2018 ATP500 エルステバンクオープン QF 錦織 対 ティエム 錦織が終盤に向けて難敵を連続の圧勝劇
2018ATPツアーも残すところ後2大会となりました。
錦織選手は当初予定されいたスイスインドアを変更し、オーストリアのエルステバンクオープンに参加しています。
2回戦ではここまで相性の悪さを見せるロシアのハチャノフ相手に6-2,6-2とスコアも内容もほぼ隙のない出来で勝ち上がりました。
そして、対戦するのは地元の声援を受けるシードナンバー1のティエムとなります。
過去の対戦は2勝1敗も・・・
過去の対戦は錦織の2勝1敗ですが、直近で対戦した全仏オープンの4回戦ではティエムの前に力で押し切られるセットカウント3-1で敗れています。その後ティエムはファイナル決勝に進出しました。
クレーコートを得意とし、その力強いプレイからネクストナダルと言われる程のクレーでのプレイぶりを見せつける反面、ハードコートではミスが目立つ安定性に欠けるプレイに終始していましたが、今年はようやくそのハードコートで実績を上げ、全米オープンでは苦手のアンダーソンを圧倒しQFまで勝ち上がりました。
また、ファイナルポイント争いでも錦織の500ポイント余り上位におり、パリの結果如何では錦織は彼を超す可能性も残っています。
イズナー敗戦も現時点ではポイントはイズナーリード
ファイナルの直接的な相手であるイズナーは2回戦モンフィスを相手に体調が万全でないのかサーブのキレがなく敗れてしまいました。
この結果を見ると錦織のQF進出の90ポイント、イズナーの2回戦敗退の45ポイントで20ポイント差のあったレースランキングを逆転しているように見えますが、錦織選手はコミットメントプレイヤー(年始にランク30位以上の選手に欠けられる特典及び制限18大会のポイント換算)のため、90ポイントを超えるポイントを獲得しないとポイントが加算されないため、この時点ではイズナーがまだリードしています。
イズナーのレースポイントに減算対象はないため、今回のポイント45がそのまま加算されます。
従って、現段階ではイズナーと錦織のレースポイントは65ポイント差に広がった事になります。
試合経過
試合は26日(金)、センターコート第二試合に予定されており、推定開始時間は21時30分~22時30分当たりとなります。
試合は第1試合が白熱のフルセットとなった影響で日本時間の23;45とかなり遅れてのスタートとなる。
1stセット
第1ゲーム、錦織のサービス。サーブ、リターン共に鋭さがみられる錦織がラブゲームキープする。
第2ゲーム、ティエムのサービス。ティエムは1stサーブが入らない。すると、フォアを大きく打ち上げて、錦織にいきなりの2ブレークポイントが来る。すると、クロスラリーからティエムがバックハンドリターンをサイドアウトし、会場が静まり返る中、錦織が先行ブレークに成功する。
第3ゲーム、この試合最初のダブルフォルトを喫する錦織は、ティエムにリターンをしぶとく拾われて2ブレークポイントを掴まれる。しかしここをサーブの力で切り抜け錦織がキープする。
第4ゲーム、錦織のリターンが深く、ティエムが満足な対戦でリターンをさせてもらえず、錦織が3つのブレークポイントを握る。ここは粘りのプレイでデュースに持ち込まれるも、錦織が前に出て攻め、4度目のブレークポイントを錦織が取り、これで2ブレークアップの4ゲーム連取となる。
第5ゲーム、30-30となるも、錦織の攻めは早く、最後は前に出てのボレーで決め、錦織が5ゲーム連取となる。
第6ゲーム、ここでティエムが思い切りのよいサーブからの攻めで初めてのキープを果たす。
第7ゲーム、ティエムに勢いが出てくる。力強いバックハンドショットを連続させると、錦織がリターンをネットに掛けるシーンが出始めブレークポイントを掴まれる。更には錦織のコードボールに、ティエムがフォアを振りぬき1ブレークバックされる。
第8ゲーム、勢いにのるティエムは力強いプレイで楽々のキープを果たす。
第9ゲーム、ティエムの攻勢が止まらない。錦織も決めに行くショットがネットに掛かり、まさかの3ブレークポイントを握られる。しかし、ここからためらわず前に出る錦織。更にはティエムのクロスの強打にしぶとくついていきティエムのミスを誘いデュースまでもっていく。ここから深々としたリターンにティエムがリターンを打ち上げ錦織にセットポイント。すると左右に振るラリーから錦織がバックハンドでダウンザラインを華麗に抜き、気持ちの良いガッツポーズと共にこのセットを6-3で制します。
第6ゲームからの流れはアウエーということもありかなり危険な状態でしたが、ここからスーパーショットと粘り強いリターンで最後まで集中力を保てたがでかい1stセットの奪取となりました。
2ndセット
第1ゲーム、ティエムのサービス。先ほどのチャンスを逃したティエムのリターンが浮く。更には錦織の深々としたリターンにタイミングを合わせられずネットにかけデュースに。ここで連続のダブルフォルトで錦織がこのセット先行ブレークを取る。
第2ゲーム、ティエムの明らかにアウトのリターンがネットに掛かって方向がかわりインラインに落ちるというアンラッキーがあるも、ティエムのバックハンドリターンがわずかにアウトになるなどし、錦織がキープする。
第3ゲーム、このゲームも深いリターンで攻める錦織が3つのブレークポイントを掴む。すると錦織をオープンコートで走らせるものの、空いたコースに放ったリターンがサイドアウトになり、会場が大いに静まり返る錦織の2ブレークアップとなる。
第4ゲーム、錦織はサーブを強め、センターのサーブにティエムのリターンがアウトとなり、錦織が4ゲーム連取となるキープを果たす。
第5ゲーム、錦織に見事なフォアを決められるも、センターサーブでティエムがこのセット初のキープを果たす。
第6ゲーム、早い展開の錦織はセンター中心の攻めでラブゲームキープを果たす。
第7ゲーム、錦織の鋭いクロスリターンがライン際に決まり、錦織にマッチポイントが来る。すると、緩急と角度をつけたリターンでティエムのリターンを翻弄し、錦織がこのゲームを6-1で制し、ストレート勝利を収めました。
サーブ、フォア、バックハンド、全てに隙のない錦織の仕上がり
苦手のハチャノフに64分。今日のティエムを相手に68分と、難敵2人に速攻での圧勝というすさまじい結果で終盤戦に向けて良い調子を保っています。
今日の錦織は第1ゲームの第6ゲーム~8ゲーム、ややティエムの勢いに押されて劣勢になった以外はサーブ、リターン、そしてその深さとも文句のない出来で、2ndセットで喫したアンフォーストエラーわずかに2と隙がないプレイでティエムを終始圧倒しました。
これでポイントの上でもイズナーを25ポイント上回り、ファイナルツアー出場に半歩近づいた格好となりました。
しかし、錦織にとっては準決勝の相手がククシュキンという事を考えてももう1つは進めていきたい所でしょう。