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2018 ダニエル太郎の飛躍 転機となったジョコビッチ戦

 ここ最近は年代わりに日本人選手の活躍が目立つようになりました。

 昨年はクレーシーズンから杉田選手が台頭し、松岡修造を抜く日本人2位の最高位36位を獲得したのは記憶に新しい所です。

 今年は杉田選手が研究され、かつ自信を失いランキングを後退させてしまったのにかわってダニエル太郎選手が目覚ましい台頭を見せています。

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twitterより

全米オープンの前哨戦でベスト8進出

 

 現在開催されている全米オープンの前哨戦にあたるウィストンオープンですが、昨年ウインブルドンSF進出したクエリー相手に2連続のタイブレークを制するなどの勝負強さを見せてベスト8進出しています。

 

ジョコビッチを撃破が転機となる

 

 ダニエル太郎が活躍する転機となったのは、何といってもインディアウエールズマスターズでのジョコビッチ戦になります。

 この試合、ダニエルは1stセットをタイブレークの末しぶとく奪う気迫を見せますが、実力で勝るジョコビッチに2ndセットを奪われます。

 普段のダニエルだとここから崩れるのですが、この試合は踏ん張りました。すると、ファイナルセット、ジョコビッチが信じられないミスでチャンスを迎えるとジョコビッチを相手に見事なウイナーを連発し、最後はジョコビッチもお手上げの表情を見せる程の気迫を持って勝利しました。

 ここ一番のポイントで攻めきれなかったダニエルですが、不調期とは言えジョコビッチ相手に攻めてポイントを奪い勝利したという事は何よりも自信になったはずですし、本人も試合後そう言及しています。

 

ATPツアー初優勝を達成

 

 その後、チャレンジャー転戦予定だったダニエルにイスタンブール大会へのストレート出場のチャンスが巡ってくる。

 するとダニエルはこれを生かし大会に本選ストレートで出場を果たすと、ベレッティーニ、ベデネなどの中堅実力者に勝利し、シルバ戦はファイナルセット0-4と絶対絶命の状況に置かれるも、ここから究極の粘りでシルバのミスを誘い、結局6ゲーム連取で大逆転勝利を収めます。

 準決勝シャルディー戦も責め立てられながら重要なポイントでは粘りと攻め気も見せて僅差でのフルセット勝利でATPツアー初の決勝に進出します。

 相手は同じくツアー未勝利のジャジリで共に初優勝がかかった試合となります。ダニエルはジャジリの激しい攻撃力に押され続けブレーク先行されますが、これを持ち前の粘りで凌ぎ切り1stセットをタイブレークの末とると、2ndセットは苛立ちが続くジャジリに対して攻めを展開し先行ブレークを奪いそのまま後は冷静に相手の動きを見極めて、初の決勝と思えない堂々とした出来の優勝を飾りました。

 

地に足を付けたスケジュールメーク

 

 ATP優勝により、大きな大会出場にかなり近づいたダニエル太郎ですが、ここで背伸びをしないツアースケジュールを取ります。

 全仏予選は敗れたものの、その後もチャレンジャー大会に積極的に参加しポイントを少しずつ上乗せしていきます。マスターズ予選も参加しつつその2週目には別の大会を入れるなど、鼻からマスターズで勝ち進む事を考えずに、着実にツアー経験を積む方針です。

 また、グラスコートシーズン、ハードコートシーズンに入っても、その中で数少ないクレイコートの大会に積極的に参加します。

 すると、スイスオープン、ゼネラリーオープンと、2週連続でのクレイコートで連続QF進出を果たします。

 そして、現在ダニエル太郎は自己新を更新する76位とランキングを安定させ、ランキングが落ちた杉田選手を抜き、日本人2位の座に立ちました。

 

粘りのプレイそのままに攻撃力がアップ

 

 ダニエル選手のプレイスタイルは決して力強いものではありません。191cmを誇りながらも75kgとプロ選手としては非常に華奢なダニエルのサービスはそれ程強力ではありません。かつ、ベースラインから前に出るプレイも少なく、思い切った攻めが空回りする場面が多く、基本は守備型の選手です。そのため、コートサーフィスは球足が遅いクレイコートを好みます。

 しかし、得意とは言えないハードコートでジョコビッチに攻め勝った事により、以降は失敗してもくじけない精神力と、ここ一番での守備力を合わせた攻めができるようになりました。ツアー優勝したイスタンブールでは前に出る攻めも見せ、これまでの守備一辺倒のダニエルとは明らかに別人となっています。これは自分のプレイに自信がついた事にほかなりません。

 ここまでの今年のATPツアーでの勝敗は14勝12敗と勝ち越している事も心強いです。大きな大会で早期敗退よりも、ATP250を中心としてしっかりツアーレベルでの経験を積みながら、来年以降に上位との試合を数多くこなす下地を作っているように見えます。

 

トップ選手の練習を数多くこなす

 

 ツアー優勝した事により、ダニエルの視界はかなり広がりました。これまでは公私共に仲が良いミルマン選手との交流が目立ちましたが、フィリシアーノロペス選手やベルダスコ選手などの有力選手との交流や、サーシャ事アレクサンダーズべレフとも交流を持つなど、表舞台に進出する足掛かりは着実に増しています。

 

今年の目標はランキング維持が妥当か

 目覚ましい活躍を見せるダニエル太郎ですが、今シーズンの目標はあくまでもランキング維持が目標になるでしょう。

 これ程ツアーレベルでポイントを稼げばより上位も望めるように見えますが、実の所はそれなりの失効ポイントもあります。

 チャレンジャー大会ではかなり良い成績を去年も上げており、その失効ポイントは今年だけで200ポイント程あります。ATP250大会のQF進出でもかなりの実績ですが、それでも45ポイントにすぎません。ランキングを考えればチャレンジャーで決勝及び優勝の方がポイントが稼げる計算です。

 このように、今のダニエルはポイントも考えながらATPツアーの足場もしっかり固めようとしている最中です。昨年のようにチャレンジャーばかりに出てもプレイレベルが上がらないと見ているダニエルは今後もチャレンジャーよりもATP250の大会を主要に立ち回っていくでしょう。

 こうなると、ポイントの見地からすると実は非常に困難ないばらの道を行っているという事が言えます。

 しかし、ここを維持で切り抜けるのは停滞ではなく、大きな進歩になるというのは間違いありません。去年までとは対戦している相手のレベルが格段に違うからです。

 現在のポイントによりグランドスラムのストレートインは来年の全豪まではかなりの確率で保障されています。

 

 ダニエル太郎の進化は今シーズン後半に粘り、そして来シーズンに発揮されるのではないかと思われます。

 

 まずはストレートインが確実視される全米オープンで成長したダニエル太郎のプレイぶりに注目していきたい所です。

 

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