く、2ndサーブになるとこれまでのサーブよりもむしろ威力が下がるような置きに行くサーブが多く見受けられました。そしてその2ndをぶっ叩かれるという展開が目立ちました。

 

なじまなくても挑戦し続けた結果

 

 しかし、自身のサービスゲームが安定しない限りはこれからの大きな大会で結果を残せないと考えたのか、このフォームでその後も試合を続けます。

 モンテカルロマスターズでは、チリッチ、ズべレフを破り決勝でナダルからブレークを奪うなどトップ選手との対戦で自信を深めましたが、この時ですらまだまだサーブは不安定の域を出ませんでした。

 

 結果が出始めたのはクレイコートシーズンが終わり、グラスシーズンに入ってからです。

 ドイツのハレで行われた大会では2回戦でハチャノフに敗れたものの、リターンミスが目立つ割にはサーブは安定していました。

 ウインブルドンでは、2回戦のトミック戦で24本のエースを叩き込むなど自己最高を上回るサーブ力を見せます。その勢いは3回戦のキリオス戦でも発揮され、キリオスのメンタルを破壊しました。4回戦のガルビスにはかなり押された展開でしたが、最後捲る事が出来たのも安定したサービスがあってこそでした。第3セットからはピンチでサーブが錦織を助けたのは明白です。

 

 

200キロを超えるサーブも打てるように進化

 しっかりとボールに力が伝わるようになった事によりサーブ速度は上がりました。

 シティーオープンの2回戦のヤング戦でもセンターへのサーブで202キロを記録しました。おそらくは最速サーブのスピードは平均的に5キロ程上昇している模様ですが、この5キロは錦織のようなこれまでサーブに力のなかった選手にとっては大きいです。

 これまでの錦織選手のサービスの最高速は202キロの模様ですが、突発的なスピードでこの近辺を安定させる事はできませんでした。しかし、今の錦織はセットが進んでも安定して190キロ以上のサービスを叩き込む事ができるようになっています。

 そしてそこに2017年の初旬に取り組んでいたスピン量を増やしたサーブも織り交ぜ相手に的を絞らせなくなっています。ラケットに当ってもスピンにより狙ったリターンにならない事も多く、ショートポイントでも勝負できるようになりました。

 前述したフェデラーも200キロを超すとは言え、ビックサーバーという程のスピードではありませんが、サービスエースの多い選手です。その秘訣を掴んだかのような所はあると見ます。

 

QFズべレフ戦でひとまずの成果を見せるか

 

 シティーオープンでは3回戦のシャポバロフ戦ではサービスエースは0本でした。

 しかしながら錦織のサービスゲームではピンチらしいピンチもなく、かつサーブでシャポバロフが思い切りリターンできる場面はほとんどありませんでした。それ程相手の読みもずらしている事がわかります。エースがなくてもサービスゲームが安定している事でサーブがしっかり馴染みつつあるのは見えます。

 QFは今年2度目のズべレフとの対決となります。ハードコートシーズンのズべレフはかなり手ごわくここまで危なげなく勝ち上がってきています。彼を相手に錦織はどのようなプレイを見せるか、楽しみな所でしょう。

 

 

 

 

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