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2018 ATP500 エルステバンクオープン F決勝 錦織 対 アンダーソン 22時開始 決勝でここ一つギアを入れれなかった錦織

 10月28日(日)日本時間の22;00より、オーストリアのウイーンで行われているエルステバンクオープン決勝戦が開始されます。

 

 錦織選手は難敵のハチャノフ、ティエムを撃破した後、SF準決勝では好調を維持するククシュキンに粘られながらも危なげのないプレイを披露して勝ち上がっています。

 

上位安定を見せつけるアンダーソン

 対するアンダーソンもSFのベルダスコに脅威の粘りを見せられ、3セット目の途中でメディカルタイムアウトを取る程に体を痛めつけられましたが、何とか勝ち上がりました。

 

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 大学を卒業してからのプロ転向と、プロデビューは遅いながらも、同じような経緯を辿ったイズナー同様に、ビックサーブを武器に上位に進出するようになりました。

 しかし、ここぞの場面でダブルフォルトやショットミスを繰り返し、更には膝の怪我などで数年は安定しない成績を見せておりましたが、昨年の全米でグランドスラム初の決勝進出。そして、今年もウインブルドンで決勝進出と、大きな大会で安定した成績を収め、ジョコビッチ、フェデラー、ナダルが健在の中でもトップ10の位置を守り続けるなど、実力者の位置を確立しています。

 

対錦織は4勝2敗、直近はアンダーソンが勝利

 両者の対決は4勝2敗で上回っています。

 しかし、アンダーソンが上位の位置を確立してからの対戦となると、今年のニューヨークオープンのセミファイナルでの対決でフルセットの末にアンダーソンに軍配が上がっています。

 とはいえ、当初は錦織もチャレンジャーからの復帰上がりということもあり判断材料にはなりにくく、かといって過去の5戦もアンダーソンが不安定な時期なため、これも判断材料になりにくい対戦履歴と言えます。

 したがって、両者が万全の状態で、しかもATP500というグレードの高い大会での決勝という事も加味すれば、実力伯仲でどちらに転んでもおかしくない対戦と言えます。

 

 錦織にとっては3年近く優勝から見放されており、決勝戦8連敗中ということもあり、気合が入るところでしょうが、熱く、そして冷静なプレイができるかどうかにかかってきます。

 

試合展開

 

1stセット

 第1ゲーム、アンダーソンのサーブ。錦織は左右に振りアンダーソンに迫るも40-30からアンダーソンがキープする。

 第2ゲーム、錦織のサービス。フォアの調子がいまいちの錦織はブレークポイントを握られるもこれをフォアリターンで凌ぎ、結局キープする。

 第3ゲーム、アンダーソンがサーブ&ボレーで出てくる所の逆を抜くリターンエースを決め0-30とリードするも、余裕のあるフォアの強打をアウトする。ここからはラリーでもアンダーソンがしぶとく粘りを見せ、最後はサーブで錦織を押しキープする。

 第4ゲーム、この試合錦織のフォアの調子が引き続きよくなく、アンダーソンに厳しい攻めで攻めたれたれ2つのブレークポイントを掴まれる。ここからアンダーソンのイージーなリターンがネットに掛かりデュースに持ち込む。更には時間を使って溜めながらのショットでアンダーソンの態勢を崩すも、ダブルフォルトで流れに乗れない。バックハンドスライスがネットにかかり3度目のブレークポイント。ここでアングルショットでアンダーソンのネットを誘うと錦織は拳を握りしめる。センターライン付近でのロングラリーを錦織が制すも次のリターンでアンダーソンが攻勢をかけデュースの応酬が続く。ダブルフォルトで4度目のブレークポイントを握られるも、アンダーソンの厳しい角度のクロスリターンを拾う錦織。アドバンテージを握ってもスライスの打ち合いで錦織がストレートに切り替えたリターンが大きく浮いてしまう。錦織が前に出たところを簡単に抜かれ5度目のブレークポイント。そして、強打の打ち合いで錦織が根負けのバックアウトショットで、長々と続いたこのゲームはブレークされる結果となる。

 第5ゲーム、サービスエースを決め、比較的簡単にキープされる。

 第6ゲーム、ブレークした後のアンダーソンがプレイ強度を緩めたのもありラブゲームキープする。

 第7ゲーム、互いに深いショットで30-30に、更にお互いに掬いあげるリターンの応酬からアンダーソンがサイドアウトし、錦織に初めてのブレークポイントが来る。しかし、リターンエースをねらった錦織のショットがネットに掛かる。1stサーブが入らないアンダーソンだが、錦織もリターンを大きく打ち上げるなどアンダーソンを追い詰めることができない。最後はワイドサーブでアンダーソンがキープする。

 第8ゲーム、アンダーソンのミスが増え錦織がキープする。

 第9ゲーム、アンダーソンのサービンフォーザセット。1stポイントはサービスエース。更にはセンターのサービスでショートポイントを立て続けに取るアンダーソン。アンダーソンを左右に振る錦織は、更にバックハンドショットを決め30-30。更にはベースラインからのバックハンドスライスで前に出たアンダーソンがボレーをネットに掛け、土壇場でブレークポイントを掴む錦織。ここで際どくラインにかかるサービスエースでデュースに。更には連続サービスエースでアンダーソンにセットポイント。アンダーソンが力の入るリターンがラインを大きく割りデュース。ここでまたもセンターのサービスエースで2度目のセットポイント。深く構えるリターンで錦織も食い下がり、またもデュースへ。結局最後は錦織のバックハンドスライスがネットにかかり、アンダーソンが6-3で1stセットを制します。

 

2ndセット

 第1ゲーム、錦織のサービス。フォアで攻める錦織がラブゲームキープする。

 第4ゲーム、アンダーソンはショートポイントを重ね、キープする。

 第7ゲーム、互いに緊迫感のあるキープが続く中、アンダーソンに攻められ0-30に、ここからアンダーソンのミスと、錦織のサーブでショートポイントを重ね、最後はストロークで左右に振りキープする。

 第9ゲーム、0-30と厳しい状況になるも、態勢を崩しながらのリターンがライン上に収まる。更にはサーブポイントで30-30とする。更にクロスショットの攻防からアンダーソンのリターンがネットで大きく角度が変わる不運なポイントによりアンダーソンにブレークポイントが来る。ここでボレーの応酬からアンダーソンの上を抜きデュースに。更には逆を突かれたリターンに体が反応するなど執念がみられるキープを見せる。

 第10ゲーム、錦織はアンダーソンを左右に振るプレイで30-30としガッツポーズを見せる。しかしここぞの所でセンターのサービスが何度もアンダーソンを救う。更にはラリーで錦織がフォアリターンをネットに掛け、両者譲らずのキープ合戦が続く。

 第11ゲーム、重苦しく、しかし緊迫感ある雰囲気が続くこのセット。両者の粘りと鋭いショットの打ち合いに観客もヒートアップ。そのわずかの差を錦織がものにしラブゲームキープでタイブレーク権をゲットする。

 第12ゲーム、アンダーソンがキープしタイブレークへ。

 

 タイブレーク 左 錦織 右 アンダーソン

 0-3 サーブを対応されアンダーソンがミニブレーク、その後もアンダーソンがポイントを重ねる。

 

 1-3 錦織がフォアを振りぬく。

 2-3 アンダーソンのバックハンドリターンがネットに掛かる。

 2-4 ラリーで錦織のリターンがサイドアウト。

 2-5 アンダーソンのサーブが際どく入る。錦織はガックリうなだれる。

 3-5 サーブで錦織がポイントを取る。

 3-6 錦織のフォアが力なくネットにかかり2ミニブレークで、アンダーソンに3つのチャンピオンシップポイント。

 3-7 この試合幾度も決めたセンターへのサービスエースでアンダーソンが優勝を飾りました。

 

 アンダーソンはATP500での初優勝となりました。SFではメディカルタイムアウトを取る程に足の状態が悪化していましたが、この試合ではその影響も感じさせず完勝しました。

 

 対して錦織選手ですが、楽天オープンの時の決勝程一方的な試合ではありませんでしたが、アンダーソンが最後まで崩れなかったことにより、付け入る隙がなかった印象です。

 1stサーブ、2ndサーブでもポイントはそれなりに取れていたものの、2度のブレークポイントしか奪えず、最後までアンダーソンのサービスを攻略できないのがこの結果になったという印象です。力負けと言ってもいいでしょう。

 

 錦織は敗れたものの300ポイントを加えて、ノーアド90ポイントを加味しても210ポイントの加算となり、イズナーを145ポイント差し上回った上での最終戦に突入していきます。

 デルポトロは棄権を発表していませんが、深刻な怪我なだけに気持ちの整理がつかない事による発表の遅れと見ます。ですので、実質的には錦織はファイナル8人の中に入っているといってよいです。

 パリではどのような姿を見せてくれるでしょうか。決勝まえの運び方は楽天も、この大会もほぼ完ぺきだっただけに、決勝で今一つギアを上げきれない試合が続いている所が反省ポイントとなりそうです。

 

 

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