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2017 ATP1000 ロレックス・パリ・マスターズ 決勝 ソックファイナルランク24位からの大逆転完結

 今年からロレックスがメインスポンサーになったパリマスターズも最終日を迎えました。

 決勝に上がったのはどちらも驚くような人物です。

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 予選勝者から初戦杉田選手を倒し、クエリー、マユ、ナダルの棄権、イズナーと破ったクライノビッチが上がってきました。

 マスターズで予選勝者からの決勝はヤノビッチ以来。優勝となれば2001年の当時まだマスター格だったハンブルクオープンでのアルベルト・ポルタス以来の16年ぶりの出来事となります。特にここ10年はビック4が幅を利かせてただけに隙もほとんどなかっただけに現在はアップセットが起こりやすいとは言え、そうそう巡ってくるチャンスではありません。

 本人もそれを自覚してかイズナーをタイブレークの末に下した時はピッチに崩れ落ち肩を震わせて感涙していました。10年に1度あるかの出来事であり、偉業に違いはありません。

 

 対する相手はソックです。

 パリ・マスターズが始まる時点でのファイナルの可能性がある選手一覧は以下の通りです。

ファイナル可能性のあった選手
ゴファン 2885
カレーニョブスタ 2605
クエリー 2525
アンダーソン 2470
デルポトロ 2415
ツォンガ 2310
プイユ 2145
バウティスタ 1925
イズナー 1905
ラモスビノラス 1835
ソック 1765
シュワルツマン 1630

 ソックはファイナルツアーランキングでなんと24位でした。

 ジョコビッチ、ワウリンカ、錦織に加えて、怪我のラオニッチやベルティヒ、キリオスよりポイントは低かったです。

 上位8人しか与えられないファイナルの権利を掴む可能性はほとんどありませんでした。優勝するだけでなく他の選手が都合のいいように負けてくれないと可能性がないというレベルでした。

 

ファイナル可能性のあった選手
名前 ポイント差 条件(2つ以上で不可)
ゴファン 1120 ×
カレーニョブスタ 840 QF
クエリー 760 SF
アンダーソン 705 SF
デルポトロ 650 SF
ツォンガ 545 -(直接対決の山)
プイユ 380 -(直接対決)
バウティスタ 160
イズナー 140
ラモスビノラス 70
ソック 0
シュワルツマン -135

 優勝は最初から条件でしたが、ゴファンを上回れないのは既に確定しており、上記のどれか1つでも満たした場合は出場できないという状況でした。

 どの選手もQFかSF以上なので一見すると可能性がありそうと感じるかもしれませんが、直前にフェデラーが欠場し、ナダルも途中で棄権するような状況です。つまりは本来はいるはずの上位勢がいませんでした。しかもファイナル決定しているズべレフやティエムも早期敗退しています。ファイナルを争う選手であれば、少なくてもツォンガまでの誰か1人はSFに上がる可能性は高かったはずです

 しかし、可能性の高かった選手から順に早期敗退していきました。本来ならツォンガ、プイユ当りまでしか可能性はなかったはずなのが、候補者が総崩れし、最も近くなったデルポトロですら敗退。そして準決勝では残りの可能性があったイズナーも敗退してしまいました。

 そして決勝は予選勝者との対決となります。ソックにしてみれば相手はナダルやフェデラーでなく、ましてやズべレフやデルポトロ、同胞のファイナルを掛けた直接対決のイズナーでもありません。大チャンスと見るのが普通でしょう

 しかし、それだけにかかるプレッシャーも相当な物と予想されます。何しろマスターズ決勝進出すら初となり、優勝となれば相当な栄誉を手に入れます。それだけでなくファイナルツアー出場という、おそらくは大会開始前までは想像すらしてなかった副産物(むしろメインディッシュ)すら手に入ります。

 この試合に勝つか負けるかで得るものと逃す物の差があまりにも大きすぎます。

 こういう時にかかるプレッシャーは想像をするのに難しくないでしょう。

 

 それを考えると失う物がないのがクライノビッチです。元々が予選上がりです。初戦の杉田戦から挑戦者らしく常に攻めのスタイルで勝ち上がってきました。ファイナル進出にやや縮こまったクエリーも圧倒し、地元のマユにフルセットとは言え最後は圧倒し、ナダルの直前棄権で休養を得て、SFのイズナーには真っ向からぶつかっていきました。決勝でも怖気づくとは思えません。

 

 精神的アドバンテージは明らかにクライノビッチにあると感じますが果たしてどうなるでしょうか。

 試合は11月5日、日本時間の23;00開始予定です。

 

  1st 2nd 3rd Result
クライノビッチ 7  4  1  1 
ソック 5 6  6  2 

 

1stセット

  お互いにやや硬い立ち上がり。ソックがブレークを先行するもクライノビッチもブレークをし返す。そして12ゲーム、ソックがミスを連発し、予選勝者のクライノビッチが1stセットを逆転で取る展開となります。

 

2ndセット

  2ndセット序盤、クライノビッチはそれまで好調だったストロークのリターンが突如狂いだします。3連続ミスショットでブレークポイントを握られるとあっさりとブレークされます。

 その後もソックは後ろで構えての粘り強いショットでブレークを重ね、1つブレークを返されるもののこのセットを取り切ります。

 

ファイナルセット

 最後のセット、ソックは落ち着いたプレイと素晴らしいプレイを見せるようにクライノビッチのサービスゲームで良いリターンを繰り出し追い詰める。

 すると、クライノビッチの深いリターンを2連続でストレートパスを決めブレークする。

 更に第5ゲームはブレークポイントを握ると態勢を崩されながらもすさまじい軌道のショットを決め思わず振り返って仁王立ちし、2ブレークアップとなる。

 そして第7ゲーム、クライノビッチのサービス。デュースになると、ソックがこの日何本も決めたクロスのウイナーを決め、ソックにチャンピオンシップポイントが到来。

 するとクライノビッチのリターンがアウトになり、ソックはピッチに崩れ落ちます。

 ソックは陣営に走り込んでいき喜びをかみしめます。

 

 ソックはマスターズ初決勝が初優勝となり、しかもATPツアーファイナル出場を決め、更に更にランキングもトップ10入りを決定しました。ソックはこの優勝で単なる優勝だけではなく、多くの物を一度に手に入れました。

 これに浮かれる事なくファイナルもしっかり戦いきってもらいたい所です。

 

 

 

 

 

 

 

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