2018 ATP500 楽天オープン 2回戦 錦織 対 ペール
2018年、日本で唯一行われるATPツアーである楽天オープンが開催されています。
この大会の1回戦では、日本人対決が実現し、錦織対杉田の1戦はやや硬さは見られたものの、錦織の圧勝で幕を閉じております。
試合環境の問題
しかしながら、その試合を楽しむ前に問題も発生しております。
それは、今年は有明の改修工事の為、武蔵野の森体育館を使用してインドアハードで行われている事です。そして同施設に2コートを併設して試合を行われている事により、隣のコートの声援がほぼ遮断無しに聞こえてしまう事です。
プレイ中にいきなり大声援やため息が何度もテレビ越しにも伝わる程ですので、試合をしてる選手にとってはとても集中力を維持するのが難しいはずです。
実際に綿貫選手と対戦したハーセ選手や勝利しているとは言えラオニッチ選手などは試合中に何度もこの状況に苛立つ仕草を見せていました。
興行重視体質でスポーツ文化の遅れを露見
おそらくですが、運営側は開始するまでこの事態を想定していなかったと思われます。インドアなので順延の心配がないという事から武蔵野森に決定したとは思われますが、裏でどのような利権のシガラミがあったかは想像に易い所です。
実際にそれを売り文句にチケットの売り上げは好調だったとの事です。有明よりキャパはかなり狭いので見た目以上に客が入っている印象は当然うけますが、プレイ中に歓声が頻繁に聞こえる試合は、普段ATPツアーの試合を見ている人ならかなりの違和感を受けたはずです。そして選手がそれに鈍感なわけはありません。特にテニスでは1プレイ毎の集中力は必要不可欠で、他のスポーツよりも「音」に対して神経質なのです。
結局の所、興行重視体質はスポーツに限らず日本の興行の全てに当てはまり、この部分に選手の環境を考える事のできないスポーツ文化の遅れが顕著に表れているように思います。そしてそれを報道する機関は見た所1つも存在しないのが、日本の報道の在り方を示しています。
同じインドアでもスイスインドアではこのような事にはならない事からもそれはわかります。
2回戦 対 ペール
錦織の2回戦の相手は何かと因縁のあるペールです。
今年の全仏オープンの2回戦でも対戦し、かなり厳しいフルセットマッチの末僅かの差で勝利した相手です。楽天オープンでは過去に痛い敗戦も経験しており、非常にタフな相手となります。
錦織もバックハンドが正確な選手ですが、ペールもかなりのバックハンドの精度を誇っており、お互いのバックハンドの調子も見所となるでしょう。
試合は、錦織が前に出る積極性を見せ2ブレークアップを含む5ゲーム連取で流れを作り、1ブレークを返されるも6-3で1stセットを取ります。
2ndセットに入ると今度はペールが前に出てのボレーなどで錦織を苦しめ先行ブレークを握られる苦しい展開。
しかしここからペールが雑なプレーを見せ始め、そこに付け込む錦織は、鮮やかなロブショットなどで更にペールをいら立たせると、ペールがネットを蹴り上げるなどの蛮行を見せ警告を受け、5ゲーム連取と流れを一転させる。
第9ゲーム、ペールのサービスで、ペールが股抜きボレーというキリオスでも見せないようなプレイを見せ会場を沸かせるキープをする。
すると、第10ゲームの錦織のサービンフォーザマッチ、ブレークポイントを握るペールがサーブリターンを鮮やかに逆コーナーに決めるこれまた離れ業でブレークバックし、5-5となる。
第11ゲーム、ペールはなおも勢いにのるも、錦織は必死に食らいつくディフェンスでペールのネットミスなどを誘い、更にボディーへの鋭いリターンで再ブレークに成功する。ペールはベンチへの帰り際にベンチを蹴り飛ばし叫ぶ蛮行を見せるも何もおきない。
第12ゲーム、錦織の2度目のサービンフォーザマッチ。最後はクロスの打ち合いでペールが根負けし、錦織がストレートで勝負を終えます。
試合後ネット越しで2言程言葉を交わす両者は肩を叩きあい健闘を表す。