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2018 ATP500 楽天オープン F決勝 錦織 対 メドべデフ

 10月7日(日)楽天オープン男子決勝で、錦織選手はロシアのメドべデフと対戦します。

 過去の対戦はモンテカルロマスターズで対戦し、ストレート勝利を覚めている22歳の相手です。

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メドべデフの好調ぶり

 メドべデフは昨年のネクストGENファイナルにも参加した若手期待の選手ですが、ズベレフやチョリッチ、シャポバロフの陰に隠れてきた存在と言えました。

 しかし、今年の春にオーストラリアで若手気鋭の地元デミノールを倒して優勝すると、アメリカでもこれまた地元のジョンソンを下して優勝と今シーズン2回の優勝を地元選手と戦う完全アウエーの中優勝しています。並々ならぬメンタルの強さが伺えます。

 190cmからのサーブにセンターライン後方に構えてしぶとく繋ぐラリーで踏ん張る選手です。予選上がりとは言え全く格下という選手でもありません。

 

体力的に問題がないメドべデフ

 メドべデフは予選上がりで9日間で7試合をこなしていますが、体力面で錦織が有利ということは言えません。

 何故ならば、今年の全米オープンの前週、普通の選手は休養にあてるこの週のウイストン大会では7日間で6試合をこなして優勝した後、即全米オープンに出場して3回戦まで進出しています。

 同じ大会に出ていたダニエル太郎選手が明らかに体力切れで全米オープンテニスにならなかったのに対してメドべデフは全く普段通りの強度のテニスを披露しております。

 かつATP500と高めのグレードの大会の決勝ともあれば披露などは感じないはずです。

 

前試合のダブルス優勝からの良い流れは続くか

 今日の男子シングルス決勝の前には、ダブルス男子の決勝も行われ、マクラクラン勉とストルフコンビが優勝し、ストルフの「愛してるーー!」からのマクラクラン勉の「錦織さんも頑張って!」の愛嬌あるパフォーマンスの良い流れに乗っていけるかどうかが注目されます。

 

 

試合経過

1stセット

 第1ゲーム、メドべデフのサービス。ダブルフォルトや錦織のバックハンドがサイドアウトになるなど両者硬い立ち上がり。錦織が前に出て攻めブレークポイントを掴むも、リターンミスしてしまう。結局連続でリターンをネットに掛けるなどしてメドべデフにキープされる。

 第2ゲーム、錦織のサービスゲーム。まだリターン精度に難がある錦織。しかしサービスがこの状況を救いセンターとワイドのサービスエース2本を決めてキープする。

 第3ゲーム、メドべデフも体がほぐれたのか強烈なサーブで錦織に隙を与えずキープする。

 第4ゲーム、今日の錦織のバックハンド精度はかなり悪く、そこから長いラリーにできずに3つのブレークポイントを奪われると、やはりバックハンドリターンがあっさりサイドラインを割り、簡単にラブゲームブレークを許す。

 第5ゲーム、会場が鎮まる中更に勢いにのるメドべデフはサーブで押し錦織は何もさせてもらえずラブゲームキープされる。

 

 バックハンド精度がこれまでの試合と雲泥の差で悪く、それがすべてのショットに影響を与えています。このままでは非常にまずい結果が予想されます。

 

 第6ゲーム、錦織は若干気が切れたような表情を見せるも、メドべデフも思い切ったプレイからのミスでキープする。

 第7ゲーム、メドべデフは全く攻勢を緩めず簡単にキープしてしまう。

 第8ゲーム、流れの悪さを感じた錦織はブレークダウンし上着を着替えて気を引き締める。しかしリターンで強く勝負するのは常にメドべデフで錦織は押されてリターンを大きくアウトするなどポイント先行される。そして完全に後ろに下がらされ、そこをメドべデフがセンターで構えての強烈なリターンでメドべデフが2つのセットポイントを掴む。そして最後はダブルフォルトで、このセットわずか25分でメドべデフが2ブレークアップの6-3で先取される。

 

 錦織のメンタル状況は最後のダブルフォルトを見てもわかる通り非常に乱れており、何かがないと巻き返しが難しい展開に感じます。かつアウエーで全く物おじしないメドべデフの過去の2回のアウエー優勝の経験がここで生きています。下がらずに攻め続けられ錦織に打開のきっかけを与えていません。

 序盤はバックハンドが不調なだけだった錦織はサーブでも全く冴えがなくなっており、非常に危険な状態です。

 

2ndセット

 第1ゲーム、メドべデフのサービス。メドべデフはここでひるむことなどなく攻め続け、最後はダブルファーストのサーブも決めて精神的にも充実のキープを見せる。

 第2ゲーム、長いラリーで錦織のライジングを悉く広いポイントを取るメドべデフ。しかし負けん気の錦織もサーブがようやく決まりキープする。

 第3ゲーム、錦織のラリーに粘りが出てきたもののメドべデフもしっかりとラリーについていき、ロングラリーで錦織がポイントを取れない。錦織のプレイ精度は上がってきたがメドべデフが更に上がり、更には左右に翻弄しラブゲームキープする。形的には錦織も戻ってきているが、メドべデフが集中力を切らさないしびれる展開となる。

 第4ゲーム、この試合初めてといっていいメドべデフの足を完全に止めるウイナーが決まる錦織。所がここからフォアショットを連続でネットに掛け15-30となる。更にクロスの打ち合いで錦織がメドべデフを崩すと錦織が大きく吠える。所がまたもフォアリターンをネットに掛けブレークポイントを握られる。ここは我慢のテニスでデュースに。更にはサービスエースの後、メドべデフがこの試合初めてといってもいい大きなミスでこのゲームを必死のキープを果たす。

 第5ゲーム、1stポイントを錦織が奪い流れをつかみかけるが、ここから連続サービスエースや対角に振るリターンでメドべデフがしっかりキープする。

 第6ゲーム、錦織も集中力を切らさずポイントが行きかうゲーム。メドべデフにミスが出始め錦織がキープする。

 第7ゲーム、長いラリーからお互いがエアK(ジャンピングショット)を見せるなどするも錦織が根負けする。更には錦織の絶妙のドロップショットに態勢を低くしながらも華麗にコート内に収まるスーパープレイでキープし流れを手放さないメドべデフ。

 第8ゲーム、錦織も全くプレイは落ちずむしろ徐々にメドべデフをラリーでも追い込むようになり30-0とリードする。ダブルフォルトやフリーポイントと思われたリターンをネットに掛けるなどするもメドべデフのリターンがネットにかかりキープする。

 第9ゲーム、メドべデフにミスが出てきたここが勝負所。所がメドべデフが粘り、錦織がミスをする展開となりあっさりとメドべデフがキープし、再び厳しい状況となる。

 第10ゲーム、キープで続くもののメドべデフに勢いが出る展開のこのゲーム。錦織のバックハンド精度がやはり最高潮ではなくネットにかかる。更にはフォアでもネットにかけかなり消沈した表情を見せる錦織。そしてまたもといわんばかりに3連続でリターンをネットにかけ、メドべデフに2つのチャンピオンシップポイント。

 最後はリターンを大きく打ち上げた錦織に対して、大きく吠えて両こぶしを突き上げるメドべデフ。

 試合は、メドべデフが錦織をストレートの完勝で締めくくりました。会場はおおいに静まり返ります。

 

メドべデフのメンタルの強さを再確認

 これまでの2優勝がいずれも地元選手との対戦での優勝なので今日も気負いなくやれると本人がいった通りのプレイ内容です。

 しかも、その相手はオーストラリアのデミノールやアメリカのジョンソンとは違い、常にトップ10付近の実力を示す錦織を相手に、しかもATP500で手にした優勝という事で最後のあの雄叫びとなって現れました。

 

 メドべデフ「本当に最高の気分だし、いいテニスができた、錦織というトップレベルの選手にこのような試合展開をできたのも非常に満足する結果です。ミスは少しあったがテニスだからミスはつきものと気にしなかった。サーブが良かったのでリターンに集中できました。予選上がりで優勝したのはこれで2度目だし、今のランキング(32位、但しエントリー時は60位台)で予選を戦うのは奇妙だが、グレードの高い大会だからね。だから満足ですね。本当にうれしいよ。「アリガトウ」」

 

 非常に冷静かつ、自分の過去もしっかり振り返ってどんどん強くなってる選手というイメージのインタビューでした。ミスが連発したときはチャンスが来るかと思いますが、しっかりと粘ってた辺り、本人がいうように「テニスにミスはつきもの」という開き直りをしっかり体現していました。

 

 今日のテニスは間違いなくメドべデフが勝者に相応しく、1度だけ少し落ちそうになったところをこらえた以外は全てが完璧と言えるできでした。ショートポイントでも、サーブでもラリーでもほとんどが錦織を上回っていました。

 錦織も2ndセットの途中から持ち直して緊迫した展開にもっていったものの、最後は完全に集中力が切れてしまい、4連続アンフォーストエラーで締めくくってしまいました。ここぞの場面で気分が続かなかったことは非常に残念ですが、300ポイントの獲得によりファイナルへの希望はつないだと言えます。

 それを考えれば決して悲観的にばかりなる必要はないでしょう。チャンコーチとこの試合をしっかり分析して残り3大会に実力を出し切ってほしいです。

 

 

 次の錦織選手の出場大会は中国での上海マスターズとなります。

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