2018 ATP500 楽天オープン SF準決勝 錦織 対 ガスケ
10月6日(土)台風が近づく中、楽天オープンのSFが行われます。
錦織選手は1回戦は杉田選手を、2回戦では天敵ペールにいずれも危なげない内容で勝利した後、鬼門と思われたQFチチパスとの初対戦で、相手に時間を与えない早い攻めでチチパスのミスを連発させて気鋭を削ぐ完勝を見せました。
ガスケとの相性の悪さ
SFで対戦するガスケ選手は錦織と年代が近く、常に近い存在で9度の対戦がありましたが、その勝敗は錦織の2勝7敗と非常に相性が悪いものでした。しかもハードコートではまだ全負という状況です。
しかし、近年は対戦もなく、両者の立場は大分差がついたと感じます。
ガスケが錦織を得意とするのは互いにバックハンドの攻めに特徴があり、プレイスタイルが錦織にとってピッタリと悪い意味ではまってしまう所にありました。完敗している試合は少なく、ちょっとした差、精神的な隙を見事に疲れた敗戦が多かった記憶です。
過去の対戦と比較したガスケ選手は鋭い打球に対する反応が大分鈍ってきた印象に対して、錦織はサーブの威力が上がり、バックハンドはより強力になっています。しっかり錦織のテニスをすれば障害とはならないはずです。
試合時間 16時開始
試合はSFともありエリア1のみの試合となり、エリア2の試合が行われない事からより集中して試合ができる環境が整いました。
1stセット
第1ゲーム、錦織のサービスでスタートする。いきなり引き付けてのフォアを3連続で炸裂させる錦織がラブゲームキープと快調なスタートを見せる。
第2ゲーム、ガスケのサービス。長いラリーからボレーで落とす錦織。しかしここからガスケのサーブにリターンが合わず、難なくキープされる。
第6ゲーム、お互いにキープが続く中、錦織のバックハンドショットが決まり錦織がブレークポイントを握る。しかしガスケも華麗なバックハンドリターンをダウンザラインに沈める。バックハンドショットがさえわたるガスケがその攻めでキープする。
第7ゲーム、やや嫌な流れの錦織だが、ここはしっかりキープする。
第8ゲーム、錦織がフォアで攻めて2つのブレークポイントを握る。しかし余裕のあるフォアリターンをネットに掛けデュースに。最後はコードボールでガスケがキープする。
第9ゲーム、第7ゲーム同様ブレークポイントを逃した後のサービスゲーム。
この後は互いに引き締まった緊迫した雰囲気の中タイブレークに突入。
タイブレーク 左 錦織 右 ガスケ
1-0 錦織のバックハンド逆クロスが決まる
2-0 激しいラリーから浮いたボールを錦織がスマッシュで沈める。ミニブレーク
3-0 ガスケの浅いショットを前に出てボレーで沈める。2ミニブレーク
3-1 ガスケのバックハンドリターンがライン際に決まる。ミニブレークバック
4-1 錦織がセンターの197キロのサービスエースを決める
4-2 ガスケがポイントを取る
5-2 ガスケが錦織を追い詰めるが全て位付き、最後は錦織の軽く振るスマッシュが決まる。2ミニブレーク
6-2 錦織がコーナーにサービスエース。4つのセットポイント
7-2 錦織のコーナーの攻めでガスケを翻弄し、錦織がタイブレークの末セットを取ります。
非常に緊迫した中、内容の高いプレイを見せる両者。特に威力のあるバックハンドの応酬は見ごたえ十分。その中でも錦織は1stセットに威力のあるサーブを連発し、更に早いショットでガスケに時間を与えませんでした。ほぼ完ぺきな内容でした。
完璧であるのにタイブレークになる程ガスケも対抗できており、非常によい試合となっています。
2ndセット
第1ゲーム、ガスケのトイレットブレーク後に試合が再開されるガスケのサービスゲーム。30-0から錦織が追い上げデュースに。更にバックハンドショットで揺さぶりブレークポイントを握ると、ガスケのリターンがバックアウトし、錦織が声を張り上げる先行ブレークを取る。
第2ゲーム、錦織のサービス。30-30とされるもサーブの組み立てでガスケの裏を突く錦織が、最後もサービスエースで締めくくりキープする。
第3ゲーム、ガスケのショットが乱れ錦織が3つのブレークポイントを掴む。その3本目、サーブとともに前に出るガスケの遥かライン際を鋭く抜くバックハンドリターンを決め錦織が2ブレークアップとなる。
第7ゲーム、互いにキープして迎えたガスケのサービスゲーム。錦織はバックラインを上げて攻撃的に振る舞い2つのマッチポイントを掴むと、最後は序盤から好調だった引き付けてのフォアショットを放つとガスケはこれに全く反応できず、ストレートの完勝となりました。
北米シーズンで課題のサーブが大きく改善
錦織選手の快勝で終わりましたが、第1セットに関してはガスケ選手も十分に素晴らしく緊迫した良い試合でした。第2セットでも勢いを失わず早い攻めとバックハンドの攻め、更にはネットに出るプレイでプレッシャーを掛け続けることで最後はガスケ選手はボールを追うのも苦しい展開にさせました。
この好調の要因は1stでしっかり決めるサーブです。
北米のハードコートシーズンでは1stサーブが60%前半に終始し、よくない時は50%に届かないなど課題を見せていましたが、それでも挑戦を止めずに続けた結果、現在の安定し、かつ速度以上に強烈なサーブを習得していっているように思います。
サーブでポイントを取れるのでフォアショットにも良い影響を与えており、センターから左右に相手の足の筋肉の動きまで読み切るショットを何度も見せていました。バックハンドは相変わらずトップレベルで素晴らしいです。
決勝は予選勝者のメドべデフ
決勝戦の相手はSFでシャポバロフを破った22歳のメドべデフが上がってきました。今年もハードコートで対戦がありストレート勝利しているロシアの若手選手ですが、ハードコートシーズンに入ってからはかなり安定したプレイを見せるようになり、手ごわい相手には違いないでしょう。